2010年9月30日木曜日

電子書籍の(なかなか)明けない夜明け 第2回 日本のコンテンツ産業の黄昏

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/yoake/20100928_396436.html

携帯電話の普及とパケット定額で成長

 2010年に生きるあなたは「電子書籍端末」と言われたら、どんなものを思い浮かべるだろう。最近は電車の中でもよく目にするようになったAppleのiPad? それとも新型が出たAmazon Kindle?
 もしもあなたがそれらをイメージしたとすれば、それは日本の電子書籍の実態とは違う。実際には最も普及している電子書籍端末は携帯電話なのだ。さらに言えば意外に思われるかもしれないが、日本の電子書籍市場は既に世界有数の売上高を持つまで成長している。
 また、多くの人は「電子書籍」というと、小説だとか実用書のような活字系を想像するかもしれない。しかし実際に現在の日本で最も多く売れている電子書籍は電子コミックであり、より具体的に言えばエロ系コンテンツだ。ここまでは前回説明した。つまり、一般に電子書籍としてイメージされるだろうものと、実際の姿とでは大きな隔たりがあるように思える。
 こうした日本における電子書籍の急成長の追い風となったのは、爆発的とも言える携帯電話の普及だ。図1は携帯電話やパソコンの世帯普及率の推移をグラフ化したもの。携帯電話単体で見ると、1995年には16.3%にとどまっていたものが、わずか3年後の1998年には57.7%、2003 年からはずっと90%を超えている。パソコンと比較しても、携帯電話がこれを下回っていたのは初回調査の1995年のみで、それ以降は常にパソコンを上回る普及率を維持している。このような携帯電話の普及なしに、日本の電子書籍は考えることはできない。

図 1 携帯電話、PHS、パソコンの世帯普及率の推移。携帯電話のグラフの色が途中で入れ替わっているのは、当初の設問が携帯電話のみ、PHSのみの世帯所有を聞いていたところ、1995年からは「携帯電話とPHSのいずれかを所有」も聞くようになり、PHSの衰退とともに2005年からは「いずれか」だけを聞くようになったため。ただし、グラフ化すると設問の変更にかかわらず普及率の推移を辿ることができるのが興味深い(総務省「通信利用動向調査(世帯編)報告書及び統計表一覧」)
 加えて、2003年11月にKDDIが開始したパケット料金定額サービス「EZフラット」の登場が大きな意味を持つことになる[*1]。これによりユーザーはインターネットの接続料金をあまり気にすることなくコンテンツを楽しむという、アメリカなどでは考えられない環境を手に入れることができた。この2003年当時、まだ凸版印刷の一部門だったビットウェイが電子書籍サイト「Handyブックショップ」をスタートさせ、ここから携帯電話向けの電子書籍配信事業が始まる。
 翌2004年6月、KDDIに追従してNTTドコモもパケット定額を開始する。前回掲載したグラフ「日本における電子書籍市場の市場規模の推移」を図2に再掲しよう。2004年以降、携帯電話における電子書籍の売り上げが急増、その一方でパソコン向けが漸減していることが確認できるだろう。このように、今日ある日本の電子書籍市場は、携帯電話とパケット定額が作りあげたものと言ってよい。

図2 日本における電子書籍市場の市場規模の推移(『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』インプレスR&D、P.25、資料1.2.1を再構成)

急激に売り上げを落としている出版界と新聞界

 さて、前回の終わりでは、講談社首脳による日本電子書籍出版社協会発足の際の発言を引用した。それはどこかしら苛立ちや焦り、さらには怯えのようなものさえ感じられるものだった。では、彼を怯えさせているものは何か?
 前述のとおり、携帯電話における電子書籍の売り上げを支えているのは電子コミックだ。前回掲載した「携帯電話の電子書籍売り上げにおける種類別の内訳」を再掲しよう。

図3 携帯電話の電子書籍売り上げにおける種類別の内訳(前掲『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』P.26、資料1.2.2 電子書籍市場規模のジャンル別内訳を再編)
 その一方で、急激に売り上げを落としているものがある。電子コミックとは書店ルートで売られるマンガを電子化して再利用したものなのだが、肝心のマンガ雑誌やマンガ単行本が売れなくなってきているのだ(図4)。

図4 マンガ単行本、マンガ雑誌の推定販売金額(『2010出版指標年報』全国出版協会出版科学研究所、2010年、P.215)
 一見すると図3よりも変化のカーブが緩く見えるが、図4の縦軸は1けた違うことにご注意いただきたい。例えば2005年のマンガ単行本とマンガ雑誌の合計は5023億円あったのだが、その4年後には836億円も減って4187億円になってしまっている。この差額は図2で示した日本における 2009年の電子書籍全体の売り上げなどよりずっと多い! ただごとではない事態がマンガ業界で起きていることがお分かりいただけよう。
 しかし急激に売り上げを減らしているのはマンガ業界だけではない。そもそも出版業界全体が大きく売り上げを落としている(図5)。

図5 書籍と雑誌の推定販売金額(『2010出版指標年報』全国出版協会出版科学研究所、2010年、P.3)
 書籍と雑誌のいずれもが1996年をピークとして、以降急カーブを描いて下降していることが分かる。合計金額で見ると、2009年は1996年よりも7208億1000万円も落ちている。この金額は、日本の全人口(1億2776万7994人[*2])に対し、1人あたり約5500円ずつを配ることができるほどの大きな金額だ。
 つまり、新しく登場した電子書籍が売り上げを伸ばしている反面、旧来の書店ルートで販売される「モノ」としての本がそれを上回る勢いで売り上げを落としている。ただしここが大事なのだが、いくら急成長しているといっても、電子書籍は旧来の本の売り上げ減をカバーするほどの数字はあげていない。つまり、総体としては売り上げの減少の方がずっと目立つ。これが現在の出版界の構図だ。
 そして、これは出版社だけではない。売り上げという意味では、新聞の世界もまったく同様だ(図6)。ピーク時の2005年から比べ、2008年はなんと2788億円も減っている。

図6 新聞の総売上高の推移(日本新聞協会「新聞の総売上高の推移」)[*3]

本体の売り上げだけでなく広告まで

 出版社や新聞社の収入を支えているのは本体の売り上げだけではない。新聞はもちろん、雑誌においては広告収入を加えて収支収益を成り立たせるビジネスモデルになっている。また、NHK以外のテレビ、ラジオでは、時間枠をスポンサーに販売し、その広告を入れることにより利益を上げるビジネスモデルだ。ところが、これらの媒体において広告収入が急激に落ちている(図7)。

図7 テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、およびインターネットにおける広告の売り上げ(総務省特定サービス産業動態統計調査)[*4]
 横軸(時間軸)を長目にとってグラフ化しているので一見すると分かりづらいが、じつは新聞、雑誌、ラジオのいずれも、ピーク時に比べてほぼ半減している。1兆円を超えるテレビはさすがに半減までしないが、それでもピーク時の2000年から3645億円も減っている。
 そんな中で独り気を吐いているのがインターネット広告だ[*5]。 2006年に1200億円だったのが、4年後には65%増やして1980億円と、希望にあふれた急成長をとげている。つまり、ここでも旧来モデルが大きく落ち込む一方、まったく新しいモデルが成長しているという構図が見られる。そして、いくらインターネット広告が成長しているといっても、旧来の広告をカバーするまで至っていないことも共通している。
 ところで、よくグラフを見るとここ数年の落ち込みが特に激しいことに気付かないだろうか。中でもテレビ、新聞、雑誌は不吉なほど急な角度で下降している。図7のうち、インターネット広告の集計が開始された2006年から2009年の3年間だけを抜き出したグラフを作成してみた(図8)。

図8 2006~2009年におけるテレビ、新聞、雑誌、ラジオ、およびインターネットにおける広告の売り上げ(出典は図7と同)
 たった3年の間にテレビと新聞は2000億円以上、雑誌も920億円という気が遠くなるような金額が減っている。このカーブの陰で、いったい何人の人が収入を減らし仕事をなくしたのだろうか。考えただけでぞっとする。
 ここで図5・図6の出版社や新聞社の売り上げ急降下を考え合わせてほしい。これらの業界はまさに存亡の淵に立たされていると言える。そしてそれは広告が主な収入源であるテレビも同様だ。注意してほしいのは、近年の経済状況からいってしばらくは売り上げが下がることはあっても上がることは望めそうもないということだ。

音楽・映像産業でも売り上げ減少

 だんだん書いていて辛くなってきたが、売り上げが低下しているのは出版・新聞・テレビ・ラジオだけではない。同じコンテンツ産業である音楽・映像業界もご同様だ(図9)。

図9 12センチCD、有料音楽配信、DVDビデオの売り上げ(前2者は日本レコード協会、後者は日本映像ソフト協会調べ)[*6]
 12センチCDにおける売り上げピークは2000年の5088億円、それが2009年には半分に減って2459億円。その落差はなんと 2629億円。そしてDVDビデオにおける売り上げのピークは2005年の3477億円、それが2008年には2757億円。その落差は720億円。なんとも目を蔽いたくなるような惨状だ。
 ただし、その一方で売り上げを伸ばしているものがある。有料音楽配信だ。2005年には333億円なのが、その4年後には3倍近くになる910億円。書店ルートの「モノ」としての本が売れず、その一方で電子書籍が急成長している動きと奇妙なくらい符合する。
 こうした売り上げ減少の要因について、2008年10月からのリーマンショックの影響を見るのが大方の見方かもしれない。しかしそればかりでは説明がつかない。売り上げの下降はそれより前から始まっているからだ。
 ここまで挙げた活字、映像、音楽などのコンテンツ産業は、ずっと人々の余暇を支え、それによって収益をあげてきた。しかし図1から分かるように、21世紀に入って日本に住むほとんどの人が携帯電話やパソコンを持つようになった結果、多くの人々の「ヒマな時間のつぶし方」が大転換を遂げつつあるあるのではないか。もちろん、それを加速したものこそがインターネットだ。つまり、人々の消費行動そのものが「モノ」から「ネット」に比重を移しつつあるように思える。

そこにやってきたKindleとiPad

 以上の分析によって、出版や新聞業界のみならず、かつて盛況を誇ってきた多くのコンテンツ産業が、音を立てて崩れ始めているのがお分かりいただけたと思う。たった数年の間に業界全体で数百億、数千億も売り上げが減っている中で、平気な顔をしていられる経営者がいるだろうか。前回引用した講談社首脳の焦りや怯えとは、つまりこうした事実を背景にしたものと考えられる。
 これら売り上げを減らしている業界の中で、ただ独り成長しているのは、すべてインターネットを媒介にしたものだった。電子書籍、有料音楽配信、インターネット広告、いずれもそうだ。これらの成長は、前述した「モノ」から「ネット」へ人々の消費行動が移ったことを背景としたものだ。
 まさに、このようなタイミングで、米Amazonにおけるクリスマス期間中の電子書籍販売額が、初めて紙の本を上回ったと発表され(2009年12月26日)[*7]、AppleのiPadが発表された(2010年1月28日)[*8]。 KindleもiPadもインターネットをインフラとしてうまく取り込んでいるのが特徴であり、旧来の携帯電話をリーダー端末とする日本の電子書籍と比べると、一歩も二歩も進んでいると見えるものだった。このままでは今まで苦労しながら育ててきた、しかしまだ十分に成長しきっていない日本の電子書籍市場を、彼等アメリカの資本にごっそりと持って行かれてしまうのではないか?
 なるほど、前回述べたような、今年に入ってからの電子書籍をめぐる大手出版会社、大手印刷会社、取次、電機メーカー、そして新聞社までを巻き込んだ合従連衡は、こうした連想に基づくものだったのか。一言でいえば内憂外患。内では業界全体の地盤沈下、加えて外からは魅力的なアメリカ製品の上陸。
 では、これに対処するにはどうするか。短期的に紙の本の売れ行き増が期待できない以上、現に成長している電子の本に希望を見出すのはむしろ必然だ。しかしそれにはコンテンツの確保や制作だけでなく流通の問題も密接に関係する。だから業種の枠を越えた幅広い連繋が必要――そういうことなのだろう。
 一部にはまるで大手出版社が守旧派のように電子書籍を拒んでいるように言う人もいるが、ぼく自身は懐疑的に思っている。ここに挙げたような数字を前に紙の本の売り上げにしがみつけば、どのような未来が待っているか? 経営者のみならず誰が考えても分かることだ。

「中間(交換)フォーマット」への不安

 では、こうした日本企業の合従連衡は十分に合理的な判断に基づいたたものだろうか? そう考えると、いくつも不吉な兆しが見えてくるのが正直なところだ。おそらく、この問題が最も凝縮されているのがファイルフォーマットの選択だろう。調べれば調べるほど、どうも日本陣営の選択には無理があるように思える。
 2010年6月28日、総務省、経産省、文化庁の肝いりによる「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」が報告書を発表、そこで「中間(交換)フォーマット」が提案された[*9]。これは従来の電子書籍市場で主流であるシャープのXMDFとボイジャーのドットブックを統一するものだ。そして、これを具体化させようというのが、同年7月20日にシャープが発表した「次世代XMDFフォーマット」だ[*10]
 しかしここまで繰り返し述べたように、もともと日本の電子書籍市場における主要なリーダー端末は携帯電話だった。パソコンなどに比べて限られたメモリー、貧弱なCPUパワーを前提に、そうした環境に適応したファイルフォーマットを開発し、その基盤の上で成長を遂げてきた。
 例えば現在の携帯電話において主流を占めるファイルフォーマットであるシャープの現行XMDFには、見出しを付けることによって文書を構造化する、HTMLのH1~H6要素にあたるものが規定されていない[*11]。その反面で縦書き表示や簡単な禁則処理、音声再生、画面自体を振動させる効果等が用意されている。これは文書の構造化をあきらめる代わりに、画面表示に限られたリソースを配分したものと考えられる。
 一方で日本の携帯電話などよりはるかに遅く開発をスタートさせたiPadやKindleは、かつての日本の開発者が苦労したようなスペックの制限とは無縁だ。例えばiPadで標準的な電子書籍用のファイルフォーマットとして採用されているEPUBは、現在の一般的なウェブ標準である XHTMLとCSSのサブセットで構成されている。そのため、開発コストがかかる画面表示用のレンダリングエンジンなどは、パソコン用のものをそのまま流用することができた。
 いくらこれから策定される「次世代」といっても、旧来の貧弱な携帯電話の尻尾をひきずったフォーマットで、さらに旧来のコンテンツとの互換性を保証したまま、現代ウェブ標準の直系フォーマットに対抗できるのか? ぼくにはこの提案が不自然な手であるように思えてならない。
 そもそも上陸してくる「アメリカ製品」とは、倒すべき敵なのか? インターネットがもたらしたグローバル経済が隆盛を誇るこのご時世に、内と外で単純に敵味方に分ける二元論には、違和感を感じざるを得ない。それでも、この戦略には日本の多くのコンテンツ産業の未来がかかっているのは間違いない。舵取りを誤れば取り返しのつかないことになるだろう。次回はこの問題について掘り下げてみたい。
【追記 2010/09/30 20:55】
 この原稿は2010年の7月から8月にかけて執筆された。本文の最後ではこの時点での取材に基づき、シャープの次世代XMDFを中間(交換)フォーマットと同一のものとして扱っている。しかし、この見方は9月27日にあったシャープの記者会見では、「次世代XMDFは新聞や雑誌に、中間(交換)フォーマットは文芸系の書籍にフォーカスしたもの」として、正式に否定された。これは重要なことと思われるので、この件について少し詳しく追記したい。
 7月20日、都内ホテルでシャープの記者会見が開かれた(関連記事「シャープが電子書籍事業に参入、タブレット端末を年内発売」http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100720_381927.html)。この会見で、ぼくと同社の間で以下のような質疑応答があった。

小形:今日発表された次世代XMDFフォーマットと、先月発表された三省デジ懇報告書にあった統一中間フォーマットの関係は? 大畠昌巳執行役員(情報通信事業統括):報告書にあるフォーマットそのものだ。
小形:報告書ではドットブックとの統一が謳われていた。ということは今日発表された次世代XMDFフォーマットは、ドットブックと統合済みと理解してよいのか?
千葉徹執行役員(システムソリューション事業推進本部長):現在のXMDFについてはドットブックとの変換ソフトを開発済みだ。今回発表したものは三省のサポートを得て優良なコンテンツを広く再生可能にしようとするもの。業界の皆さんと一緒にドットブックはもちろん、EPUBとの間でも再生できるよう努めていきたいと思っている。
 今回の原稿は、上記の回答を踏まえて書かれたものだ。ところが、9月27日の会見での同社の言い方は、かなり違ったものになっていた。やりとりは以下の通り。
小形:前回の発表会で三省懇談会報告書にある中間(交換)フォーマットと次世代XMDFは同じものという説明があった。しかしフォーマットを決める審議会は、いまだ開かれてない。新製品は12月発売とのことだが、その影響は? 中村宏之所長(電子出版事業推進センター):多少誤解があるようだ。今日発表した次世代XMDF と、三省懇談会報告書の中間(交換)フォーマットとは、当面……あくまで当面だが、別物と考えてほしい。三省懇談会のフォーマットは、文芸系の書籍にフォーカスしたもの。一方、今日発表したものは新聞や雑誌にフォーカスしたもの。次世代XMDFはオーサリングから配信までシャープが新しく開発したものだが、まだまだ未完成。出版社様ともよく話し合い、良いものにしたい。そして、実績が出てくれば、あらためて交換フォーマットの次のバージョン等に提案させていただきたいと考えている。そうしたステップ・バイ・ステップのものとしてお考えいただければ。
 関連して、会見終了後に中村所長から直接話を聞いた。
小形:先ほど次世代XMDFは新聞・雑誌、中間フォーマットは書籍という話があった。しかし、その一方で書籍を扱う電子書店を始めるとも言っていた。そこで考えたのだが、これは新聞・雑誌の配信は次世代XMDFを使ってシャープ自身がやり、電子書店では各種団体に場所を貸し、EPUB、PDF、現行XMDF等、複数のフォーマットで販売するということなのか? 中村所長:国内と国外とで変わってくるが、少なくとも国内に話を限ればその通り。別に私共は XMDFしか売らないということではない。三省懇談会ではボイジャーさんと仲良くなれた。どちらのフォーマットが良いなどということではなく、電子書籍の世界をどう広げていくかが重要。そのためにはオープンでフリーでなければいけないということで検討を進めている。
 シャープが7月20日に発表したニュースリリース(http://www.sharp.co.jp/corporate/news/100720-a.html)を見ても分かるが、この時点で同社は次世代XMDFを電子書籍全般のソリューションとして位置付けている。ところが9月になると、次世代XMDFは新聞・雑誌だけで使うよう方針を転換したことになる。
 おそらく時間が経過するに従って各領域のビジネスモデルが明確化し、その結果、ファイルフォーマットによって排他的に事業を進めることの損得も明確化したのではないか。
 例えば新聞・雑誌の配信では配信システムを自社がゼロから構築するので、フォーマットは自前のものに限定した方が都合よい。もちろん電子書店でも配信システムを自社が握るのは同じだ。しかしこちらは多くの出版社からコンテンツの提供を受けなければならず、多少煩雑でも出版社が提供しやすいようフォーマットの壁をなくした方が収益を見込める。だから中間(交換)フォーマットを活用して、なるべく多種多様なフォーマットを扱えるようにしたい、そういうことではないか。
 ここで重要なことは中間(交換)フォーマットは制作の過程で必要になるもので、読者が読む配信フォーマットとは違うということだ。仮にこれを配信フォーマットとして捉えれば、その欠点が露呈してシャープが目論むようなビジネスモデルも崩れざるを得ないだろう(このあたりは次回詳しく書く予定だ)。
 この原稿はシャープの9月27日の会見翌日に配信だったので、本文を修正しようと思えば間に合った。しかしそこまで考えが至らず、はてなブックマークのコメントを見てこの文章を書いている。これからも厳しい(またできれば温かい)コメントをお寄せいただければ幸いです。

注釈

[*1]……『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』高木利弘(インプレスR&D、2010年、P.55)
[*2]……「2005国勢調査:人口総数」総務省統計局(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/01.htm
[*3]……「新聞の総売上高の推移」日本新聞協会(http://www.pressnet.or.jp/data/03finuriage.htm
[*4]……「特定サービス産業動態統計調査:広告業」総務省(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1/xls/hv14403j.xls
[*5]……この調査では一括しているが、インターネット広告とは検索エンジンに入力したキーワードに連動する検索連動型広告、携帯電話のウェブを対象としたモバイル広告、ユーザーの閲覧履歴に連動する行動ターゲティング広告などに分類される。より詳しい分析には、例えば「今後5年でモバイル2.3倍、検索連動1.6倍、行動ターゲティング8.7倍へ……インターネット広告市場規模推移」不破雷蔵、Garbagenews.com(http://www.garbagenews.net/archives/976884.html)がある。
[*6]……12センチCDは、社団法人日本レコード協会「音楽ソフト種類別生産金額の推移」(http://www.riaj.or.jp/data/money/index.html)、有料配信は、同協会「有料音楽配信売上実績」(http://www.riaj.or.jp/data/download/index.html)、DVDビデオは、社団法人日本映像ソフト協会「各種調査報告」(http://www.jva-net.or.jp/report/report_bn.html)。なお、DVDビデオの統計には音楽DVDを含んでいないことに注意。
[*7]……“On Christmas Day, for the First Time Ever, Customers Purchased More Kindle Books Than Physical Books”, Amazon.com (http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=176060&p=irol-newsArticle&ID=1369429)
[*8]……「Apple、iPadを発表」アップル(http://www.apple.com/jp/news/2010/jan/28ipad.html
[*9]……「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会報告書」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000075191.pdf
[*10]……「シャープが電子書籍事業に参入、タブレット端末を年内発売」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100720_381927.html
[*11]……“IEC 62448 Ed. 2.0, Multimedia systems and equipment - Multimedia E-publishing and E-books - Generic format for E-publishing” (International Electrotechnical Commission, Geneva: 2009.) ※IEC 62448は2009年の第1次改訂において、附属書BとしてXMDFの仕様を追加している。

2010年9月28日火曜日

電子書籍の(なかなか)明けない夜明け 第1回 携帯電話で成長できた日本の電子書籍市場

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/yoake/20100927_396277.html

それはKindleとiPadで始まった

 よその国で始まったドミノ倒しが、いつのまにか海を渡って自分にも倒れかかってきた。今年に入ってからの電子書籍「ブーム」は、ぼくにはそのように感じさせられるものだった。いったい何が起きているのだろう? ブームに踊らされて、ぼくもこの現象に向き合ってみたくなった。
 これから始める連載では、主に技術や規格の側面から電子書籍を考える。あまりポピュラーとは言えない視点だが、かえって見えにくいものが見えてくるかもしれない。
 しかし今これを語るには、あまりにも情報が錯綜している。そこで電子書籍を考える前提として、2回に分けて今起きていることの整理をしたい。既に多くの人が同種のことを書いているので周回遅れという気もするが、できるだけ信頼できる資料を吟味して、これからの連載の基本となるような視点を提出したいと思う。
 まず試みに昨年末からの電子書籍に関する主なニュースを挙げてみよう。

  • Amazon.com、クリスマス期間中の電子書籍の販売額が、初めて紙の本を上回ったと発表(2009年12月26日)[*1]
  • Apple、iPadを発表(2010年1月28日)[*2]
  • 電子書籍の課題や制度を検討、3省合同の懇談会が初会合(2010年3月18)[*3]
  • 「日本電子書籍出版社協会」発足、出版31社が参加し規格など検討(2010年3月24日)[*4]
  • 日本電子出版協会、「EPUB」日本語要求仕様案を策定(2010年4月1日)[*5]
  • ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社、電子書籍配信事業に関する事業企画会社の設立を発表(2010年5月27日)[*6]
  • 専門書・実用書出版社14社、「電子書籍を考える出版社の会」設立(2010年6月8日)[*7]
  • 紀伊國屋書店が電子書籍販売事業に参入(2010年6月21日)[*8]
  • 電子書籍の3省懇談会、著作権集中管理や統一中間フォーマットの検討を提言(2010年6月22日)[*9]
  • Google、この夏に「Googleエディション」開始~電子書籍販売に参入(2010年7月8日)[*10]
  • シャープ、新たな電子書籍ソリューションを発表(2010年7月20日)[*11]
  • 大日本印刷と凸版印刷、「電子出版制作・流通協議会」の設立を発表(2010年7月27日)[*12]
  • NTTドコモと大日本印刷、電子出版ビジネスで提携(2010年8月4日)[*13]
 一連の騒動の始まりが、海の向こうで生まれたAmazonとAppleの製品であることは間違いない。これに反応して、まるでドミノ倒しのように国内の主立った出版社、印刷会社、書籍流通、電機メーカー、通信キャリア等が合従連衡を始めた。こうした報道を見ると、すごい勢いで世の中が変わりつつあるようにも思えてくる。しかしよく調べると国内各社の動きは、冷静に考え抜かれたというより、どこか小鳥の群れが風に驚いて飛び立ったようなもののように思えてくる。

10年以上も前からあった日本の電子書籍

 冒頭「よその国で始まったドミノ倒し」などと書いたが、ぼくが不勉強なだけで、じつは日本ではとっくの昔から電子書籍をめぐる試みは始まっている。図1を見てほしい。これはGoogleウェブ検索における特定キーワードのトラフィックの増減を視覚化してくれる「Googleトレンド」で、「電子書籍」をグラフ化したもの[*14]

図1 2004年1月4日~2010年7月28日まで、日本において「電子書籍」が検索されたトラフィックの増減。全期間の平均値を1として算出されている
 グラフを見ると、2009年末からトラフィックが急増しているのは当然として、2004年にも2つの小さな山があることが分かる。時間軸の早い方の山は2004年3月21日からの、遅い方は同年6月20日からの週に記録されたものだ。
 この種のキーワードは報道に反応することが多い。これに対応するニュースを探すと、同年3月24日にソニーがリブリエを発表している[*15]。しかし6月20日の週に対応するニュースは見つけられなかった。同年1月29日に松下電器産業(当時)がΣBookを発表[*16]しているが、1月にトラフィックの増減が見られないことから、何らかの理由でデータがずれて集計されているのかもしれない。
 ΣBookもリブリエも「そういえば」と懐かしく思い出す読者もいるはずだ。ただしこれらの機器はあまり売れず、現在は販売されていない。それでも、現在の電子書籍ブームのはるか以前、2004年にも小さな「ブーム」が存在したことが、このグラフから見て取れる。それだけでない。表1を見てほしい。

表1 現行のKindle、iPadと2004年の読書専用端末の比較
 2004年に発売された製品は、6年後のものより特に劣っていない。それどころか部分的には上回る項目さえある。つまり現在売られている読書専用端末と、あまり性能が変わらないものが、既にこの時代から売られていた。では、同じような性能の機械でありながら、なぜΣBookやリブリエは尻すぼみに終わり、KindleやiPadは華々しい売り上げを出しているのか? このあたりが今日のブームの行方を占う1つのカギなのかもしれない。
 もう少し検証を進めよう。じつは2004年ですら「電子書籍元年」ではない。もし図1のグラフがもっと以前まで集計できれば、例えば以下のような電子書籍に関するニュースのトラフィックも拾っていたはずだ。

  • 電子書籍コンソーシアムがオンデマンドによる販売実験(1999年9月16日)[*17]
  • 出版大手8社の電子書籍を販売する「電子文庫パブリ」9月1日オープン(2000年8月30日)[*18]
  • イーブックイニシアティブ、読書用PDA「イーブック端末」を発表(2001年4月10日)[*19]
 さらに言うなら、1993年のフロッピーによる電子書籍端末、NECデジタルブック[*20]や、1990年の8センチCD-ROMを使ったソニーのデータディスクマン[*21]、あるいは1987年のワープロ専用機OASYS 100用のCD-ROM版『広辞苑』[*22]という先行例もある。

世界に誇る日本の電子書籍市場

 このように、日本ではずっと以前からいくつもの電子書籍端末やそのサービスがリリースされてきた。ここで忘れてならないことは、2000 年に発足した「電子文庫パブリ」の参加メンバーが、そのまま10年後に発足した日本電子書籍出版社協会の中核メンバーであるように、あるいはデータディスクマンやリブリエを作ったソニーが、そのまま2010年の電子書籍配信事業準備株式会社の設立にも参加しているように、主立った出版社、印刷会社、電機メーカーが何度も電子書籍に挑んでは撤退するのを繰り返してきたことだ。
 ただし、こうした日本の電子書籍の試みは失敗ばかりだったわけではない。むしろ着実に成長を重ね、売上高だけを見れば、今や世界有数の規模を持つ電子書籍市場になるまで成長している。2009年の日本における電子書籍の売り上げは574億円[*23]。これに対してアメリカは2009年は3316万ドル(約368億円)[*24]、他には中国は2009年が45億円[*25]。つまり日本は、これらの国を大きく引き離しているのが現状だ(図2)。

図2 2009年における日本、アメリカ、中国の電子書籍売上額(単位は億円、出典『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』および『同[新プラットフォーム編]』インプレスR&D)
 こうした日本における高い電子書籍の売り上げを支えているのが携帯電話だ。図3のグラフを見ると、圧倒的な売り上げをあげているのは携帯電話であり、iPhone、iPad、Kindle等の新プラットフォーム向け[*26]は微々たるものに過ぎず、パソコン向けもごく少数にすぎないことが分かる。

図3 日本における電子書籍市場の市場規模の推移(前掲『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』P.25、資料1.2.1を再構成)
 日本での主な電子書籍端末が携帯電話であるという点は、Kindleなど専用端末が多くを占めるアメリカ、パソコンで閲覧するのが主である中国とは異なる、日本独自の特徴であることを覚えておきたい。

電子コミックが主流の日本の電子書籍

 では、この携帯電話向けの電子書籍の内容はどんなものなのか。図4を見てほしい。市場が立ち上がった直後から、一貫して電子コミックが多くを占めている。図5として2009年におけるジャンルごとの内訳も出しておいた。

図4 携帯電話の電子書籍売り上げにおける種類別の内訳(前掲『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』P.26、資料1.2.2 電子書籍市場規模のジャンル別内訳を再編)

図5 2009年における種類別の内訳(出典は図4と同)
 そこで、日本の電子書籍の過半を占める携帯電話における電子コミックとは、いったいどんな内容のものなのか? 図6をご覧いただきたい。

図6 電子コミックの売れ筋ジャンル(前掲『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』P.48、資料1.5.15)
 これはインプレスR&Dが携帯電話向けの電子書籍業者に行ったアンケート調査の一部。自社の売れ筋コンテンツをたずねたところ、上位3つが成人用コミック、ボーイズラブ、ディーンズラブ、つまりエロ系コンテンツなのである。
 この調査は2010年6~7月に質問を送った313社のうち、32社が返答した結果をまとめたものだ(回収率20.4%)[*27]。32社だけの回答をそのまま業界全体に当てはめるのは無理がある。しかし、実際に携帯電話の電子書籍サイトを見て回ると、確かに全体の傾向としてエロ系コンテンツは多いと感じられる。
 さらに、アンケート調査で聞いているのは「売れ筋」である点に注意しよう。量としてエロ系コンテンツが多いというだけでなく、事業者にとってはこれがあるからこそ電子書籍ビジネスが成立していることを伺わせる。

彼等は何に怯えているのか?

 以上をまとめよう。日本では20年以上も前から電子書籍に関するさまざまな挑戦が繰り返されてきた。何度も失敗した後、ようやく実を結んだのが携帯電話を舞台にした電子書籍の配信事業であり、近年は倍々ゲームで成長を続けている。そしてそのジャンルを見ると、多くは電子コミック、中でもエロ系コンテンツが目立つ。
 日本では主な電子書籍端末が携帯電話だという点は、アメリカや中国とは違う、日本独自の電子書籍市場の特徴だ。そこでの売り上げの多くを占めているのがエロ系コンテンツであることは、かつてビデオやDVDにおいて、最も最初に普及したのがやはりエロ系コンテンツであったことを思い出させる。
 この連想が本当なら、今の市場の姿は過渡期のもので、本当に多くの売り上げをあげるようなキラーコンテンツは、これから登場するということになる。ひとまず冒頭ならべた電子書籍に関する各社の合従連衡も、そうした思惑が込められているという推測が成り立つ。つまり、現在のエロ系コンテンツの代わりに、書店で売られているようなベストセラーがそのまま置き換わるという図式だ。
 しかし、それにしては登場する顔ぶれが大袈裟すぎないか。冒頭引用した報道では、大手出版会社や携帯キャリア、電機メーカーが顔を出しているのは当然として、取次や大手印刷会社、そして新聞会社まで登場するのだ。
 何より彼等は切羽詰まっているように見える。例えば2010年3月24日、講談社の野間省伸副社長は、日本電子書籍出版社協会の発足にあたり、記者会見で次のような発言をしたという。
「日本の出版界に電子書籍やデジタル化の波が押し寄せてきても、紙か電子のゼロサムで考える必要はなく、優れたコンテンツを読者に提供する手段が増えることはむしろ望ましいこと。作家や漫画家の発掘・育成、才能の拡大再生産こそが出版社の役割であり、それはデジタル化でも変わることはない。」[*28]
 ゼロサム……? ぼくがこの発言を読んで印象に残ったのは、そこで強調されている「出版社の役割」などよりも、むしろ言葉の端々から漂ってくる何かへの苛立ちや焦り、さらには怯えのようなものだった。同じようなものは、他の報道に登場する日本の大企業首脳の発言からも嗅ぎ取れる。では、彼等は何に苛立ち、何に怯えているのだろう? それを探るには、もう少し範囲を広げてデータを集める必要がありそうだ。次回は、これについて考えてみたい。

注釈

[*1]……“On Christmas Day, for the First Time Ever, Customers Purchased More Kindle Books Than Physical Books”, Amazon.com(http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=176060&p=irol-newsArticle&ID=1369429
[*2]……「Apple、iPadを発表」アップル(http://www.apple.com/jp/news/2010/jan/28ipad.html
[*3]……「電子書籍の課題や制度を検討、3省合同の懇談会が初会合」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100318_355430.html
[*4]……「『日本電子書籍出版社協会』発足、出版31社が参加し規格など検討」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100324_356586.html
[*5]……「EPUB日本語要求仕様案(解説)」日本電子出版協会(http://www.jepa.or.jp/press_release/epub_jp_pressrelease.html
[*6]……「ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社、電子書籍配信事業に関する事業企画会社を設立」ソニー(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201005/10-0527/
[*7]……「これからの電子出版や電子書籍・雑誌に取り組むための団体『電子書籍を考える出版社の会』を設立」電子書籍を考える出版社の会(http://ebookpub.jp/press/20100608.html
[*8]……「紀伊國屋書店、ハイブリッドデジタル販売モデルで電子書籍流通を」紀伊國屋書店(http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=254399&lindID=2
[*9]……「電子書籍の3省懇談会、著作権集中管理や統一中間フォーマットの検討を提言」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100622_376075.html
[*10]……「Google、この夏に『Googleエディション』開始~電子書籍販売に参入」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100708_379334.html
[*11]……「新たな電子書籍ソリューションで、電子書籍事業に参入」シャープ(http://www.sharp.co.jp/corporate/news/100720-a.html
[*12]……「NTTドコモ 大日本印刷 電子出版ビジネスで提携」NTTドコモ/大日本印刷(http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2010/08/04_00.html
[*13]……「電子出版制作・流通協議会の設立について」大日本印刷(http://www.dnp.co.jp/news/1217630_2482.html
[*14]……http://www.google.com/trends?q=%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%9B%B8%E7%B1%8D&date=all&geo=jp&ctab=0&sort=0&sa=N
[*15]……「ソニー、フィリップス、E Inkによる電子ペーパー・ディスプレイ」ソニー(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200403/04-0324B/
[*16]……「松下、電子ブック『ΣBook』を書店・ネットで発売 」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/29/1921.html
[*17]……「電子書籍コンソーシアムがオンデマンドによる販売実験」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/1999/0916/ebj.htm
[*18]……「出版大手8社の電子書籍を販売する『電子文庫パブリ』9月1日オープン」INTERNET Watch(http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/0830/paburi.htm
[*19]……「イーブックイニシアティブ、読書用PDA『イーブック端末』を発表」PC Watch(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010410/ebook.htm
[*20]……「NECデジタルブック」Katsuhiko Nishida [NEC] / Kazuo Shimokawa [EAST](http://www.est.co.jp/ks/dish/nec_db/nec_db.htm
[*21]……「ソニー商品のあゆみ(PDA)」ソニー(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/sonyhistory-i.html
[*22]……「EPWINGコンソーシアム入会について:変遷(略歴)」EPWINGコンソーシアム事務局(http://www.epwing.or.jp/member/admission/index.html#history
[*23]……『電子書籍ビジネス調査報告書2010[ケータイ・PC編]』高木利弘(インプレスR&D、2010年、P.24)
[*24]……アメリカの電子書籍業界団体IPDF(International Digital Publishing Forum)の統計(http://www.idpf.org/doc_library/industrystats.htm)による。このページの説明によれば、ここにある数値は卸値とのこと。同じく説明では〈Retail numbers may be as much as double the above figures due to industry wholesale discounts.〉(小売りの統計数値は表にある卸値を2倍にすれば同程度になるだろう)とあるので、単純にこの数値を2倍にした上で、 2002~2009年のドル円為替レートの平均値である111円によって円換算した。なお、為替レートは『通貨換算機能システム』(http://fxtop.com/jp/cnv.htm)の数値を使用した。
[*25]……『電子書籍ビジネス調査報告書2010[新プラットフォーム編]』高木利弘(インプレスR&D、2010年、P.125)所載の『China Book Business Report』の統計による。ただし同報告書では引用元の書誌情報や、円元換算レートが明示されていないなど、データの扱いに若干の不安があることをお断りしておく。
[*26]……前掲、『電子書籍ビジネス調査報告書 2010[ケータイ・PC編]』によれば、「新プラットフォーム」の定義は次の通り。〈スマートフォン向けのモバイルマーケットプレイスの電子書籍カテゴリ、スマートフォンやタブレットPC等のビューワーアプリ経由で購入する電子書籍、iBookStoreやKindleやこれに類似した電子書籍配信サービス、PC・スマートフォン・電子ブックリーダーなどマルチデバイスで閲覧が可能な電子書籍配信サービス、PSPやNintendo DSなどゲーム機向け電子書籍配信サービス。〉(同書、P.24)
[*27]……なお、この質問では複数回答を許しているため、回答数と回答者数が一致していない。
[*28]……注4で挙げたINTERNET Watch「『日本電子書籍出版社協会』発足、出版31社が参加し規格など検討」より。