2011年6月1日水曜日

デジタルトレンド2011:進化する電子書籍 写真集や「動く」「歌う」絵本も

http://mainichi.jp/select/biz/news/20110531ddm010020006000c.html

電子書籍端末として注目を集めたアイパッド(iPad)発売から約1年。国内では、出版社や通信事業者、電機メーカーが相次いで電子書籍の配信事業に参入した。文芸書からビジネス書、絵本などが発行され、対応端末の多機能化など普及に向けた取り組みが進んでいる。【岡礼子】

 ◇マルチデバイス化、KDDIは端末拡大

電子書籍が閲覧できる各社の端末。左上から、ガラパゴス(シャープ)、アイパッド(アップル)、アイフォーン(同)、エクスペリア(ソニー・エリクソン)、リーダー(ソニー)、ビブリオリーフ(KDDI)
電子書籍が閲覧できる各社の端末。左上から、ガラパゴス(シャープ)、アイパッド(アップル)、アイフォーン(同)、エクスペリア(ソニー・エリクソン)、リーダー(ソニー)、ビブリオリーフ(KDDI)
 今年4月、月刊誌「ダ・ヴィンチ」を発行するメディアファクトリーが国内初の電子書籍アワードを発表した。動く絵本「ヌカカの結婚」(森川幸人著)など3作品が大賞を、「歌うクジラ」(村上龍著)が文芸賞を受賞した。「歌うクジラ」は音楽が流れるなど紙の書籍では表現できない工夫が凝らされている。
 多彩な電子書籍が増えるにつれ、購入者は複数の端末で読むことができるマルチデバイス化を期待する。紀伊国屋書店は20日、パソコン向け電子書籍配信サービス「紀伊国屋書店BookWebPlus」をスマートフォンやタブレット端末で使えるようにした。購入履歴や読書記録を一元管理し、同じ会員IDで購入した電子書籍なら3台まで別の端末に再ダウンロードできる。6月1日からiPad、アイフォーン(iPhone)向けアプリも提供する。
紀伊国屋書店BookWebPlusの携帯向けサイト(左)と、KDDIのLISMO Book Storeの画面
紀伊国屋書店BookWebPlusの携帯向けサイト(左)と、KDDIのLISMO Book Storeの画面
 KDDI(au)も、電子書籍専用端末「biblio Leaf(ビブリオリーフ) SP02」だけだった配信サービス「LISMO Book Store」を、4月からスマートフォンに拡大。最大五つの端末で読める。現在は対応する端末は4機種のみだが、順次増やす。感想などをSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿できる機能もある。扱うコンテンツも、ビブリオ向けが小説や実用書に限られていたのに対し、スマートフォン向けでは写真集やコミックを追加。コミックの閲覧が多いので、同社は利用者増に期待している。
 書店で本を探すように、読みたい本から購入方法を選べる仕組みも広がってきた。新潮社は4月、自社サイトに電子書籍ライブラリーを開設し、同社の電子書籍が対応している端末と購入方法の表示を始めた。今後は単行本の刊行から約6カ月後に電子書籍を出していく方針で、スマートフォン、タブレット型、携帯電話などすべての端末で購入、閲覧できるようにする。
 一方、電機メーカーでは新たに富士通が今夏、電子書籍書店を開設する。大日本印刷グループ「モバイルブック・ジェーピー」から書籍の提供を受け、富士通グループのジー・サーチ(東京都港区)の雑誌記事、統計情報、調査リポートなどと合わせて約30万点の品ぞろえを目指すという。

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