2012年1月26日木曜日

青少年E-Book市場開拓の鍵は「ソーシャル」

http://www.ebook2forum.com/members/2012/01/us-children-prefer-ebooks-more-than-ya/

米国バウカー社が行っている定期の出版市場調査PubTrack Consumerが、10-11月度に行った調査で、12歳以下の児童ではE-Bookへの関心は高いものの、それ以降では相対的に低いことが明らかにされた。もちろんデジタルが嫌いなわけではない。子供から大人への時期は、読書習慣(つまり読書市場)の形成上で重要な意味を持つが、課題はE-Bookにおける「ソーシャル」と利用の「自由」ということのようだ。(paidContent, 01/23)
児童・青少年市場の規模は30億ドル(2010)で、E-Bookは金額ベースで児童書の11%、青少年(YA)図書の13%が占めている。E-Bookの平均価格は印刷本の40~60%ほどなので、点数ベースのデジタル化率は、いずれも20%を越えていることになる。出版社はこの市場の成長を担うものとしてE-Bookに期待している。この調査は、市場の区分を反映して、0-12歳の子供を持つ両親と13-17歳の子供を持つ両親の2つのグループに対して行われた。

0-12歳市場
27%の子供は自分のコンピュータを持ち、25%がiPhone、12%がiPod Touch、7%がE-Readerを保有するなど、デバイスの浸透はかなり進んでいる。また親が新製品を購入する際のお下がりや親との共有が多いので、親のガジェット好き、デジタル好きが影響する傾向も読める。レポートによると、2011年の初めのデータで、家庭の児童書のうち、新規購入は37%で、34%はお下がり、17%はプレゼント、9%が図書館の借り出しとなっており、譲渡や貸し借りがほとんど出来ないE-Bookは不利だ。75%はまだE-Bookを購入したことがないが、うち半数以上が「近いうちに」と答えており、E-Bookを買う両親が増えることで、ある程度は自動的に子供のEリーディングも増えていくだろう。しかし、両親の3分の2は、子供には印刷本を読ませたいようで、紙でもデジタルでも気にせず、Eリーディングを楽しんでいる子供と対比を見せている。

13-17歳市場
驚いたことに、ティーンはあらゆる年代の中でE-Bookへの適応が最も遅れている。66%は印刷本のほうを好み、選り好みしない26%、デジタルを好む8%を圧倒している。レポートによると、これはE-Bookのソーシャル・ネットワーキングへの対応が遅れているのが主な理由のようだ。また利用に制約が多すぎると考えている子供も、1年で6%から14%に増加している。リーディング・デバイスの保有率は高くないが、6割は両親からのお下がりがあるので、2012年からは増加することが期待される。ティーン・エイジャーは、ソーシャルネットワークからの影響を最も受けやすいので、FacebookやTwitterからすぐに購入できる環境や、E-Bookプラットフォームでのソーシャル・リーディング対応を進化させることが課題となっていると見られる。もともと読書率が下がるこの年代は、ほとんどがPCを保有し、スマートフォン、ゲーム機と使い分けているが、E-Bookの機能性を高めないと読書は印刷本で完結していたものと思われる。この年代の市場開拓は児童より難しいが、課題を克服できれば潜在市場は大きいと見られる。

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