2012年1月13日金曜日

電子新聞/雑誌コンテンツ配信のビューン、閲覧履歴収集の理由を説明

http://japan.internet.com/busnews/20120113/3.html

ソフトバンク グループで電子新聞/雑誌コンテンツ配信サービスを手がけるビューンは2012年1月12日、NHK が同日「(ビューンが)スマートフォンなどに提供している電子書籍のソフトが、利用者が読んだ雑誌や新聞の内容や閲覧時間などの情報を無断で記録していた」と報じたことを受け、閲覧履歴などのデータを記録している目的と、記録の事実を利用者に告知していなかった理由を説明した。同社では、データから個人を特定する意図はなく、特定も不可能な状態だが、今後は利用規約などにデータ取得することを記載するとしている。

同社はコンテンツ配信サービス「ビューン」と「ビューン for Woman」において、ユーザーが対応スマートフォン用アプリケーションで読んだコンテンツの種類や回数といった閲覧履歴データと端末識別情報を記録し、管理用サーバーで収集している。集めた情報は、閲覧状況に応じた売上金をコンテンツ提供元の新聞社/出版社/テレビ局と分配するためのデータと、30日間の無料試用期間を適用するかどうかの判断材料として利用するという。そのうえで、これら情報から利用者個人の特定する意図はまったくないと説明している。

さらに同社は、収集した情報から利用者を特定することが不可能であるため、「個人情報」と認識していなかったという。今後は、サービス利用規約などを通じて収集の事実を広く告知する方針。

文科省、電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議報告を公表

http://news.braina.com/2012/0112/move_20120112_002____.html

文部科学省は1月10日、2010年10月に設置された、「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」が、14回の検討会議の結果をまとめた報告を公表した。

同検討議会は、2010年3月から6月にかけて総務省、文部科学省、経済産業省が合同で開催した「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」の結果、文科省で検討すべきと指摘された3つの課題、「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方」 「出版物の権利処理の円滑化」 「出版者への権利付与」のそれぞれについて検討するため設置されたもので、作家、漫画家などの著作者、出版、図書館等の関係者と学術経験者で構成されていた。

報告は、「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方」については、「国会図書館のデジタル化資料の活用は緊急の課題」として、
同デジタル化資料を、一定の範囲、条件のもとに公立図書館等で利用可能となるよう、著作権法の改正を行うことが適当と述べ、その対象物は、市場における入手が困難な出版物等(電子書籍市場の発展に影響を与えない範囲)としている。さらに利用方法としては、公立図書館等における閲覧とともに、「一定の条件下における複製も認める」としている。また、これらの資料の本文検索サービスの提供が必要として、「画像ファイル形式データのテキスト化が必要」としている。また、デジタル化資料の民間事業者等への提供については、図書館と民間事業者等が連携した新たなビジネスモデルの開発が必要として、有償配信サービスの限定的、実験的な事業の実施の検討も必要としている。

「出版物の権利処理の円滑化」については、、(1) 中小出版者や配信事業者など多様な主体によるビジネス展開の実現、(1) 孤児作品(権利者不明作品)等の権利処理の円滑化を目的とした「権利処理を円滑に行うための仕組み」の整備することが必要として、「出版物に関する情報を集中的に管理する取組」「権利処理の窓口的な機能を果たす取組」「権利処理に係る紛争の処理に資する取組」の実現に向けて、権利者、出版者、配信事業者等の関係者間の具体的な協議を行うとともに、文科省等の関係府省の積極的な関与、支援が重要としている。

「出版者への権利(著作隣接権)付与」については、出版者から「電子書籍の流通と利用の促進」と「出版物に係る権利侵害への対応」の2つの観点から、その必要性等が主張されたが、新たな権利者が増えることは配信事業者等の電子書籍市場への新規参入を阻む可能性があり、電子書籍市場に与える影響について、経済的、社会的検証を行うことが必要との意見もあり、出版者等が中心となり、その電子書籍市場に与える全般的な影響について検証が必要で、また、法制面における課題の整理等については、文化庁にで専門的な検討を実施するとされた。その上で、電子書籍市場の動向を注視しつつの意見を踏まえ、制度的対応も含めて、早急な検討を行うことが適当。国民各層にわたる幅広い立場からの意見を踏まえ、制度的対応も含めて、早急な検討を行うとして、「要継続検討」という結論となっている。

【詳細】「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」報告の公表

2012年1月11日水曜日

米Barnes & Noble、赤字拡大を受け電子書籍事業「Nook」売却を模索

http://androwire.jp/articles/2012/01/10/03/

急拡大を続けていた米国の大手書店チェーンが岐路に差し掛かっている。米Barnes & Nobleは1月5日(現地時間)、現在同社が展開している電子書籍ビジネス「Nook」の事業分離を模索していることを発表した。Nookは同社にとって急成長事業である一方で、立ち上げ期のコスト負担の問題を抱えている。米国書店チェーン最大手の将来の生き残りをかけた選択はどのような結果をもたらすのだろうか。

2000年代前半まではライバルのBordersとともに全米に急激に店舗展開を行っていたBarnes & Nobleだが、採算性の悪化により拠点統合が進みつつあり、最終的に破綻したBordersの一部店舗や事業を受け継ぐ形でリテール事業を維持しており、現在に至る。この背景にはオンラインストアの米Amazon.comの攻勢があり、顧客争奪戦で既存の書店チェーンが不利に立たされたこともあるとみられる。また、ここ数年はAmazon.comのKindleに代表される電子書籍の利用が急拡大しており、こうした新技術が紙の書籍の売上に影響を及ぼした可能性も考えられるだろう。Barnes & Nobleは小売店舗事業だけでなく、これまでにもオンライン事業に力を入れているほか、最近では「Nook」と呼ばれる電子書籍端末と、それに提供される電子書籍コンテンツの拡充を行っており、Amazon.comならびにKindleへの対抗を強めている。今回のBarnes & NobleのNook事業分離も、こうした情勢の変化が背景にある。

Barnes & Nobleが5日に発表した同社会計年度で2012年度の決算ガイダンスによれば、大学キャンパス等で展開しているBarnes & Noble Collegeを含む既存の書店事業の見通しはほぼ横ばい。一方でNookを含むオンライン事業のBN.comが40-50%の増加見込みとしている。BN.comでの紙の書籍販売は減少しているものの、急成長中の電子書籍コンテンツ売上は伸びており、相対的に電子書籍の占める比率が高くなっている。つまり、同社の成長要素は電子書籍事業に集約されているといえる。一方でNOOK Simple Touchの売上減少や、Nook事業への継続投資、さらに販売地域拡大に向けた広告費用等が重石となり、同年度の最終的な損失(EPS/LPS)は当初予想よりも高い1株あたり1.40ドルから1.10ドルの水準を見込んでいるという。こうした報告を受け、5日の同社株は取引終了時点で11.24ドルと前日比17%の急落を見せている。

損失が急拡大したことで、同社は株主らからのプレッシャーが強まっている。成長の余地がないながら比較的安定した収入を得ている既存の書店事業と、急成長が見込めるが初期投資負担が大きい電子書籍事業の両立が難しくなっていることが、今回の事業分離判断へとつながっている。Barnes & Nobleとしては今後縮小が見込まれる既存の書店事業から電子書籍事業へのシフトを模索して継続投資を行っているものの、投資家視点からみて許容範囲を超えつつあるのがその理由だ。Nookの最大のライバルはKindleであり、その競合のためにマーケティング費用や端末販売負担が大きくなるためだ。そのため、Barnes & Nobleは高コスト事業であるNookの売却を模索しなければならない状態に追い込まれつつある。最終的に2つの組織に事業分離するのか、あるいは潜在的な事業買収者が現れて事業を売却するのか、そう遠くない時期に改めて発表が行われることになるだろう。またWall Street Journalによれば、同社は出版事業であるSterling Publishing(2003年に買収)の売却も模索しており、赤字拡大から事業整理を積極的に進めつつある。