2012年1月6日金曜日

2012年を読み解く10のキー・トレンド (前)

http://www.ebook2forum.com/members/2012/01/key-trends-of-ebook-market-in-2012/

デジタルの動きは日本で鈍く、欧米ではさらに加速度がついている。米国では、1年前「5年以内に20%」と言われていたが、今は「1~5年以内に50%」という認識で出版業界が動いている。遠くない先に、その先まで考えるような事態になってもまったく驚きではない。それは印刷本の売れ行きしだいということだ。そして日本がどれだけ遅くても、いずれは同期することになる。一次生産者(著作者)と消費者がそれを必要と感じるならば、出版社がサボタージュを続けることはできない。

問題は、そのときに日本の出版市場と出版業界がどんな状態になっているか、ということだ。対応が遅いほど、出版社の選択は苦しいものとなる。出版の生産と流通が、同時にこれほど急速に変わる時代はなかったし、これほどグローバル化したこともなかった。これはすでに明白かつ現前していることで、あとで「想定外」にはして欲しくない。

出版社が自主的に(流通会社に頼らずに)デジタル出版インフラ造るには時間がかかる。印刷本と共存させるには印刷会社の協力が不可欠と思うが、それに依存するだけなら出版社のインフラにはならない。製作から販促まで、使えるサービスは高度化し、コストは劇的に安くなっているが、最適な環境を構築し、最適な形で運用する知恵をつけることが難しいのだ。現在米国で経験していることのほとんどは、ほぼすべてが日本でも共通する課題となる。というわけで、E-Book2.0プロジェクト(Forum/Magazine+)では、今年も日本という場を踏まえつつ、国境を越えた問題にアプローチしていきたい。

以下は、ランダムに10個選んだ2011年のキートレンドである。昨年顕著になってきて、今年様々なトピックやイベントと結びつくことが確実であるものを選んである。日本ではあまり問題になっていないものはあるが、市場の拡大あるいは国際化とともに、意識されるようになるだろう。

1.EPUB 3:E-Bookの独立とアプリ化の新パラダイムが始まる
2.HTML5:書籍から雑誌・新聞まで―出版サービスのプラットフォームからの自立を促す
3.自主出版:出版市場のインフラとして定着・成熟へ
4.ショートE-Book:出版を多様化し、ジャーナリズムの経済的基盤となる
5.アマゾン出版:堅実なマーケティングで着々と地歩を築く
6.メディア・タブレット:非アマゾン型を目指して機能別・用途別多様化へ
7.E-Reader:低価格化と高級化で多様なニーズを吸収
8.知的財産権問題:「海賊懸念」薄れ、社会的利害調整が本格化
9.図書館E-Book問題:泥沼化か「市場による決着」か
10.書店のサバイバル:テクノロジーを使った試行錯誤が続く

2011年12月30日金曜日

電子書籍端末、市場が急拡大=タブレットとすみ分け定着か

http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201112290055.html
米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムの「キンドル」などに代表される電子書籍端末の市場が急拡大している。米調査会社IHSアイサプライによると、2011年の世界出荷台数は前年比約2.1倍の2710万台、12年は3710万台に達する見通しだ。アップルの「iPad(アイパッド)」などタブレット型多機能携帯端末の市場拡大が著しい中、専用端末も相次ぐ値下げなどで顧客数を着実に伸ばしているようだ。

アマゾンはタブレット型端末「キンドル・ファイア」の市場投入に伴い、従来型のモノクロ画面の電子書籍端末を最低79ドル(約6200円)に抑えたほか、タッチ画面の低価格端末を拡充したのが奏功し、米年末商戦で販売が急増している。画面のカラー化で先行した米書店大手バーンズ・アンド・ノーブルもタブレット参入に伴い専用端末を最低99ドルに値下げ、市場拡大に寄与している。

米調査会社IDCによると、世界の電子書籍端末市場の8割を米国が占める。コンテンツとなる電子書籍の不足で普及が進まない日本とは対照的に、米国の電子書籍市場は10年に前年比約12倍の規模に達するなど、豊富なコンテンツが端末の伸びを後押ししている。

2011年12月9日金曜日

ついにアマゾンが電子書籍読み放題サービス開始!? 音楽・映画から活字コンテンツに広がる定額制の衝撃

http://diamond.jp/articles/-/15252

 デジタルコンテンツのサブスクリプション(定額契約制)モデルがジワジワと広がりそうな気配を見せている。

 サブスクリプションというのは、たとえば月額いくら払えば映画が見放題、音楽が聴き放題といったサービスだ。年額契約のこともあるだろう。現在ならば、音楽で言うと、iTunesストアのように楽曲1曲あたり1.29ドルなどを払って購入するものというのが広く知られた方法。だが、これに対してサブスクリプションモデルはドンブリ計算的な課金方法だ。

 以前、この欄でも取り上げたことのあるスポティファイは、音楽のサブスクリプションサービスとしてよく知られている。その後も人気をどんどん増し、有料契約者は250万人にも拡大している。

 スポティファイは3段階のサービスを提供し、ひとつは無料、残り2つは有料で月額4.99ドルと9.99ドルだ。無料は聴ける楽曲の数や利用時間に制限があり、有料サービスでは音質や、モバイル機器でも利用できるか、オフラインでも利用できるかで違いがある。同じような音楽のサブスクリプションサービスには、ラプソディーやズーンなどがある。

 映画でサブスクリプションモデルを持つのは、ネットフリックスやブロックバスターなど。一度に借り出しできるDVDの枚数で月額契約料が変わるが、効率よく借り出し返却していけば、かなりの数の映画が見られるものだ。

 ただ、DVDを物理的に借り出すのではなく、ストリーミングサービスに目を転じると、こちらは確実にサブスクリプションモデルが優勢だ。ネットフリックスは、月額7.99ドルで見放題。ムービーフリックスは、無料と月額11.95ドルのモデルを提供。アマゾンは、有料のプライム会員(年額79ドルで、アマゾン商品の無料配送などのサービスを提供)には、タイトルが限定されているものの、やはり映画見放題のサービスを提供している。

 テレビ番組では、フールーがやはりサブスクリプション・モデルで運営、映画も含み月額7.99ドルで見放題だ。ケーブルTV各社も、契約者に対してインターネットによるストリーミングサービスに乗り出しており、これもサブスクリプションモデルと言える。

 こと音楽と映画については、現在はさまざまな配信、課金方法が混在している状態になっている。従来通り、楽曲や映画を購入してファイルをダウンロードし、「所有する」モデルがひとつ。所有せずに「レンタル」するモデルも映画にはある。オンラインならば、何日後には借りたファイルが消滅するとか、見始めたら何時間内に見終わらなければならないといった条件がつく。音楽では、インターネットラジオのようなサブスクリプションに似たモデルも存在する。

 それ以外に最近は、ストリーミングサービスで「視聴する」モデルが音楽、映画の両方に出てきた他、クラウドサービスを同時に提供して、クラウド上のストレージに自分のファイルを保存してそこから利用したり、それと購入する所有モデル、ストリーミングで視聴するモデルを組み合わせたりするケースもある。グーグルやアマゾンはここに進出している。

 さて、オンラインゲームの世界ではサブスクリプションモデルがかなり広まっている。世界のデジタルコンテンツ消費のうち39%とトップを占めるのはゲームの世界。消費が増えれば増えるほど、ユーザーはサブスクリプション・モデルへの移行を好むのかもしれない。

 新聞や雑誌はどうか。もともと「サブスクリプション」というのは、新聞や雑誌の年間契約という意味で使われ始めた言葉。だが、これらはデジタル時代になって無料でコンテンツを公開したために、その後苦戦。今、再びサブスクリプションモデルにたどり着いているところだ。デジタルコンテンツを有料化し、その中でサブスクリプションモデルの選択を提供するというものだ。

 新聞で有料化、サブスクリプションモデルへの移行を図ったところは限られているが、ウォールストリートジャーナル、ニューヨークタイムズは比較的成功しているようだ。ニューヨークタイムズは、今年初めに本格的なサブスクリプションモデルを提供し始めたが、9月までの6ヵ月間に有料契約者数が25%アップし、120万人に増えたという。

 雑誌については、デジタルコンテンツ化で1部あたりの価格が実質上は高くなったため、うまく離陸できていないのが現状だ。だが、タブレットコンピュータやスマートフォンによってデジタル雑誌のサブスクリプションへの関心が高まりつつあり、アップルがiPad用に10月半ばに始めたデジタルニューススタンドでは、雑誌社大手のコンデナストの有料契約者数が2週間で268%増となったという。複数の雑誌出版プラットフォームを提供するデジタルマグは、1週間で1150%増となったとしている。

 そうした中、びっくりするようなサブスクリプションモデルを計画しているとされるのが、アマゾンだ。電子書籍が読み放題になるサービスを、やはりプライム会員向けに検討中で、出版社との交渉に入っているとのことだ。

 アマゾンは、新しく発売した自社タブレットのキンドルファイアとプライム会員との親和性を高めて、積極的にユーザーの囲い込みにかかっており、この電子書籍読み放題もその一環と見られる。

 ユーザーが、一体サブスクリプションモデルに大きくなびくかどうかは、今のところまだ不明だ。コンテンツを提供する側から見れば、サブスクリプションモデルはユーザーを囲い込むことができる利点があるものの、コンテンツ制作者との契約料、インフラへの投資などとの兼ね合いが勝負となる。ユーザー側にとってみれば、サブスクリプションモデルは便利ではあるものの、ひとつのプラットフォームに縛られてしまって抜け出せなくなる危険性がある。

 値段とコンテンツ量、そして配信の速度、デバイスとの親和性など、多様な要素が今後の勝者を決めることになる。闘いはこれからが本場だ。

欧州委員会、Appleと電子書籍のエージェンシーモデルによる価格操作に対し欧州連合競争法に基づく調査を開始

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1112/08/news031.html

Appleとのエージェンシーモデルによる電子書籍の販売契約に価格カルテルの疑いがあるとして欧州委員会が出版社5社の調査を開始した。

欧州委員会は米Appleと幾つかの出版社に対して公式調査を開始した。Hachette Livre、Harper Collins、Simon & Schuster、Penguin、Verlagsgruppが欧州で違法なカルテルにより電子書籍件の価格操作を行った疑いで告発されている。

欧州委員会は12月6日(現地時間)からAppleと同社のiBookstoreが大手出版社と共謀し、競合よりも安く価格を設定するAmazonの商慣行を不当に損なっている事実を調査している。欧州委員会はAppleと大手出版社による共謀がカルテルと制限的商慣習を禁ずる欧州連合競争法(EU機能条約101条)に抵触する可能性があるとの懸念を抱いている。EU機能条約101条は加盟国間取引と域内市場競争を制限する可能性のある契約および協調的行為を禁じている。この条項は欧州委員会とEU加盟国が適用できるとして独占禁止規制(理事会規則No 1/2003)に規定されている。

エージェンシーモデルは欧州に起源があり、書店による独自価格設定を禁じている。出版社が書籍の平均小売価格を決定し、オンラインの電子書籍ストアはそれよりも安く書籍を販売することができない。電子小売業者には平均で全書籍売り上げの30%前後の手数料が支払われる。

Amazonは「エージェンシーモデル」による価格操作に直接反対しているのに対し、Appleは自社のオンライン電子書籍ストアをローンチした際に出版社と密室で契約を交わした。Random House U.S.は今年、自社の電子書籍にそのモデルを採用することで、iPad 2の販売開始直前にAppleのiBookstoreに参入を果たした。一方、英国のRandom Houseはいまだに電子書籍の卸売モデルを採用しており、欧州委員会の調査対象にはなっていない。

今年3月、われわれはEUが幾つかの出版社を強制捜査したとリポートした。今回の調査では出版社に対して確たる証拠をつかむために内部文書の押収を行おうとしている。多くの業界関係者が、エージェンシーモデルは反競争的であり、出版社が成熟しつつある業界に対して過剰な統制を行うことができるとして不安を覚えている。

2011年12月8日木曜日

電子書籍ストア「BookLive!」が三省堂書店と提携

http://ascii.jp/elem/000/000/654/654539/
BookLiveと三省堂書店は12月6日、「電子書籍ストア」と「リアル書店」の連携による書籍市場の拡大と新たなビジネスモデルの創出を目指し、事業提携および戦略的パートナーシップを構築すると発表した。
今回の事業提携で、「BookLive!」会員とクラブ三省堂会員の連携、両社の書籍販売を中心としたサービスの連携を軸に、(1)ネットとリアルの書籍サービスを連携させた相互のターゲットを補完する幅広い層への情報提供と相互送客、(2)三省堂書店内での電子書籍販売と決済システムの連携による新たなサービスの開発、(3)ネットとリアルを連携させた新たな販促プロモーションの実施、(4)「BookLive!」および三省堂書店で購入した書籍情報をユーザー自身が一元管理することを実現するなど、書籍販売を中心とした多面的なサービスの提供が可能となる。
三省堂書店は、創業130年を迎え、国内35店舗、海外5店舗、外商10拠点に書店業務を展開。BookLiveは、凸版印刷株式会社をはじめとするトッパングループに属し、電子書籍取次会社のビットウェイの子会社として設立され、現在、約4万点の書籍を販売する電子書籍ストア「BookLive!」を運営している。

2011年12月2日金曜日

Kindle Fire、BestBuy.comではiPadを抜いてタブレット分野におけるベストセラーに

http://jp.techcrunch.com/archives/20111129the-kindle-fire-bests-the-ipad-at-best-buy-becomes-the-retailers-best-selling-tablet/

Kindle Fireに完全に火がついたようだ。燃え上がっている、という状態かもしれない。名前がFireだけにこうした動きも予想されていたものなのだろうか。

結局のところ、Amazonによる最初のタブレット市場参入の動きは大成功をおさめたということになりつつある。Amazonのベストセラーリストでも販売前から何週間にもわたってトップに位置している。そしてついに、Best Buyにて199ドルのFireがiPad 16GB版を抜いて、タブレット部門のベストセラーとなってしまった。そう、やはりFireはAndroidタブレット戦争で勝利を収めつつあるのだろう。

Amazonは「昨年に比べて4倍のKindleが売れている」と言っていた(台数についてはいつもながらに発表がない)。Black Fridayのウイークエンドにも大いに売上を伸ばし、多くの消費者に受け入れられつつあることを示した。

当初、Fireについてはかなりの数の批判的意見が集まっていた。不具合や、バグ、あるいは初期不良について書いていたが、同時に199ドルという低価格についても触れていた。低価格実現のために、妥協が必要であったのだろうという意見も多く見られた。しかしそれと同時に、Amazonの「まずコンテンツありき」のスキームについては好意的な意見もあった。Fireの強敵はNookタブレットだという位置づけだが、こうした関係の中、優劣をスペックで語られることは少なかった。スペックではなく、AmazonおよびB&Nはそれぞれのデバイスのメディア消費能力とでもいう点に注目して利点を語っていた。こうした戦略はAndroidマーケットでは広まらなかったが、Appleはやはりこの方向にしたがっているように見える。スペックは死んだと言える状況もあるわけだ。

FireがAmazonやBest Buyなどのメジャー小売サイトでiPadをリードする状況が続くのかどうか、予測は難しいところだ。199ドルという価格の魅力は、確かにホリデーシーズンの間は大いに通用するだろうと思われる。しかしホリデー消費が一段落した際にどうなっているのかはわからない。ただ、Fire所有者は大いに増え、デバイスの使い勝手の良さを大いにアピールするということにもなり得る。するとFireの勢いを止めるのはiPad 3のみということになるケースもあり得るが、こちらは2月ないし3月までリリースはない予定だ。と、いうわけでタブレット業界はなかなか目が離せない状況にあるのだ。