2011年11月25日金曜日

電子書籍で読みたいジャンル、iPadとタブレット端末のユーザーで違い

http://wirelesswire.jp/News_in_Japan/201111251847.html

MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は2011年11月24日、「タブレット端末の所有率、及び満足度調査」の結果を発表した。それによると、もっと増えて欲しい電子書籍のジャンルが、iPadとタブレット端末で異なる傾向がある。

まず、端末の満足度を尋ねたところ、iPad(iPad 2を含む)は「非常に満足している」が30.5%、「満足している」が55.0%で、合計85.4%が満足している結果だった。一方、iPad以外のタブレット端末では「非常に満足している」が25.5%、「満足している」が43.1%であり、満足していると回答したのは全体の68.6%にとどまった。満足している利用者の率は20ポイント近くiPadが高い数値となった。追加して欲しい機能は、iPad、タブレット端末所有者ともに「防水機能」が最も多く、そのほかに「ワンセグ」「USB接続」が挙がった。

増えたらいいと思う電子書籍のジャンルを尋ねたところ、iPadとタブレット端末で需要が異なる結果が表れた。iPad所有者のトップは「ビジネス書」で60.3%、タブレット端末所有者では「雑誌」が58.8%で首位だった。


【報道発表資料】
もっと増えて欲しい電子書籍のジャンル、iPadユーザーの60.3%が「ビジネス書」タブレット端末のユーザーの58.8%が「雑誌」と回答

電子書籍の利用率、日本は1割、中国は7割~ネットエイジア調査

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20111124_492926.html

 株式会社ネットエイジアは22日、電子書籍に関するアンケート調査の結果を公表した。調査はネット上の共通ポイントサービス「ネットマイル」の会員600人および中国人のパネル450人に対して実施。電子書籍の利用状況や期待感では、中国が日本を大きく上回っていることがわかった。

 日本で電子書籍を「利用している」という人は9.8%、「利用していないが、今後は利用したいと思う」が32.5%、「今後も利用したいと思わない」が57.7%だった。一方、中国は「利用している」が75.6%と最も多く、「利用していないが、今後は利用したいと思う」が19.8%、「今後も利用したいと思わない」が4.6%という結果となった。

 日中の調査結果を比較してみると、日本人よりも中国人のほうが「利用している」もしくは「利用していないが、今後は利用したいと思う」の割合が高く、中国人の9割以上が電子書籍を利用を希望していた。対照的に、日本では過半数を超える人が「今後も利用したくない」という回答だった。

 電子書籍の利用端末で最も多く挙げられたのは、日本が「テスクトップPC」(25.4%)、中国が「スマートフォン」(29.1%)で、ネットエイジアは「日本はいつでもどこでも読める電子書籍の利点が、あまり重視されていない」と分析している。

 電子書籍市場規模の予測については、日本では「そこそこ発展する」が62.3%と最多で、次いで「あまり発展しない」が18.2%、「大きく発展する」が14.0%の順。一方、中国では「大きく発展する」が57.8%と最も多く、「そこそこ発展する」が38.4%、「あまり発展しない」が2.9%と続いた。

 日中の調査結果を比較してみると、「大きく発展する」の割合が中国では日本に比べて4倍以上だった。また、「大きく発展する」と「そこそこ発展する」を合計した場合でも、日本では8割弱であるのに対し、中国では9割を超えており、「中国では電子書籍への期待感がとても強い」(ネットエイジア)としている。

2011年11月14日月曜日

各社の電子書籍リーダーが一斉値下げ――どれを買う?

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1111/13/news006.html

ここのところまたにぎやかになってきている電子書籍市場ですが、米国のホリデーシーズンでの需要を見計らってか、海外勢の電子書籍リーダーが実質的な値下げを行っています。

まずは先日楽天が買収することが明らかとなったカナダのKobo。「『出版、そして書籍の歴史が変わる重要な日』――楽天三木谷氏が明かすKobo買収の意図」で楽天の三木谷氏もほのめかしていた広告付きKobo端末(Kobo Touch with Offers)が発表されました。

広告付きというのは、スクリーンセーバーなどに特定の広告を表示する代わりに、端末価格を安価にする手法で、Amazonの広告付きKindleなどがよく知られています。広告付きKindleだと30ドルほど値引きされて提供されており、少しでも価格を抑えたい方には魅力的な選択肢です。

今回Koboが発表した広告付きモデルは6インチのE Ink Pearlディスプレイを搭載する「Kobo Touch」が対象となっており、従来の129.99ドルから30ドル値引きした99.99ドルで販売されます。Amazonと同じですが、広告付きKindleが購入後に30ドルを支払えばいつでも広告をカットできるのに対し、広告付きKoboは現時点でそうした機能は用意されていないようです。

一方、米Barnes & Nobleは、249ドルの「NOOK Tablet」発表に合わせ、6インチのE Ink電子書籍リーダー端末「Nook Simple Touch」を139ドルから99ドルに値下げしました。こちらは広告が付くわけではなく、純粋な値下げです。同製品はNOOK 2nd Editionなどと表記されていたこともありましたが、今後はこの名称で統一するようです。

Amazonの広告付きKindle 4は79ドルですが、こちらは基本的に日本からは購入できず、日本から購入できる広告なしKindle 4は109ドルとなります。ただし、このモデルはタッチ操作に対応していません。タッチ操作に対応したKindle Touchの価格は、広告付きモデルが99ドル、広告なしモデルが139ドルです。

結局「買い」の1台はどれ?
以上をまとめると次のようになります。参考までに、国内で販売されているソニーの電子書籍リーダー端末「Reader」の最新モデル「PRS-T1」と、再度値下げされた前モデル「PRS-650」も紹介しておきます。

端末ベンダー価格広告の有無日本への発送
Kindle 4Amazon79ドル×
Kindle 4Amazon109ドル×
Nook Simple TouchBarnes & Noble99ドル××
Kobo TouchKobo99.99ドル×
Kobo TouchKobo129.99ドル××
PRS-T1ソニー1万9800円×
PRS-650ソニー1万2800円×

各社のE Inkベースの電子書籍リーダーの価格

日本への直接発送が不可となっているモデルでも、転送業者などを利用すれば基本的には日本から購入の購入は可能です。ただし、その場合、手数料などを加味する必要があるので注意したいところです。79ドルのKindleを取り上げた記事の中には、こうした点に触れていないものもあります。

それらを考えると、Amazonが直接発送してくれ、手数料なども比較的安価な109ドルのKindle 4が現時点で最も新しく、かつ安価な海外製の電子書籍リーダー端末といってよさそうです。

ただし、楽天が買収を発表したKoboの端末は、年明けにも国内販売が開始される予定です。AmazonもKindle Storeの国内展開を予定していますが、国内の出版社との交渉次第では、しばらくは国内のコンテンツが十分にラインアップできないことも予想されます。

Koboの国内販売が開始されると、楽天のRabooはもちろん、Rabooと連携しているReader Storeのコンテンツも利用できるでしょうし、長期的には紀伊國屋書店の「紀伊國屋書店BookWeb」で販売されているコンテンツをKobo Touchで読むことも可能になるかもしれません。

以上を勘案してここで挙げたものの中から選ぶとすれば、現時点ではKobo Touchの国内販売開始を待って購入するか、いち早く電子書籍を堪能したいならソニーのReaderを選択するのが比較的賢明な選択といえそうです。

2011年11月11日金曜日

消費者の満足が市場を活性化する:BISGレポート

http://www.ebook2forum.com/members/2011/11/bisg-completes-vol2-of-consumer-additudes-report/

米国のシンクタンクBook Industry Study Group (BISG)の「E-Bookでの読書に関する消費者態度調査」の最新版(Vol.2)が11月9日に発表され、市場の拡大とともに消費者の満足の高さが浮き彫りになった。過去18ヵ月間に印刷本を購入し、同時にE-Bookも買った消費者の50%近くは、好きな作家の新刊を、3ヵ月までなら電子版の発売を待つと回答した。1年前の調査では38%だった。BISGでは、消費者の態度が、数ヶ月の単位で変化していると述べている。レポートの提供は11月21日の週から。

デジタル読者が出版市場全体を牽引
Vol.2で明らかになった点には以下のようなものがある。
積極的消費者(パワーバイヤー)ほど本を読む。毎週のようにE-Bookを買っているという消費者の46%は、フォーマットによらず購入金額を増やしたと回答している。これは全回答平均の30.4%より高い数字で、彼らが全消費者の行動を3~6ヵ月、リードしていることを示している。
プラットフォーム別満足度でアマゾンの勢いは止まらず。アマゾンはE-Bookの購入(70%)でも情報(44%)でも、消費者に選ばれており、B&N(26%)とアップルが続いている。他方で図書館が増えていることも注目される。
E-Book読書の障害は減少している。入手性に関する懸念は縮小、デバイスの価格はなお問題ではあるものの、問題は「何もない」とする消費者が、昨年の17.6%から33%に増えた。

出版市場調査の新傾向
この消費者調査は2009年から始まり、昨年に最初のレポートが刊行された。調査時点から最大18ヵ月以前にE-BookあるいはE-Readerを購入したことのある印刷本購入者を対象とした、全国規模のパネルサーベイに基づいている。バウカー社のPubTrack Consumerサービスの一部を構成するもので、四半期毎の要約版も発行される。データは、毎月約6,000人を新規に選び、本の購入行動について回答を求めている。累計の対象者数は65,000人にも及ぶ。今回の有効サンプルは750人。今年11月にスタートするVol.3のサイクル(~09-2012)では、Real-Time ReportingというWebベースのオンライン・ツールで提供されることになる。
この調査は、出版情報サービス会社、シンクタンク、調査会社が運営・実施に当たり、大手出版社、書店、テクノロジー企業がスポンサーになって行われる大規模なもの。従来の静的統計とは異なるもので、こうした調査がなされること自体、デジタル化によって市場がダイナミックに変化し、ビジネスとしての出版の魅力が増していることを示している。

2011年11月10日木曜日

「NOOK Tablet」はKindle Fireに対抗できるか

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1111/09/news083.html

米書店大手Barnes & Nobleが「NOOK Tablet」でローエンドのタブレット市場に参戦。「Kindle Fireよりも優れたハード」という評価はあるものの、形勢は変わらないという声も。(ロイター)

 米書店大手Barnes & Nobleが新型タブレット端末「nook Tablet」を発表し、ローエンドのタブレット端末市場に参戦した。新端末はAmazon.comの競合端末「Kindle Fire」よりも容量が大きく、速度も速いが、価格も50ドル高めだ。

 Barnes & NobleはNOOK Tabletを249ドルで発売する。容量は16Gバイト。Amazonが先ごろ発表したタブレット端末Kindle Fireは容量が8Gバイトだ。NOOK Tabletは来週後半に店頭に並ぶ予定であり、今年の年末商戦では、同じく来週発売予定のKindle Fireとの間で熾烈な戦いが繰り広げられることになりそうだ。

 さらにBarnes & NobleはAmazonの積極的な価格攻勢に対抗し、一部のNOOK端末の値下げも発表している。

 Barnes & Nobleは全米に約700の店舗をチェーン展開しているが、Amazonのような十分な資金力は持っていない。だが同社の端末は、生粋のテクノロジーファンよりも電子書籍リーダーやタブレット端末に関心を持つ読書好きな人たちの間でニッチな市場を形成している。

 「われわれはまずコアな読者に対応したい」とBarnes & NobleのCEOを務めるウィリアム・リンチ氏はニューヨークで開催した製品発表会で記者らに語っている。同氏はAmazonのKindle Fireについては、書籍のほかにも同社の各種サービスに利用できる「自動販売機」となぞらえている。

 さらにリンチ氏はKindle Fireのストレージ容量を「不十分」と指摘、「nook Tabletのほうが速度が速く、容量が大きく、店頭での顧客サービスも受けられ、価格が高めなのはその分だ」と説明している。

 だが一部のアナリストによれば、買い手は二の足を踏むかもしれないという。「この場合、50ドルという価格差は大きい。25%も違うわけだから」とNPDのアナリスト、ロス・ルービン氏はReutersの取材に応じ、語っている。

 NOOK tablet4 件は7インチのディスプレイを搭載し、重さは約400グラム。バッテリー持続時間は動画視聴なら9時間で、Netflixのオンライン映画レンタルやHulu Plusの動画配信サービスを利用できる。1GHzのデュアルコアプロセッサを搭載し、RAMは1Gバイトだ。

 業績悪化に苦しむBarnes & Nobleは2009年に電子書籍リーダーNookの初代モデルを発表して以来、その開発に数千万ドルを投じている。

 その戦略は奏功し、同社は電子書籍リーダーおよびデジタル書籍の市場で約25%のシェアを獲得――ただしトップのAmazonには依然大きく水をあけられている――、実店舗での書籍の長期的な売上減によるダメージの緩和に役立っている。

 Barnes & Nobleは電子書籍リーダー市場への参入がAmazonよりも2年後れたが、まずまずの健闘を見せている。Barnes & Nobleの電子書籍リーダー「nook Color」はタブレット端末ふうの機能も幾つか備えており、「フル装備のタブレット端末を購入するところまではいかない」という顧客層に支持されている。さらに同社はAmazonの「Kindle Touch」に数カ月先立ち、今年5月にタッチスクリーン対応の電子書籍リーダーを発表している。

 Barnes & Noble株はニューヨーク証券取引所の7日午後の取引で2.4%値を下げ、11ドル33セントで取引された。Barnes & Nobleの株価は9月28日、当時同社のトップセラーだったNOOK Colorよりも安価なタブレット端末がAmazonから発表されたのを受けて、急落していた。

優れた製品だが、形勢はそのまま

 NOOK Tabletについての早期レビューは概ね好意的だ。Forrester Researchのアナリスト、サラ・ロットマン・エップス氏は「アッと言わせるような製品」と評している。

 またテクノロジーブログEngadgetの編集者ティム・スティーブンス氏は、「NOOK TabletはKindle Fireよりも優れたハードウェアのようだ」と評価している。

 ただし、NOOK TabletがKindle Fireキラーになると指摘している人はいない。それよりも、この端末は「Kindle FireよりNOOKを好む顧客」をそのまま定着させる役割を果たすことになるようだ。

 「この端末はBarnes & Nobleの買い手の忠誠を保つことになるだろう。手軽なタブレット端末のセグメントは依然として成長している」とMorningstarのアナリスト、ピーター・ウォルシュトルム氏は指摘し、AppleのiPadよりも安価なタブレット端末の隆盛に言及している。「Barnes & Nobleは価格競争は望んでいない。それによって、プレミアムな製品の売り手としての同社のイメージを高められる」と同氏。

 Engadgetのスティーブンス氏は、どちらの端末のユーザーも「現状の路線を進むだろう」と予想している。

 Barnes & Nobleが一部の端末で値下げを敢行したのは、9月にAmazonから受けたプレッシャーへの対応だろう。Amazonは9月にKindleの基本モデルの価格を引き下げ、Barnes & Nobleの端末よりも安価なタッチスクリーン対応の電子書籍リーダーを発表している。

 Barnes & Nobleは7日、NOOK Colorの価格を249ドルから199ドルに引き下げた。ただし、このことでNOOK端末同士の共食いが起きる危険性も高まっている。

 さらにBarnes & NobleはAmazonの競合製品の価格に合わせ、タッチスクリーン対応の NOOK Simple Touchの価格を139ドルから99ドルに引き下げている。

 「NOOK Colorが199ドルに値下げされたことで、この価格帯の端末を探している消費者にとって、NOOK ColorはKindle Fireのより直接的で強力な競争相手となる」とNPDのルービン氏は指摘している。ただし同氏によれば、NOOK ColorがNOOK Tabletの売り上げを侵食することになる可能性も考えられるという。

2011年11月9日水曜日

電子書籍を貸し出すアマゾンの出血サービスっぷり‎

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20111109/1038603/

 11月に入って、楽しみなことがひとつある。事前予約しているKindle Fireがもうすぐ出荷されることだ。15日の発送予定なので、今から10日後には私の手元に届いているはずである。

 アマゾンの電子書籍リーダーのKindleを、カラータブレットに進化させたKindle Fireは、ようやく私も持ち歩けるタブレットになるだろうと、それが楽しみなのである。iPadは私には重過ぎて、ダイニングテーブルの上の固定物になってしまっている。

 さて、そのKindle Fireが楽しみだと思っていたら、アマゾンがまたびっくりするようなサービスをそこに付け加えた。Kindle、あるいはKindle Fireを持っていて、さらにアマゾンのプライム会員ならば、毎月1冊ずつ電子書籍を無料で借り出せるというのだ。

 すでにプライム会員には、いろいろな特典がある。日本でも会員になって、送料無料で書籍や商品を送ってもらっている人は多いだろう。アメリカではこれに加えて、1万3000本ほどの映画が無料でストリーミングできる。私は、Kindle Fireが届いたら、これで本も読んで、映画もうんざりするほど観てやろうと思っていた。小さなKindle Fireを手に、自宅のソファで、ベッドの上で、そして出張へ出かける空港のロビーで「楽しんでいる私」まで想像していた。そこへ無料の貸し出しが加わった。

 Kindle FireはiPadの本格的な対抗機と目されているのだが、なんとなくアップルがヘコんでいるこの時に、アマゾンの攻め方はすごい。デバイスは少々ダサイだろうが、Kindleはサービスの点ではアップルや、同じような電子書籍リーダーのNookを出すバーンズ&ノーブルのずっと先を行ってしまっている感じがする。

 この無料の貸し出しというのは、上述したように1カ月1冊に限られていて、いつまで借りていてもかまわないらしい。ただし、次の本を借りると、その本は消滅してしまう。買ったのではなくて借りているだけだから、ファイルは残らないのである。ライブラリーの蔵書数は数千冊ということだ。

 興味深いのは、この貸し出しライブラリーに関するアマゾンの説明である。「貸し出しライブラリーの蔵書は、いろいろな契約条件のもとに集められています。大部分は、アマゾンが出版社と固定料金で契約したものです。部分的には、ユーザーが借り出す本を、アマゾンが卸売価格で購入しているものもあります。後者の場合、出版社側には何のリスクもなく、しかしこの新しいサービスによって収入が得られ、今後の増収の機会となることを確認していただくものとなっています」。

 つまり、アマゾンは自ら本を買ってまでして、このサービスを提供しているのだ。この負担がどれほどか計算しよう。書籍の場合の卸売価格はだいたい売価格の半分で、電子書籍はほとんど10ドル前後の価格が付けられている。従って、1冊借り出されるにあたりアマゾンは5ドルも出血サービスしているということになる。1セント、2セントも積もれば大きな損得となる小売業にあって、5ドルはすごい額ではないだろうか。

 このライブラリーに参加しているのは中小規模の出版社ばかりで、「ビッグ6」と呼ばれる大手出版社は本を提供していない。ビッグ6は、消費者に書籍の価格は安いもの(あるいはただ)と印象づけられるのを怖れているからだ。一方、中小規模の出版社は勢力者のアマゾンに逆らう力はなく、しかしだからこそアマゾンのマーケティングや価格の実験へ共にこぎ出す先駆者になってしまっているわけである。ただし、中小出版社だからと言って本の内容が劣っているわけでは決してない。このライブラリー蔵書には、ベストセラーも100冊以上含まれている。

 そもそも、アマゾンがこうした舞台裏まで説明するところが面白い。それは、1年半ほど前に電子書籍の価格設定で出版社側とかなりもめたためだろう。今度はいっさい明らかにして、ユーザーも含めて一緒になりゆきを見ましょうというアプローチだ。

 それにしても、アマゾンの出血サービスはいつものことだが、最近はますます磨きがかかっている。どうも見ていると、アマゾンという会社のやり方は、何でもひとつの同じ枠の中で採算を採ろうとはしないことだ。別のサービスも含めたもっと大きな図の中で採算を考えているとか、あるいは将来の発展型を想定して、そこから採算をはじき出しているとか、そんな風に見受けられる。

 そうして描かれる螺旋状にワープしたアマゾンの戦略図に沿って、われわれの消費行動が変わってしまったのだから、これは非常に効果的というか、強引というか。しかし考えさせられるのは、アマゾンが、私がいる出版界には大きな変動を起こす超本人である一方で、消費者としての個人の私にはありがたい存在であることなのである。

楽天、カナダの電子書籍事業者Koboを約236億円で買収へ

http://japan.cnet.com/news/business/35010277/

楽天は11月9日、電子書籍事業を手がけるカナダKoboの完全子会社化に向け、同社の株式を取得することを臨時取締役会で決議したと発表した。買収額は約3億1500万ドル(約236億円)。2012年第1四半期中にも楽天がKoboの既存株主より全株式を買い取る予定。買収にはカナダ政府の承認が必要となる。

 Koboは、2009年の設立。各国の書籍販売や小売り企業大手と提携するかたちで、カナダや米国、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなど100カ国以上のユーザーに電子書籍コンテンツを提供してきた。同社のコンテンツは専用端末である「Kobo eReader」に加えて、iOSやAndroid、BlackBerry、Windows、Macなどでの閲覧が可能。また、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、オランダ語の6言語に対応。感想や気に入ったフレーズを共有できるソーシャル機能なども有する。

 楽天では、Koboの子会社化により、自社ブランドの電子書籍端末を持つことに加え、北米・欧州を中心とした海外の出版社や権利者、専用端末を販売する小売業者、製造委託先などとのネットワークも得られるとしている。また今後は、日本をはじめ世界各国で展開するEC事業などのサービスとの融合を図るとしている。