http://japan.internet.com/allnet/20110908/11.html
新しいタブレットが発表されるたびに、メディアはそれを Apple iPad と比較する。Amazon タブレットもそうだった。
Amazon のタブレットが、実際には Amazon.com での買い物用に最適化された Android ベースの Kindle であることがわかると、記事の見出しは変化した。Amazon タブレットは iPad のライバルではなく期待外れの単なる電子書籍リーダーだと。
たとえば、Forbes.com は9月6日、Amazon タブレットの記事に次の見出しをたてた。
「No Worries, iPad, Amazon's Android Tablet Is Just a Nook-Killer. (iPad、心配無用だ。Amazon の Android タブレットは、Nook キラーに過ぎない)」
(注:Nook は、米国の大手書店 Barns & Noble が販売する電子書籍リーダー)
しかし、こうした見出しはすべて間違っている。Amazon タブレットは、唯一 iPad のライバルとなりうるデバイスなのだ。
Amazon タブレットは、Amazon の戦略の一部
Amazon にはガジェットを作る意図はまったくない。また、ガジェット販売が儲かる商売になるとも思ってもいない。Amazon タブレットは、Kindle 同様、手段に過ぎないのだ。
Amazon の Kindle は、電子書籍販売をコントロールする巨大な戦略の一部だった。Kindle の目的は、電子書籍購入を妨げる障害を顧客の前から徹底排除することだった。
Amazon は、Amazon.com で買い物をしない人を見つけだし、なぜ買わないのかを調べ、その障害を排除することに全力をあげる。
Amazon プライム、配送料無料、迅速な配送、おすすめ商品の精度向上、クレジットカード番号や住所などの個人情報の保全。Amazon は障害排除のために、これらをすべて実行した。Kindle は、電子書籍販売で障害となりうるものをあらかじめすべて洗い出し、排除した上で設計、販売されたものだった。
Amazon タブレットは、これら同様、Amazon からの商品購入の障害を取り払うために提供される。インターフェイスが他の Android タブレットと全く違うのはそのためだ。
Amazon のタブレットに対しては、2通りの見方ができる。その両方ともが正しい。
ひとつは、マルチメディアコンテンツ用の Kindle という見方だ。Kindle で読みたい本を見つけ、購入し、読む経験をした人ならわかるだろう。Kindle はこれらの用途に最適化されていた。新しいタブレットは、書籍に加えて、映画、テレビ、音楽、フルカラーの雑誌、アプリ、オーディオブック、子供向けのインタラクティブな絵本それにゲームを Amazon.com サイトで見つけ、購入し、楽しむために最適化されたデバイスだ。音楽や映画といったコンテンツは、クラウドに保存されているため、いつでも、どこからでも購入できる。
もうひとつは、タブレットが Amazon.com の ショッピングサイトそのものだという見方だ。タブレットでゲームをしていたり、仕事をしたりしているときでも、画面をタップするだけで Amazon.com のショッピングサイトに入っていける。
Amazon はタブレットで、さらなる障害の排除を試みようとしている。従来型の店舗、という巨大な障害だ。今回のバージョンか次回発売されるバージョンでは、バーコードを読み取る機能がつくはずだ。欲しい製品のバーコードをスキャンして、すぐに Amazon で購入できる。
これは、従来型の店舗にとっては悪夢になるだろう。ショッピングモールや雑貨店にタブレットを持って行き、欲しい商品を見つけたら、Amazon タブレットを取り出してその場でその商品を購入できる。その店からではない。Amazon.com からだ。
そんなことはありえない?しかし、現実に HMV や Tower レコードの店舗はショッピングモールから姿を消したではないか。全米2位の書店 Borders が破産したのは今年の2月のこと。これらはどこも、オンラインショップに負けたのだ。
Amazon タブレットと他のタブレットの違いは何か
Amazon タブレットは、電子書籍リーダーの Nook と比較されることが多い。が、両者は全く異なる。Amazon タブレットは単なるカラーの電子書籍リーダーではない。すべてを Amazon から買わせるためのデバイスなのだ。
Amazon タブレットは、他の Android タブレットとも全く違う。他社のタブレット端末の利益は、トースターや電球同様、主にデバイスの売り上げから来る。Amazon のタブレットは、カタログであり、会計窓口のレジであり、また購入した商品を楽しむものでもある。
Amazon の新しいタブレットとそれに付随する戦略は、他の電子書籍リーダーや、タブレット端末とは全く違う。ただし、iPad を除いて。
Amazon タブレットと iPad の共通点は何か
ほとんどのタブレットは、携帯電話とノート PC の間の隙間を埋めるために設計され、ハードウェア自体で利益を上げるというビジネスモデルで販売されている。
iPad は、さまざまな方法で顧客にお金を使ってもらう包括的な戦略の一部として設計され、販売されている。ハードウェアからの利益に加え、アクセサリー、アプリ、広告など、様々な面で利益をあげている。
しかし、なんといっても大きいのは、iTunes からの売り上げだ。
Apple の事業展望においては、iPad は、Apple からコンテンツを購入してもらうためのデバイスなのだ。iPad ユーザーは、音楽、映画、テレビ番組、電子書籍、オーディオブックなどを購入したり、レンタルしたり、定期購読したりしている。これらは、クラウドに格納されているので、いつだって、どこでだって買える。
どこかで聞いたことがあるだろう。そう、Amazon のダウンロード可能コンテンツの戦略とそっくりだ。
音楽、映画、テレビ番組、書籍などの未来をコントロールする大きな戦略の一部としてタブレットを扱っているのは、Apple と Amazon しかない。
Amazon の戦略は、Apple よりも野心的
Amazon と Apple はともにダウンロード可能コンテンツの分野で競り合っているが、Amazon の目には、もっと大きな市場が映っている。衣類、贈り物、園芸用品、日用雑貨......。つまり、すべての商品だ。
Amazon タブレットからは、iPad だって買える。だが、iPad からは Amazon タブレットを買うことはできない。
中には、両社のタブレットを保有する人もでてくるだろう。でもそれは、タブレットが2つ欲しいからではない。店舗が2つ欲しいのだ。
Amazon のタブレットは、「誰もがすべてを Amazon から購入する」、というアマゾンの長期戦略の一部であり侮れないものとなるだろう。
戦略は大胆で素晴らしいもので、会社の長期にわたる成功に貢献する。また、ダウンロード可能コンテンツ市場では唯一 Apple の前に立ちふさがるものとなるだろう。
2011年9月9日金曜日
自炊代行業者への質問状に名を連ねた作家・漫画家122人の「電子書籍化状況」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/20110909_476036.html
出版社7社と作家122人が自炊代行業者に質問状を送った件は、あちこちに波紋を広げている。発表後に作家122人のリストを含む質問状の原本がネットで公開されたほか、ある自炊代行業者は郵送での返送ではなくネット上に公開回答を載せるなど、質問状をめぐる動きは後を絶たず、今後の展開にも予断を許さない状況だ。さて、今回の質問状の送付にあたり、質問状に名を連ねている作家や漫画家の著作はいったいどのくらい電子書籍化されているのか?という疑問を呈する声がネットのあちこちで見られたわけだが、ブログ「最終防衛ライン2」がそれらをいちから調べて公開している。数が多すぎて現状ではまとめきれていない個所もなくはないようだが、それでも大力作だ。「電子書籍化されていないから自炊代行に依頼する」という利用者側の主張がどのくらい正しいのかを判断する、ひとつの目安となりそうだ。
◇書籍スキャン代行業者に質問状を出した作家・漫画家122人の電子書籍化状況(最終防衛ライン2)
http://d.hatena.ne.jp/lastline/20110908/1315450269
◇作家様・漫画家様・出版社様からの質問状について<公開回答> (自炊代行ドットコム)
http://www.jisuidaikou.com/index.php?action_TopIndexPC=true&page=28
◇「書籍の“自炊”代行は複製権侵害」出版社7社と作家122人が業者に質問状(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110905_475415.html
講談社、角川書店、集英社、小学館、光文社、新潮社、文藝春秋の7社と作家・漫画家ら122人は5日、書籍の裁断やスキャンを行う、いわゆる“自炊”を代行する事業者約100社に対して質問状を送付した。自炊代行は複製権侵害にあたると指摘した上で、今後もサービスを継続するかなどについて、9月16日までに回答するよう求めている。
ユーザー自身が個人的な目的で書籍を裁断してスキャンする“自炊”は、著作権法の「私的複製」として認められている。しかし、私的複製の範囲を規定する著作権法30条1項では、「『使用する者が』複製することができる」と書かれていることから、出版社などによれば、自炊の代行サービスは複製権(著作権法21条)侵害にあたるという。
質問状では、多くの自炊代行サービス事業者が、サイト上で「著作権者の許可を得た書籍のみ発注を受け付ける」「発注された書籍は著作権者の許可を得たものとみなす」といった注意書きを記載している点に対して、質問状の差出人である作家は許諾していないと通知。
その上で、今後も自炊代行サービスを継続するかどうか、「ア.当社は今後、差出人作家の作品について、依頼があればスキャン事業を行う予定です」「イ.当社は今後、差出人作家の作品について、依頼があっても、スキャン事業を行うことはありません」から選択するよう求めている。
また、スキャンの発注を受け付けるに際して、依頼者が実際に私的利用を目的としているかどうかの確認の有無や、法人からの発注に応じているかどうかについても尋ねている。
このほか、自炊の代行事業者の中には裁断済みの書籍を利用者に返還する者も少なくなく、実際に裁断済みの書籍を販売できるサイトやネットオークションで数トン単位の裁断本が一度に出品されるなど、裁断本は相当量が市場で流通していると指摘。現状では「紙の本が消えてデータに変わるだけ」と言うことはできないなどと苦言を呈している。
出版社7社と作家122人が自炊代行業者に質問状を送った件は、あちこちに波紋を広げている。発表後に作家122人のリストを含む質問状の原本がネットで公開されたほか、ある自炊代行業者は郵送での返送ではなくネット上に公開回答を載せるなど、質問状をめぐる動きは後を絶たず、今後の展開にも予断を許さない状況だ。さて、今回の質問状の送付にあたり、質問状に名を連ねている作家や漫画家の著作はいったいどのくらい電子書籍化されているのか?という疑問を呈する声がネットのあちこちで見られたわけだが、ブログ「最終防衛ライン2」がそれらをいちから調べて公開している。数が多すぎて現状ではまとめきれていない個所もなくはないようだが、それでも大力作だ。「電子書籍化されていないから自炊代行に依頼する」という利用者側の主張がどのくらい正しいのかを判断する、ひとつの目安となりそうだ。
◇書籍スキャン代行業者に質問状を出した作家・漫画家122人の電子書籍化状況(最終防衛ライン2)
http://d.hatena.ne.jp/lastline/20110908/1315450269
◇作家様・漫画家様・出版社様からの質問状について<公開回答> (自炊代行ドットコム)
http://www.jisuidaikou.com/index.php?action_TopIndexPC=true&page=28
◇「書籍の“自炊”代行は複製権侵害」出版社7社と作家122人が業者に質問状(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110905_475415.html
講談社、角川書店、集英社、小学館、光文社、新潮社、文藝春秋の7社と作家・漫画家ら122人は5日、書籍の裁断やスキャンを行う、いわゆる“自炊”を代行する事業者約100社に対して質問状を送付した。自炊代行は複製権侵害にあたると指摘した上で、今後もサービスを継続するかなどについて、9月16日までに回答するよう求めている。
ユーザー自身が個人的な目的で書籍を裁断してスキャンする“自炊”は、著作権法の「私的複製」として認められている。しかし、私的複製の範囲を規定する著作権法30条1項では、「『使用する者が』複製することができる」と書かれていることから、出版社などによれば、自炊の代行サービスは複製権(著作権法21条)侵害にあたるという。
質問状では、多くの自炊代行サービス事業者が、サイト上で「著作権者の許可を得た書籍のみ発注を受け付ける」「発注された書籍は著作権者の許可を得たものとみなす」といった注意書きを記載している点に対して、質問状の差出人である作家は許諾していないと通知。
その上で、今後も自炊代行サービスを継続するかどうか、「ア.当社は今後、差出人作家の作品について、依頼があればスキャン事業を行う予定です」「イ.当社は今後、差出人作家の作品について、依頼があっても、スキャン事業を行うことはありません」から選択するよう求めている。
また、スキャンの発注を受け付けるに際して、依頼者が実際に私的利用を目的としているかどうかの確認の有無や、法人からの発注に応じているかどうかについても尋ねている。
このほか、自炊の代行事業者の中には裁断済みの書籍を利用者に返還する者も少なくなく、実際に裁断済みの書籍を販売できるサイトやネットオークションで数トン単位の裁断本が一度に出品されるなど、裁断本は相当量が市場で流通していると指摘。現状では「紙の本が消えてデータに変わるだけ」と言うことはできないなどと苦言を呈している。
電子書籍騒動から1年 幅允孝の本と仕事から考えること
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY201109060373.html
(注1)武井一巳『アップルvs アマゾンvsグーグル』(マイコミ新書、201頁)
(注2)岸博幸『アマゾン、アップルが日本を蝕む』(PHP研究所、51頁)
(注3)『幅書店の88冊』89頁
(注4)永江朗『本の現場』(ポット出版、148頁)
(注5)同145頁
(注6)柴野京子『書棚と平台』(弘文堂、216頁)
(注7)福田善之『真田風雲録』(ハヤカワ演劇文庫、142頁)
福嶋 聡(ふくしま・あきら)
ジュンク堂書店難波店店長。1959年兵庫県生まれ。京都大学卒業。82年、ジュンク堂書店入社。仙台店長、大阪本店店長などを経て2009年7月から現職。著書に『劇場としての書店』(新評論)など。
今、書店の店内を巡ると、「電子書籍」をタイトルに戴いたものが、ほとんど面陳列されていないことに気づく。それは、電子書籍を主題とした新刊・話題書がほとんど出ていないということだ。1年前は、雑誌、話題書、ビジネス書、PC書、新書とさまざまなジャンルで、「電子書籍」の文字が躍っていた……。
「電子書籍」騒動が、かくも沈静化したのはなぜか?
理由の第一は、IT企業にとって、そもそも、「電子書籍」は目的ではなく、手段であったことだと思う。当面の目的は、端末機器の販売であった。アマゾンが当初、赤字覚悟の破格の安値で「電子書籍」を提供したのは、キンドルの販売によって十分元が取れる上、以後の戦略を優位に進めることができるからである。アップルは、即座にiPadでそれに対抗した。
彼らの最終的な目的は、「プラットフォーム覇権」を握ることである。すなわち、ユーザーが自らのプラットフォーム上でさまざまなITサービスを受ける頻度を多くすることであり、端末機器の普及もまた、そのための手段である。
保有するコンテンツの量が他より抜きんでることも、然り。コンテンツの奪い合いは、21世紀版の「囲い込み」なのだ。
だが、日本の出版業界は、販売総額2兆円にも満たぬ、ささやかな市場だ。なぜか「紙の本」にこだわる著者や読者が多い。出版社の数も多く、「ブック検索」で予想外の抵抗を受けたグーグルをはじめ、今無理してこんなちっぽけな「パイ」を奪い合うのは労多くして……、とIT企業が考えたとしても不思議ではない。昨秋にもあると言われた、キンドル日本版の発売も、ここのところ噂を聞かない。
昨年の「電子書籍」の位置を占拠しているのは、「フェイスブック」をはじめとするSNSである。最終目的は「プラットフォーム覇権」なのだから、多くの人の注目が集まり、多くの人を直接「囲い込む」ことのできる手段に注力するのは、当然といえば当然である。
迎え撃つ側の意識も、変化した。
「プラットフォーム作りで、いま何歩も前を進んでいるのが、アマゾン、アップル、グーグルの3社なのだとすれば、この3社のいずれがデジタルの覇権を握るのかを注意深く予測し、その上でこれらのプラットフォームに乗っかるのが、最も賢い選択なのではないだろうか」(注1)
昨年は、こうした慌てふためく提言が多かったが、今年は、「収益がどんどん良くなっているネット企業は、マスメディアやコンテンツ企業と異なり、文化/ジャーナリズムへの愛とかこだわり、さらにはそれを支えようとする気概はない」(注2)という冷静な見方を取り戻している。
●本は単なるコンテンツの「コンテナ」じゃない
書店以外の「売場」で展示販売する本をセレクトし、レイアウトする。ユーザーからじっくりと聞き取りし、病院などのライブラリーの本を選ぶ。
TBSテレビ「情熱大陸」でも取り上げられた幅允孝(はば・よしたか)の仕事に、私は心から共感する。それは、私たち書店員が、最も大事にしている、そして大事にすべき仕事の延長線上にあるからだ。
今年上梓された『幅書店の88冊』(マガジンハウス)で、図書館の写真集を取り上げながら、幅は言う。「アーカイブが主な目的となった今の図書館では、まだ見ぬ未来の読者が『これを読ませておくれ』とやってきた時に、『はい、どうぞ』と滞りなく手渡すことに力点が置かれている。今、目の前にいる読者になるかもしれない人間に、『これ面白いですよ』とは、投げ掛けたりはしない。だが、僕は思うのだ。本は開かれてこそ、初めて本たりうると」(注3)。
「プラットフォーム覇権」獲得のためにひたすら量を求めてコンテンツを収集するIT巨大企業の行き方は、幅の言う「今の図書館」と同じではないか。そして、私たち書店人が共有すべきは、「『面白いでしょう? どうですか、手に取ってみませんか?』と呼びかけたい」(注4)という幅の思いではないか?
編集の仕事を提案された時、「もともと僕は本の全体が好きなんだというのを思い出し」(注5)て、今の仕事を始めた、と幅は言う。一冊の本は単なるコンテンツの「コンテナ」じゃない。そこには、編集、装幀、印刷、製本と多くの人の手がかかっている。
そうして多くの人の手がかかることを、ITの世界は「ムダ」と切り捨てる。しかし、実際にはそれらの「ムダ」が協働して初めて、読者に対してコンテンツをアピールすることができるのだ。「ムダ」ではなく、「畳長(じょうちょう) 性」というべきだ。
そして、書店店頭もまた、コンテンツをアピールする「畳長性」の一つなのであり、同時に読者の側の関心、受容が反映する場でもある。両者がぶつかり合って、書店の風景は構成され、ダイナミックに変化していく。そうした場(=購書空間)(注6)で読者と出会うことによって、著者の主張は読者へと伝えられていくのである(ついでに言えば、このプロセスが、著者が仕事の対価を得る、非常によくできた仕組みなのだ)。
「おれのしてることはいわば無駄で余計なことさ。しかし無駄や余計をばかにしてほしくないな」(注7)
井上ひさしに劇作家デビューを遅らせる決心をさせたという福田善之の傑作戯曲『真田風雲録』で、大坂の陣のさなかに「週刊大坂城」を発行した十勇士の一人由利鎌之助が、仲間から受けた批判に反論する台詞である。若き日の劇団員時代にもらった中で、今でも私が最も好きな台詞だ。(「ジャーナリズム」11年9月号掲載)
(注1)武井一巳『アップルvs アマゾンvsグーグル』(マイコミ新書、201頁)
(注2)岸博幸『アマゾン、アップルが日本を蝕む』(PHP研究所、51頁)
(注3)『幅書店の88冊』89頁
(注4)永江朗『本の現場』(ポット出版、148頁)
(注5)同145頁
(注6)柴野京子『書棚と平台』(弘文堂、216頁)
(注7)福田善之『真田風雲録』(ハヤカワ演劇文庫、142頁)
福嶋 聡(ふくしま・あきら)
ジュンク堂書店難波店店長。1959年兵庫県生まれ。京都大学卒業。82年、ジュンク堂書店入社。仙台店長、大阪本店店長などを経て2009年7月から現職。著書に『劇場としての書店』(新評論)など。
~iPadからAndroidへ、どこでも読み継ぐことができる紀伊國屋BookWebの電書
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20110906/1036652/
電子書籍が書籍に取って代わったら、書店はなくなってしまうだろうか。そんなことにはならない。
音楽の場合と比べてみよう。
アナログレコードからCDへの転換は急激だったし、CDからダウンロード販売への転換も進んでいるが、どんな形で手に入れようと、音楽を聴くのに再生装置が必要なことには変わりない。音楽が好きな人は再生装置も買う。どうせ買うならより良い方法を追求するのは自然な流れだ。
でも、紙の本は、それ自体がコンテンツの容れ物であり、再生装置である。単独で完結している。こんなに便利な商品が、簡単に廃れるとは思えない。
もう一つの理由。電子書籍には再生装置が必要だ。そういう読書があってもいいが、やはり面倒なのではないか?
iPadにはたくさんの可能性がある。でも、可能性だけでお金を出す人は限られている。再生装置に4万円台半ば~7万円台前半の金額を出すくらいなら、そのお金で紙の本を買った方がいいという説には賛成せぜるを得ない。
では、どうなるかというと、読書の再生装置として、スマートフォンが最初に認知されるのではないか。iPhoneかAndroid。キホンは電話なので、電話を買ったら電子書籍を読めるおまけが付いてきました的な感覚。紙以外の書籍を読む習慣が根付いたところで、この画面は狭すぎるという話になった時、ようやくタブレット型端末が売れ始めるのかもしれない。
複数の端末で読み継げる
電子書籍が書籍に取って代わったら、書店はなくなってしまうだろうか。そんなことにはならない。
音楽の場合と比べてみよう。
アナログレコードからCDへの転換は急激だったし、CDからダウンロード販売への転換も進んでいるが、どんな形で手に入れようと、音楽を聴くのに再生装置が必要なことには変わりない。音楽が好きな人は再生装置も買う。どうせ買うならより良い方法を追求するのは自然な流れだ。
でも、紙の本は、それ自体がコンテンツの容れ物であり、再生装置である。単独で完結している。こんなに便利な商品が、簡単に廃れるとは思えない。
もう一つの理由。電子書籍には再生装置が必要だ。そういう読書があってもいいが、やはり面倒なのではないか?
iPadにはたくさんの可能性がある。でも、可能性だけでお金を出す人は限られている。再生装置に4万円台半ば~7万円台前半の金額を出すくらいなら、そのお金で紙の本を買った方がいいという説には賛成せぜるを得ない。
では、どうなるかというと、読書の再生装置として、スマートフォンが最初に認知されるのではないか。iPhoneかAndroid。キホンは電話なので、電話を買ったら電子書籍を読めるおまけが付いてきました的な感覚。紙以外の書籍を読む習慣が根付いたところで、この画面は狭すぎるという話になった時、ようやくタブレット型端末が売れ始めるのかもしれない。
さて、今回は、紀伊國屋bookwebで、第三十回吉川英治文学新人賞作品、「田村はまだか」(朝倉かすみ)を買ってみた。本屋さんが売っている電子書籍である。
まず電子書籍アプリ「紀伊國屋書店Kinoppy」をAPP Storeからインストールする。
電子版で読むメリットはあるか
iPadで紀伊國屋BookWebの電子書籍を読むためには「Kinoppy」という電子書籍アプリをダウンロードする。このアプリ自体は無料だ。
「Kinoppy」は電子書籍のビューアーであると同時に、電子書籍を購入するためのストアでもある。
「Kinoppy」でストアを開くと、紀伊國屋bookwebにつながる。読みたい書名が分かっていれば検索すると早い。なにか読む本をぶらっと探すなら、ジャンルから探していくといいだろう。
紀伊國屋書店はリアル店舗で書籍を販売しているし、ネット通販の老舗でもある。書籍販売とネットを知り尽くしているという点で、電子書籍のプレーヤーとしてはとてもいい位置にいると思う。
紀伊國屋BookWebは、紙の本と電子の本を両方扱うネット書店だ。紙と電子、どっちがどういいのかを調べるのにちょうどいい。
価格はどうか。
品ぞろえはどうか。
気になる2点をチェックしてみた。
「田村はまだか」の場合でいうと、紙の文庫本は599円、電子書籍版は600円と、同価格帯。とはいえ、配送料や実際に店頭に本を買いに行くための交通費などを考えると、電子版の方が安くて時間の節約になる。これから電子書籍を読むためにiPadを買おうというならともかく、すでに持っている人にとっては電子書籍版を選ぶ価値がある。
ちょっと高めの本で比較してみると、サンデル教授の「これからの「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学」は書籍版は2415円だが、電子書籍版は1600円。このくらい価格差があると、かなりお得感が出てくる。ざっと見ていくと、だいたい1割程度は電子版の方が安い。
では、品ぞろえは。こちらは紙の方が圧倒的に多い。著者名で検索してみると、差異がよく分かる。この状態で紙を無視するなんて、できるわけがない。
とはいえ、電子書籍化されるのは著者の代表作から始まるから、初めて読む著者なら、電子書籍版で読んでから、もっと読みたい時は紙へという流れはアリだと思う。話題作を読むにも向いている。
「Kinoppy」は電子書籍のビューアーであると同時に、電子書籍を購入するためのストアでもある。
「Kinoppy」でストアを開くと、紀伊國屋bookwebにつながる。読みたい書名が分かっていれば検索すると早い。なにか読む本をぶらっと探すなら、ジャンルから探していくといいだろう。
紀伊國屋書店はリアル店舗で書籍を販売しているし、ネット通販の老舗でもある。書籍販売とネットを知り尽くしているという点で、電子書籍のプレーヤーとしてはとてもいい位置にいると思う。
紀伊國屋BookWebは、紙の本と電子の本を両方扱うネット書店だ。紙と電子、どっちがどういいのかを調べるのにちょうどいい。
価格はどうか。
品ぞろえはどうか。
気になる2点をチェックしてみた。
「田村はまだか」の場合でいうと、紙の文庫本は599円、電子書籍版は600円と、同価格帯。とはいえ、配送料や実際に店頭に本を買いに行くための交通費などを考えると、電子版の方が安くて時間の節約になる。これから電子書籍を読むためにiPadを買おうというならともかく、すでに持っている人にとっては電子書籍版を選ぶ価値がある。
ちょっと高めの本で比較してみると、サンデル教授の「これからの「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学」は書籍版は2415円だが、電子書籍版は1600円。このくらい価格差があると、かなりお得感が出てくる。ざっと見ていくと、だいたい1割程度は電子版の方が安い。
では、品ぞろえは。こちらは紙の方が圧倒的に多い。著者名で検索してみると、差異がよく分かる。この状態で紙を無視するなんて、できるわけがない。
とはいえ、電子書籍化されるのは著者の代表作から始まるから、初めて読む著者なら、電子書籍版で読んでから、もっと読みたい時は紙へという流れはアリだと思う。話題作を読むにも向いている。
さすがだなあと思うのは、「Kinoppy」はiPhone向け、Android向け、iPad向けに展開されていて、1つのコンテンツをユーザーが好きなデバイスで読むことができる点だ。さらに、スマートフォンはいつ買い換えるか、分からない。前のスマートフォンに入っていた本をまた買わなきゃいけいないの? という不安を抱かせないように、一度買った作品はいつでも再ダウンロード可能になっている。
一番感心するのは、1つの作品を家ではiPadで読み、電車の中ではAndroidで読みというふうに複数の端末を使って読み継げることだ。
紙の本なら当たり前のこうした読み方を実現してくれたのは、やはり書店の作った電子書籍アプリだった。「Kinoppy」を使ってみると、紙の本の良さをなるべく損ねまいという工夫が分かる。
iPadでどこまで読んだか、ということをアプリが覚えておいて、次にAndroidで同じ本を開いた時、自動的にそのページが開く。なにげない工夫だが、読書の継続性からはとても大事なことだ。
筆者は何冊も併行して読む派なので、紙の本であっても、どこまで読んだか分からなくなって、「えーとえーと」と言ってるうちに時間がたってしまうことが少なくない。「Kinoppy」の記憶力は、それだけでも電子版を選ぼうという気にさせてくれる。
一番感心するのは、1つの作品を家ではiPadで読み、電車の中ではAndroidで読みというふうに複数の端末を使って読み継げることだ。
紙の本なら当たり前のこうした読み方を実現してくれたのは、やはり書店の作った電子書籍アプリだった。「Kinoppy」を使ってみると、紙の本の良さをなるべく損ねまいという工夫が分かる。
iPadでどこまで読んだか、ということをアプリが覚えておいて、次にAndroidで同じ本を開いた時、自動的にそのページが開く。なにげない工夫だが、読書の継続性からはとても大事なことだ。
筆者は何冊も併行して読む派なので、紙の本であっても、どこまで読んだか分からなくなって、「えーとえーと」と言ってるうちに時間がたってしまうことが少なくない。「Kinoppy」の記憶力は、それだけでも電子版を選ぼうという気にさせてくれる。
続きはリンクでね。
2011年9月2日金曜日
2011年上半期、電子書籍はITビジネス書&過去ヒット本!
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20110831/1037496/?ST=life&P=2
電子書籍をどこでどうやって買うのかは、所有する機器によるところが大きいだろう。PCか、iPhoneやiPadなどiOSデバイスか、Androidのスマートフォンやタブレット端末かによって変わってくるのが現状だ。
ただ、電子書店も徐々に充実してきている。コンテンツの点数自体の課題はあるが、出版社を問わず幅広いジャンルを取りそろえる電子書店も出てきた。その一つが「honto」だ。
「honto」は総合印刷会社、大日本印刷が2001年より直営で展開するPC、iPhone向け電子書籍販売サイト「ウェブの書斎」を全面リニューアルした電子書店だ。2010年11月25日のリニューアル時点で、コンテンツは約3万点(同年7月時点で約1万5000点)。オンライン書店「bk1」との相互連携や検索機能の強化など、新機能を大幅に追加した。
例えば「honto」サイトの表示を各デバイスの画面サイズに合わせ、最適なレイアウトで表現。見やすく選びやすいユーザーインターフェースを目指した。検索機能も強化し、書籍のタイトルのほか、ジャンル名、出版社名、作家名はもちろん、フリーワード検索は解説文でも検索できる。検索窓には検索候補一覧が並ぶ入力補助機能(インクリメンタル サーチ)を実装し、販売実績の多い候補を上位に表示している。レコメンド機能には販売動向を反映しており、今話題になっている電子書籍が即時購入できる。
bk1との連携も大きい。「honto」で販売している本の中で、同じタイトルの本が「bk1」にもある場合、「honto」の商品詳細ページで「bk1 紙の本を買う」のボタンが表示される。「bk1 紙の本を買う」のボタンをクリックすれば、「bk1」側の商品詳細ページへリンクする。ただし、「honto」利用の際にも会員登録が必要だが、リンク先の「bk1」で紙の本を購入する際には、「bk1」側でも会員登録が必要となる。
一方、すでにオンラインストア「BookWeb」での紙の本の販売で実績を持つ紀伊國屋書店も、本格的に電子書籍マーケットに参入。それが「紀伊國屋書店BookWebPlusサービス」(以下BookWebPlus)だ。
まず2010年12月に「BookWebPlus」で電子書籍の配信・販売サービスを開始。パソコン向け約1100タイトルの配信をスタート。2011年5月20日からは配信対象デバイスをスマートフォンやタブレット端末に拡大した。サービス開始時点で約5000タイトルを提供、現在もタイトルを増やしている状況だ。
対象デバイスの拡大に合わせ、アンドロイドOS搭載のスマートフォンおよびタブレット向けのストアアプリ「紀伊國屋書店Kinoppy」(キノッピー)をアンドロイドマーケットから無料で配布(iPhone、iPad対応アプリは6月1日より)している。キノッピーはストア機能のほか、読書履歴などが見られる本棚機能である「ライブラリ」や「ビューア」機能を備える。
アプリの配布を始めたのと同時に、各デバイス向け電子書籍の配信・販売をスタートした。コンテンツは講談社、光文社、角川書店、角川学芸出版、岩波書店、河出書房新社、扶桑社、ジョルダン、金の星社、アスキー・メディアワークス、エンターブレイン、角川マーケティング、中経出版、新人物往来社、集英社、小学館、学研HD、幻冬舎、PHP研究所、徳間書店をはじめとする多く出版社が提供。実用書や洋書、コミックの品ぞろえにも意欲を見せる。
キノッピーは電子書籍のみならず紙の本にも対応しているのが特徴。和書・洋書あわせて1000万タイトルから購入できる「BookWeb」から紙の本が購入でき、ライブラリ(履歴)にも追加できる。ログインの際のIDやパスワードはBookWeb、キノッピー共通で使える。
このほか「電子書店パピレス」「ビットウェイブックス」、雑誌が充実した「Fujisan.co.jp」、コミックが充実した「ebookjapan」など多数の総合電子書籍販売サイトがある。今回は「honto」および「BookWebPlus」担当者に、2011年上半期に売れた電子書籍を聞いた。ただし、電子書籍として2010年7月から2011年7月までの1年の間に発売された作品でランキングを調べてもらっている。
映画原作など話題の本の電子書籍化が当たっている
まず「honto」のランキング(2011年1月~7月までの売れ行きに評判(評価)を加味したもの)を見てみると、1位『プリンセス・トヨトミ』(万城目 学[著]/文藝春秋)、 2位『星守る犬』(村上たかし[著]/双葉社 ※コミック)、3位『サラリーマン金太郎』(本宮ひろ志[著]/サード・ライン ※コミック)5位『のぼうの城(上)』(和田竜[著]/小学館)、10位『となり町戦争』(三崎亜記[著]/集英社)、13位『八日目の蝉』(角田光代[著]/中央公論新社)と、映画原作が多い。
「紙でも大変好評な1冊だが電子化されると共に、非常に多くのお客様に支持された1冊」(honto担当者)という『これからの「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学』(マイケル・サンデル/鬼澤忍[著]/早川書房)や、『伝える力-「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!』(池上彰[著]/PHP研究所)といった、ヒット作もランキングに顔を出している。
「BookWebPlus」の方も同様で、こちらはグランドオープンが6月1日だったので月間ランキングになってはいるが、『ハッピーバースデー』(青木和雄[著]/金の星社)、『蹴りたい背中』(綿矢りさ[著]/河出書房新社)、『カラマーゾフの兄弟〈1〉』(フョ-ドル・ミハイロヴィチ・ドストエフス[著]/光文社)など、やはり過去のヒット作がランキングの上位に入る。いきなり電子書籍で発売されてヒットした、という作品はまだ少ないようだ。
注目したいのは、IT関連書、ITビジネス関連書。『スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ二大カリスマCEOの仕事力』(竹内一正[著]/PHP研究所)や『アップル、グーグル、マイクロソフト―クラウド、携帯端末戦争のゆくえ』(岡嶋裕史[著]/光文社)などは、紙で発売されてから1年前後と比較的新しい。電子書籍を選ぶ人の、ITへの関心の高さを感じさせる。また『ウィキリークス以後の日本―自由報道協会(仮)とメディア革命』(上杉隆[著]/光文社)や『街場のメディア論』(内田樹[著]/光文社)といったメディアに関する本が売れている点にも注目したい。
両書店で唯一、電子版のみの発売の『サッカーのチカラ』(FOOTBALL WRITER'S AID[著]東邦出版)は、hontoの独占コンテンツ。日本大震災の被災地支援のためにサッカーメディア界の人間が垣根を超え、総力を結集して生まれたチャリティー企画。総勢107人のサッカー界を代表する書き手が「サッカーのチカラ」という共通テーマを、それぞれの価値観でつづっている。1冊あたりの売り上げ1200円のうち1000円が東日本大震災義援金として寄付される。
両書店のランキングに共通点は少なかった。電子書籍は、各出版社の公式電子書籍書店から購入する人も多い。どういったジャンルの作品がヒットするという予測がしにくいと言えそうだ。ただ「BookWebPlus」で『スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ二大カリスマCEOの仕事力』や『なぜ、脳はiPadにハマるのか?―脳力を最大限に引き出す使い方レッスン』(篠原菊紀[著]/学研)、『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』(竹田恒泰[著]/PHP研究所)がヒットしていることを考えると、新書タイプの電子書籍は比較的手が伸ばしやすいと言えるのではないだろうか。
電子書籍をどこでどうやって買うのかは、所有する機器によるところが大きいだろう。PCか、iPhoneやiPadなどiOSデバイスか、Androidのスマートフォンやタブレット端末かによって変わってくるのが現状だ。
ただ、電子書店も徐々に充実してきている。コンテンツの点数自体の課題はあるが、出版社を問わず幅広いジャンルを取りそろえる電子書店も出てきた。その一つが「honto」だ。
「honto」は総合印刷会社、大日本印刷が2001年より直営で展開するPC、iPhone向け電子書籍販売サイト「ウェブの書斎」を全面リニューアルした電子書店だ。2010年11月25日のリニューアル時点で、コンテンツは約3万点(同年7月時点で約1万5000点)。オンライン書店「bk1」との相互連携や検索機能の強化など、新機能を大幅に追加した。
例えば「honto」サイトの表示を各デバイスの画面サイズに合わせ、最適なレイアウトで表現。見やすく選びやすいユーザーインターフェースを目指した。検索機能も強化し、書籍のタイトルのほか、ジャンル名、出版社名、作家名はもちろん、フリーワード検索は解説文でも検索できる。検索窓には検索候補一覧が並ぶ入力補助機能(インクリメンタル サーチ)を実装し、販売実績の多い候補を上位に表示している。レコメンド機能には販売動向を反映しており、今話題になっている電子書籍が即時購入できる。
bk1との連携も大きい。「honto」で販売している本の中で、同じタイトルの本が「bk1」にもある場合、「honto」の商品詳細ページで「bk1 紙の本を買う」のボタンが表示される。「bk1 紙の本を買う」のボタンをクリックすれば、「bk1」側の商品詳細ページへリンクする。ただし、「honto」利用の際にも会員登録が必要だが、リンク先の「bk1」で紙の本を購入する際には、「bk1」側でも会員登録が必要となる。
一方、すでにオンラインストア「BookWeb」での紙の本の販売で実績を持つ紀伊國屋書店も、本格的に電子書籍マーケットに参入。それが「紀伊國屋書店BookWebPlusサービス」(以下BookWebPlus)だ。
まず2010年12月に「BookWebPlus」で電子書籍の配信・販売サービスを開始。パソコン向け約1100タイトルの配信をスタート。2011年5月20日からは配信対象デバイスをスマートフォンやタブレット端末に拡大した。サービス開始時点で約5000タイトルを提供、現在もタイトルを増やしている状況だ。
対象デバイスの拡大に合わせ、アンドロイドOS搭載のスマートフォンおよびタブレット向けのストアアプリ「紀伊國屋書店Kinoppy」(キノッピー)をアンドロイドマーケットから無料で配布(iPhone、iPad対応アプリは6月1日より)している。キノッピーはストア機能のほか、読書履歴などが見られる本棚機能である「ライブラリ」や「ビューア」機能を備える。
アプリの配布を始めたのと同時に、各デバイス向け電子書籍の配信・販売をスタートした。コンテンツは講談社、光文社、角川書店、角川学芸出版、岩波書店、河出書房新社、扶桑社、ジョルダン、金の星社、アスキー・メディアワークス、エンターブレイン、角川マーケティング、中経出版、新人物往来社、集英社、小学館、学研HD、幻冬舎、PHP研究所、徳間書店をはじめとする多く出版社が提供。実用書や洋書、コミックの品ぞろえにも意欲を見せる。
キノッピーは電子書籍のみならず紙の本にも対応しているのが特徴。和書・洋書あわせて1000万タイトルから購入できる「BookWeb」から紙の本が購入でき、ライブラリ(履歴)にも追加できる。ログインの際のIDやパスワードはBookWeb、キノッピー共通で使える。
このほか「電子書店パピレス」「ビットウェイブックス」、雑誌が充実した「Fujisan.co.jp」、コミックが充実した「ebookjapan」など多数の総合電子書籍販売サイトがある。今回は「honto」および「BookWebPlus」担当者に、2011年上半期に売れた電子書籍を聞いた。ただし、電子書籍として2010年7月から2011年7月までの1年の間に発売された作品でランキングを調べてもらっている。
映画原作など話題の本の電子書籍化が当たっている
「honto」2011年1月~7月ランキング
まず「honto」のランキング(2011年1月~7月までの売れ行きに評判(評価)を加味したもの)を見てみると、1位『プリンセス・トヨトミ』(万城目 学[著]/文藝春秋)、 2位『星守る犬』(村上たかし[著]/双葉社 ※コミック)、3位『サラリーマン金太郎』(本宮ひろ志[著]/サード・ライン ※コミック)5位『のぼうの城(上)』(和田竜[著]/小学館)、10位『となり町戦争』(三崎亜記[著]/集英社)、13位『八日目の蝉』(角田光代[著]/中央公論新社)と、映画原作が多い。
「紙でも大変好評な1冊だが電子化されると共に、非常に多くのお客様に支持された1冊」(honto担当者)という『これからの「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学』(マイケル・サンデル/鬼澤忍[著]/早川書房)や、『伝える力-「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!』(池上彰[著]/PHP研究所)といった、ヒット作もランキングに顔を出している。
「紀伊國屋BookWebPlus」2011年6月1日~6月30日月間ランキング
「BookWebPlus」の方も同様で、こちらはグランドオープンが6月1日だったので月間ランキングになってはいるが、『ハッピーバースデー』(青木和雄[著]/金の星社)、『蹴りたい背中』(綿矢りさ[著]/河出書房新社)、『カラマーゾフの兄弟〈1〉』(フョ-ドル・ミハイロヴィチ・ドストエフス[著]/光文社)など、やはり過去のヒット作がランキングの上位に入る。いきなり電子書籍で発売されてヒットした、という作品はまだ少ないようだ。
注目したいのは、IT関連書、ITビジネス関連書。『スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ二大カリスマCEOの仕事力』(竹内一正[著]/PHP研究所)や『アップル、グーグル、マイクロソフト―クラウド、携帯端末戦争のゆくえ』(岡嶋裕史[著]/光文社)などは、紙で発売されてから1年前後と比較的新しい。電子書籍を選ぶ人の、ITへの関心の高さを感じさせる。また『ウィキリークス以後の日本―自由報道協会(仮)とメディア革命』(上杉隆[著]/光文社)や『街場のメディア論』(内田樹[著]/光文社)といったメディアに関する本が売れている点にも注目したい。
両書店で唯一、電子版のみの発売の『サッカーのチカラ』(FOOTBALL WRITER'S AID[著]東邦出版)は、hontoの独占コンテンツ。日本大震災の被災地支援のためにサッカーメディア界の人間が垣根を超え、総力を結集して生まれたチャリティー企画。総勢107人のサッカー界を代表する書き手が「サッカーのチカラ」という共通テーマを、それぞれの価値観でつづっている。1冊あたりの売り上げ1200円のうち1000円が東日本大震災義援金として寄付される。
両書店のランキングに共通点は少なかった。電子書籍は、各出版社の公式電子書籍書店から購入する人も多い。どういったジャンルの作品がヒットするという予測がしにくいと言えそうだ。ただ「BookWebPlus」で『スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ二大カリスマCEOの仕事力』や『なぜ、脳はiPadにハマるのか?―脳力を最大限に引き出す使い方レッスン』(篠原菊紀[著]/学研)、『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』(竹田恒泰[著]/PHP研究所)がヒットしていることを考えると、新書タイプの電子書籍は比較的手が伸ばしやすいと言えるのではないだろうか。
2011年9月1日木曜日
米書店最大手B&N、電子書籍事業が倍増へ
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819584E1E3E2E2E08DE1E3E2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000
米書店大手バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)は、電子書籍事業の売り上げが今年度(2011年5月~12年4月)は倍増し、18億ドルに達するとの見通しを示した。
一方、第1四半期(5~7月期)の決算は再び赤字だった。電子書籍市場では、同社の専用端末「ヌック」と米アマゾン・ドット・コムの端末「キンドル」が、巨額の投資を伴うシェア獲得競争を繰り広げている。
B&Nは、米メディア大手リバティメディアから2億400万ドルの出資を受け入れると発表したばかり。30日の決算報告では、電子書籍事業の伸びが鮮明になる一方で、通常の書籍売り上げの下落が止まらないことが明瞭となった。
■ アマゾンと激しい顧客争奪戦
B&Nは「ヌック」などのデジタル部門をビジネスの中核に据える事業再編を目指すが、「キンドル」を提供するアマゾンとの顧客を奪い合う厳しい戦いに直面している。アマゾンはネット通販市場での圧倒的優位を電子書籍市場に持ち込み、攻勢をかける。
B&Nによると、ヌック部門(ハードウエア、周辺機器、電子書籍を含む)の5~7月期の連結売上高は140%増の2億7700万ドルに達した。
ウィリアム・リンチ最高経営責任者(CEO)は「ヌックは当社にとって急成長する大型の新ビジネスに育った」と述べた。
リンチ氏によると米電子書籍市場における同社のシェアは26~27%である。他方、調査会社エンダース・アナリシスのベネディクト・エバンス氏によると、アマゾンのシェアは60%~70%の間だという。今のところ明確なデータは入手できない。
エバンス氏はヌックについて次のように解説する。「これまでのところ周囲の予想を超える善戦をしてきた。書店での販促活動が功を奏したといえる。他社の端末は販路が限られているか、製品機能に魅力がなかった」
年間ベースの連結売上高でみると、同部門は昨年度の8億8000万ドルから今年度は18億ドルと倍増する見通しだという。2010年度は1億2300万ドルだった。
だが、同社全体では年間ベースでも赤字を解消できそうにない。
B&Nが既存の書店チェーンを通じてヌックを売り込んだのに対し、アマゾンは同社の通販サイトでキンドルを提供できるのが強みだ。両社はさらに自社端末向けに書籍・雑誌コンテンツを囲い込もうとしのぎを削りあっている。
アマゾンはキンドルの廉価版も発売した。広告掲載型の機種と米通信大手AT&Tがスポンサーとなる機種だ。これに加え、事業多角化による豊富な収益源がキンドル関連事業への投資拡大を支えている。
■ 通常の書籍売り上げへの影響は不透明
それに対して「B&Nの書籍売り上げがどうなるか、それはいちかばちかやってみないと分からない」とエバンス氏はいう。電子ブックが登場する以前の書籍販売に同社が果たしてきた役割を念頭に、「B&Nの最大の挑戦は(デジタルという)全く新しい市場に乗り出したことだ。それは従来の市場より小規模で、利幅が小さく、自身のシェアも低い」と同氏は指摘する。
B&Nの5月~7月期の純損失は5600万ドルで、前年同期の6200万ドルよりやや縮小した。書店での売上高が3%減の10億ドルにとどまったものの全体の売上高は2%増の14億ドルとなった。
また、長年のライバルだった米書店チェーン2位のボーダーズ・グループが7月中旬、再建を断念し全資産を清算する方針を決めたことから、ボーダーズの書店閉鎖の影響で、B&Nは今年度の売上高が1億5000万~2億ドル伸びる見通しだという。
By Barney Jopson
米書店大手バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)は、電子書籍事業の売り上げが今年度(2011年5月~12年4月)は倍増し、18億ドルに達するとの見通しを示した。
一方、第1四半期(5~7月期)の決算は再び赤字だった。電子書籍市場では、同社の専用端末「ヌック」と米アマゾン・ドット・コムの端末「キンドル」が、巨額の投資を伴うシェア獲得競争を繰り広げている。
B&Nは、米メディア大手リバティメディアから2億400万ドルの出資を受け入れると発表したばかり。30日の決算報告では、電子書籍事業の伸びが鮮明になる一方で、通常の書籍売り上げの下落が止まらないことが明瞭となった。
■ アマゾンと激しい顧客争奪戦
B&Nは「ヌック」などのデジタル部門をビジネスの中核に据える事業再編を目指すが、「キンドル」を提供するアマゾンとの顧客を奪い合う厳しい戦いに直面している。アマゾンはネット通販市場での圧倒的優位を電子書籍市場に持ち込み、攻勢をかける。
B&Nによると、ヌック部門(ハードウエア、周辺機器、電子書籍を含む)の5~7月期の連結売上高は140%増の2億7700万ドルに達した。
ウィリアム・リンチ最高経営責任者(CEO)は「ヌックは当社にとって急成長する大型の新ビジネスに育った」と述べた。
リンチ氏によると米電子書籍市場における同社のシェアは26~27%である。他方、調査会社エンダース・アナリシスのベネディクト・エバンス氏によると、アマゾンのシェアは60%~70%の間だという。今のところ明確なデータは入手できない。
エバンス氏はヌックについて次のように解説する。「これまでのところ周囲の予想を超える善戦をしてきた。書店での販促活動が功を奏したといえる。他社の端末は販路が限られているか、製品機能に魅力がなかった」
年間ベースの連結売上高でみると、同部門は昨年度の8億8000万ドルから今年度は18億ドルと倍増する見通しだという。2010年度は1億2300万ドルだった。
だが、同社全体では年間ベースでも赤字を解消できそうにない。
B&Nが既存の書店チェーンを通じてヌックを売り込んだのに対し、アマゾンは同社の通販サイトでキンドルを提供できるのが強みだ。両社はさらに自社端末向けに書籍・雑誌コンテンツを囲い込もうとしのぎを削りあっている。
アマゾンはキンドルの廉価版も発売した。広告掲載型の機種と米通信大手AT&Tがスポンサーとなる機種だ。これに加え、事業多角化による豊富な収益源がキンドル関連事業への投資拡大を支えている。
■ 通常の書籍売り上げへの影響は不透明
それに対して「B&Nの書籍売り上げがどうなるか、それはいちかばちかやってみないと分からない」とエバンス氏はいう。電子ブックが登場する以前の書籍販売に同社が果たしてきた役割を念頭に、「B&Nの最大の挑戦は(デジタルという)全く新しい市場に乗り出したことだ。それは従来の市場より小規模で、利幅が小さく、自身のシェアも低い」と同氏は指摘する。
B&Nの5月~7月期の純損失は5600万ドルで、前年同期の6200万ドルよりやや縮小した。書店での売上高が3%減の10億ドルにとどまったものの全体の売上高は2%増の14億ドルとなった。
また、長年のライバルだった米書店チェーン2位のボーダーズ・グループが7月中旬、再建を断念し全資産を清算する方針を決めたことから、ボーダーズの書店閉鎖の影響で、B&Nは今年度の売上高が1億5000万~2億ドル伸びる見通しだという。
By Barney Jopson
2011年8月26日金曜日
タブレットは男性に、電子書籍リーダーは女性に人気 ―Nielsen調査
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1108/26/news025.html
米国では女性による電子端末の採用が進んでおり、特に電子書籍リーダーの所有者は男性よりも多くなった――。米調査会社のNielsenが8月25日(現地時間)、米国での第2四半期(4~6月)における電子端末の利用に関する調査結果を発表した。
電子書籍リーダーの利用者の割合を性別で見ると、女性が61%と男性を上回った。2010年第3四半期(7~9月)の調査では、女性は46%だった。スマートフォンでは男女比は半々、タブレットは男性が57%で女性より多かった。
年齢別では、タブレットと電子書籍リーダーの所有者の年齢層が第3四半期の調査よりも上がっており、電子書籍リーダーの所有者の30%が55歳以上だった。
米国では女性による電子端末の採用が進んでおり、特に電子書籍リーダーの所有者は男性よりも多くなった――。米調査会社のNielsenが8月25日(現地時間)、米国での第2四半期(4~6月)における電子端末の利用に関する調査結果を発表した。
電子書籍リーダーの利用者の割合を性別で見ると、女性が61%と男性を上回った。2010年第3四半期(7~9月)の調査では、女性は46%だった。スマートフォンでは男女比は半々、タブレットは男性が57%で女性より多かった。
年齢別では、タブレットと電子書籍リーダーの所有者の年齢層が第3四半期の調査よりも上がっており、電子書籍リーダーの所有者の30%が55歳以上だった。
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