2012年1月20日金曜日

アップル、iPad用デジタル教科書の「iBooks 2」を発表

http://japan.cnet.com/news/service/35013273/

 Appleは米国時間1月19日午前、ニューヨークで開催された同社の教育関連イベントでデジタル教科書を披露した。

 「iBooks 2」と名付けられた同サービスにより、教科書制作者はAppleの「iPad」向けに完全にインタラクティブな教科書を制作できるようになる。同社によると、ユーザーは画面上をスワイプすることによって教科書のページをめくり、各章にある動画を参照できるようになるという。同社OSにおいてお馴染みのピンチやタップといった操作も適用することができ、書籍に対するユーザーのさらなるインタラクションを可能にする。

 Appleが重視したのはインタラクティビティ(双方向性)である。子供たちは、3D画像を表示し、回転させることによって、例えばDNA構造がどのようになっているのかをより深く理解することができると同社は述べている。書籍は、文章や画像に対して操作がしやすいように、垂直方向と水平方向の間で表示を切り替えることも可能だ。

 従来型の教科書と同様に、iPadを使用して教科書に簡単に印を付けることができる。Appleは、文章を強調表示したり、ページにメモを加えたりする方法を披露した。これらのメモは後で、学習カードにまとめることができる。これらのカードは、基本的に縦3インチ(約7.6cm)横5インチ(約12.7cm)の仮想的なカードであり、学習用フラッシュカードと同様に片面にトピックを記し、もう片面に定義を記すことができる。

 Appleは既に、Pearson、McGraw Hill、Houghton Mifflin Harcourtといった多数の主要な教科書出版社と提携を締結している。これは重要なことである。Appleによると、これらの企業で、米国における全教科書の90%を出版しているという。

 では、これらの教科書はどこで利用できるのだろうか?Appleによると、iBooks 2は、App StoreからiPadに無料でダウンロード可能なアプリケーションであるという。教科書そのものの価格は14.99ドル以下で、一度購入すると追加料金なしで再ダウンロードが可能であるとAppleは述べている。「iBookstore」には教科書セクションも追加されている。

「教科書の再発明」……アップル、iBooks 2をリリース、制作アプリiBooks Authorは無償で提供!

http://www.rbbtoday.com/article/2012/01/20/85294.html

 米アップルは19日(現地時間)、ニューヨークでプレスイベントを行い、iPad向けのアプリとして「iBooks 2.0」を発表するとともに、「Pages」や「Keynote」などのビジネス用アプリケーションと連携して電子書籍を制作できるMac向けアプリ「iBooks Author」を無償で提供することを明らかにした。

 iBooks 2.0はiTunes Storeで、またiBooks AuthorはMac App Storeすでにダウンロード可能。また、iTunes Uについてはビデオ、書類、アプリを完全に教科課程として配信することができる。シラバス(講義の概要)なども任意に配信できるようになるという。iTunes Uは大学以外の高校・中学・小学校向けの配信に対応する。iTunes Uアプリは無償で提供される。

 上述のように、制作については無償のiBooks Authorで可能なため、教員が制作した資料は、学生がiPadさえ持っていればさまざまな場面で活用できるようになる。グラフィックスやムービーなども容易に埋め込むことができ、誰でも短時間で教材の制作が可能だ。

 アップルのフィル・シラー プロダクトマーケティング担当上級副社長は、プレゼンテーションで、「われわれは教科書を再発明(Reinventing Textbooks)するとともに、カリキュラムについても(iTunes Uで)再発明した」と説明。また、iBooks向けに高校用教科書については14.99ドルで販売することも明らかにし、数社の出版社パートナーとすでに協業の合意を取り付けていることも発表した。

2012年1月19日木曜日

日本の電子書籍普及率が低い3つの理由

http://news.nicovideo.jp/watch/nw180150

 日本でiPadが発売され、“電子書籍元年”ともいわれた2010年。紙の本と電子書籍の同時発売などの話題で盛り上がりを見せたが2011年には、市場が少し落ち着いたかのように感じられた。
 一方、アメリカでは電子書籍端末Kindleが浸透し、amazonでは電子書籍が紙の本の売り上げを上回るなど、電子書籍の普及率の高さをうかがえる。それでは、日本がアメリカに比べて電子書籍の普及率が低いのはなぜなのか。
 ダ・ヴィンチ電子ナビで、電子書籍に関する疑問、質問に答えるITライターのまつもとあつし氏がその理由を分析した。

 まつもとあつし氏によると、日本の電子書籍の普及率が低い理由は3つあげられるという。

1.日本とアメリカで本のパッケージ(文庫の存在や大きさや重さ)が異なる。
2.本が作られるプロセスが異なり、販売価格も異なっている。
3.Kindleが実現しているような利便性がまだ多くの国内電子書店では実現されていない。

 まず、1に関しては「日本には新書とか文庫というとても持ち歩きに適した本のフォーマットがあります。北米ではそうではなくて、本は大きくて重いものという捉え方が一般的のようです。もちろん一応ペーパーバックという種類の本はありますが、かなり質の悪い紙を使っていて、しかも分厚いので、お世辞にも読みやすいとは言えません。そんな環境なので、Kindleの薄さと軽さは“紙の本では得られない”メリットとして強いインパクトがあったはずです」と話す。
   
 さらに、Kindleで本を買えば内蔵された通信機能で本が配信されるので本屋さんに行く必要がないが、そもそも日本は世界的にみても書店の数がとても多い。手間がかかるくらいなら、最寄りの駅の本屋さんで手軽に本を買った方が早くて楽だ、というのは現状、合理的な考え方だといえる。

 続いて2に関しては本が作られる過程が日本とアメリカでは大きく異なる点がポイントになる。
「日本では、出版社が著者に原稿を書いてもらって、原稿料を払い、書店に本を流通させる「取次」と呼ばれる会社に本を納入します。その際、まず取次会社から出版社にお金が支払われるんですね。
 対して、北米では、“エージェント”と呼ばれる専門家が著者と契約して本を書いてもらい、出版社と交渉して本を世に出していきます。交渉の過程で販売方法や販売数が練り込まれますし、出版社もリスクをできるだけ小さくするため、マーケティングに工夫を凝らします。

 個人的には日本も少しずつ北米型に移行していくと考えていますが、少なくとも現時点では、紙の本に比べるとリスクが高くなってしまっている電子書籍にどうしても二の足を踏んでしまう会社も多いのも事実です。電子書籍元年と呼ばれた2010年に、電子書籍部門を立ち上げたところも、2011年はまずは、試しにアプリを作ったり、数多く生まれた電子書店に一部の作品を提供して売れ行きを試したり――という形で石橋を叩きながら進んだというのが実態ではないでしょうか?」

 最後に3番目の理由についてはこう話す。
「Kindleがすごいのは、Kindle専用端末だけじゃなく、パソコン、スマホ、タブレットなどいろんなデバイス用のアプリを用意していて、“一度買えば、どの端末でも読むことができる”“どこまで読んだか、どこに下線を引いたか”といった読書情報が同期されるところなんですね。あくまでKindleで買った本に限られますが、自炊したPDFと同じかそれ以上の使い勝手が実現されています」

一方日本の電子書籍は「ある程度、いろんな電子書店で電子書籍アプリを買っていくと、何をどこで買ったのかわからなくなってしまったり、機種変更の際買った電子書籍がどうなるのか、という不安もユーザーの側には出てくると思います。App Storeで買った電子書籍アプリの多くは、たとえばAndroidタブレットには移行できません(ただし、紀伊國屋書店のKinoppy、角川書店のBOOK☆WALKERなどのように移行のための仕組みを備える電子書店も増え始めている)」などの改善点を抱えている。

(ダ・ヴィンチ電子ナビ 「まつもとあつしのそれゆけ!電子書籍」より)

2012年1月18日水曜日

アマゾンのレンタル書籍は月間約30万人が利用、女子高生作家が6000ドル売上

http://japanese.engadget.com/2012/01/17/kindle-library/

本が無料で借りられます。借りますか。アマゾンの有料会員 Amazon Prime メンバーの答えは「もちろん」でした。Amazon Prime メンバー向けにはじまった Kindle の電子書籍レンタルサービス Kindle Owners' Lending Library について、アマゾンが多数の利用があったと例によって実績自慢プレスリリースを発表しています。いわく、12月のあいだに発生した書籍レンタルは29万5000回。最大で月に1度・1冊までレンタルできますので、つまり29万5000人が利用したことになります。

人気を受けてアマゾンはレンタル対象書籍の拡充を進めており、すでに対象タイトルは7万5000冊以上になったとのこと。また、著作権者向けには50万ドルの予算を確保しており、12月ぶんについては1回のレンタルあたり1.7ドル(×29.5万回≒50万ドル)が著者に支払われます。このレンタル予算は1月にはさらに増え、70万ドルとなる予定。

この好調な書籍レンタルを考える上で欠かせないのが、アマゾンが進めるインディー作家・出版社向けサービス Kindle Direct Publishing(KDP)です。KDP に参加した作家・出版社は、前述のレンタル料を得ることもできますし、もちろんアマゾン経由でに Kindle 本を売るということもできます。ただ、レンタルに参加することで、本の売上も伸ばせるというのがアマゾンの言い分。特に KDP のトップ作家10人は、12月だけで売上とレンタル料あわせて7万ドルを稼いだという話で、中には6200ドルを得た16歳の女子高校生(Rachel Yuさん)までいます。

もちろん、参加する作家が増えれば増えるほど、アマゾン / Kindle にとっては利用できるコンテンツが増えるという仕組み。はじめはオンライン書店 Amazon、次は電子書籍端末 Kindle、そして KDP と、アマゾンによる出版市場の包囲網は確実に進んでいます。

2012年1月16日月曜日

Amazonの電子書籍レンタル、著者もユーザーも確かな手ごたえ?

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1201/16/news070.html

米Amazon.comが昨年末から開始した電子書籍レンタルサービスは、ファンド設立による著者へのインセンティブも働き、初月からインパクトのある数字が並んだ。

 米Amazon.comは1月12日(現地時間)、昨年末から相次いで立ち上げた電子書籍レンタルサービスとそのファンドについて、初月の成果を公開した。

 同社は2011年末、Amazon Prime会員向けに電子書籍のレンタルサービス「Kindle Owners' Lending Library」を開始した。月1冊無料で貸し出しを受けることができる同サービスのラインアップはスタート時で約5000タイトル。米作家エージェント協会やThe Authors Guildなどは既存の出版契約の範疇を超えるものだとして参加出版社に注意を呼び掛けていた。

 その後同社は「KDP Select」と呼ぶ年額600万ドルのファンドを立ち上げ、電子書籍のレンタルから著者や版元が収益を得られる仕組みを構築。KDPとは「Kindle Direct Publishing」の略で、従来は「Kindle Digital Text Platform」(Kindle DTP)と呼ばれていた自己出版サービスのことだ。

 KDP Selectは、KDPで作品を出版しようとする作家や版元に対し、幾つかの要件――一定期間、著書をAmazonのみで販売することやKindle Owners' Lending Libraryでの著書貸し出し――に応じることができる場合に、レンタルされた回数に応じてファンドから配分を受けることができるというもの。

 Amazonによると、Kindle Owners' Lending Libraryは現在7万5000タイトルにまで拡大、2011年12月はKDP Selectが適用されているタイトルだけで29万5000回の貸し出しがあったという。KDP Selectは年間600万ドル、月にならすと50万ドルのファンドなので、同プログラムに参加した作家は著作1回の貸し出しにつき約1.7ドルの支払いを受けたことになる。

 キャロリン・マクレイ氏、アンバー・スコット氏などKDP Selectに参加する人気作家トップ10人に対して同プログラムから12月に支払われたのは総額7万ドルで、販売による印税も含めると、前月から最大449%の伸びとなったとしている。

 KDP Selectの創設によって、電子書籍のレンタルであっても著者に収益機会があることを成果を持って証明したAmazon。この成果を受け、1月分は基金を70万ドル上積みし、著者のさらなる参加につなげたい考えだ。