http://www.ebook2forum.com/members/2012/01/key-trends-of-ebook-market-in-2012/
デジタルの動きは日本で鈍く、欧米ではさらに加速度がついている。米国では、1年前「5年以内に20%」と言われていたが、今は「1~5年以内に50%」という認識で出版業界が動いている。遠くない先に、その先まで考えるような事態になってもまったく驚きではない。それは印刷本の売れ行きしだいということだ。そして日本がどれだけ遅くても、いずれは同期することになる。一次生産者(著作者)と消費者がそれを必要と感じるならば、出版社がサボタージュを続けることはできない。
問題は、そのときに日本の出版市場と出版業界がどんな状態になっているか、ということだ。対応が遅いほど、出版社の選択は苦しいものとなる。出版の生産と流通が、同時にこれほど急速に変わる時代はなかったし、これほどグローバル化したこともなかった。これはすでに明白かつ現前していることで、あとで「想定外」にはして欲しくない。
出版社が自主的に(流通会社に頼らずに)デジタル出版インフラ造るには時間がかかる。印刷本と共存させるには印刷会社の協力が不可欠と思うが、それに依存するだけなら出版社のインフラにはならない。製作から販促まで、使えるサービスは高度化し、コストは劇的に安くなっているが、最適な環境を構築し、最適な形で運用する知恵をつけることが難しいのだ。現在米国で経験していることのほとんどは、ほぼすべてが日本でも共通する課題となる。というわけで、E-Book2.0プロジェクト(Forum/Magazine+)では、今年も日本という場を踏まえつつ、国境を越えた問題にアプローチしていきたい。
以下は、ランダムに10個選んだ2011年のキートレンドである。昨年顕著になってきて、今年様々なトピックやイベントと結びつくことが確実であるものを選んである。日本ではあまり問題になっていないものはあるが、市場の拡大あるいは国際化とともに、意識されるようになるだろう。
1.EPUB 3:E-Bookの独立とアプリ化の新パラダイムが始まる
2.HTML5:書籍から雑誌・新聞まで―出版サービスのプラットフォームからの自立を促す
3.自主出版:出版市場のインフラとして定着・成熟へ
4.ショートE-Book:出版を多様化し、ジャーナリズムの経済的基盤となる
5.アマゾン出版:堅実なマーケティングで着々と地歩を築く
6.メディア・タブレット:非アマゾン型を目指して機能別・用途別多様化へ
7.E-Reader:低価格化と高級化で多様なニーズを吸収
8.知的財産権問題:「海賊懸念」薄れ、社会的利害調整が本格化
9.図書館E-Book問題:泥沼化か「市場による決着」か
10.書店のサバイバル:テクノロジーを使った試行錯誤が続く
0 件のコメント:
コメントを投稿