http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819584E1E3E2E2E08DE1E3E2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000
米書店大手バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)は、電子書籍事業の売り上げが今年度(2011年5月~12年4月)は倍増し、18億ドルに達するとの見通しを示した。
一方、第1四半期(5~7月期)の決算は再び赤字だった。電子書籍市場では、同社の専用端末「ヌック」と米アマゾン・ドット・コムの端末「キンドル」が、巨額の投資を伴うシェア獲得競争を繰り広げている。
B&Nは、米メディア大手リバティメディアから2億400万ドルの出資を受け入れると発表したばかり。30日の決算報告では、電子書籍事業の伸びが鮮明になる一方で、通常の書籍売り上げの下落が止まらないことが明瞭となった。
■ アマゾンと激しい顧客争奪戦
B&Nは「ヌック」などのデジタル部門をビジネスの中核に据える事業再編を目指すが、「キンドル」を提供するアマゾンとの顧客を奪い合う厳しい戦いに直面している。アマゾンはネット通販市場での圧倒的優位を電子書籍市場に持ち込み、攻勢をかける。
B&Nによると、ヌック部門(ハードウエア、周辺機器、電子書籍を含む)の5~7月期の連結売上高は140%増の2億7700万ドルに達した。
ウィリアム・リンチ最高経営責任者(CEO)は「ヌックは当社にとって急成長する大型の新ビジネスに育った」と述べた。
リンチ氏によると米電子書籍市場における同社のシェアは26~27%である。他方、調査会社エンダース・アナリシスのベネディクト・エバンス氏によると、アマゾンのシェアは60%~70%の間だという。今のところ明確なデータは入手できない。
エバンス氏はヌックについて次のように解説する。「これまでのところ周囲の予想を超える善戦をしてきた。書店での販促活動が功を奏したといえる。他社の端末は販路が限られているか、製品機能に魅力がなかった」
年間ベースの連結売上高でみると、同部門は昨年度の8億8000万ドルから今年度は18億ドルと倍増する見通しだという。2010年度は1億2300万ドルだった。
だが、同社全体では年間ベースでも赤字を解消できそうにない。
B&Nが既存の書店チェーンを通じてヌックを売り込んだのに対し、アマゾンは同社の通販サイトでキンドルを提供できるのが強みだ。両社はさらに自社端末向けに書籍・雑誌コンテンツを囲い込もうとしのぎを削りあっている。
アマゾンはキンドルの廉価版も発売した。広告掲載型の機種と米通信大手AT&Tがスポンサーとなる機種だ。これに加え、事業多角化による豊富な収益源がキンドル関連事業への投資拡大を支えている。
■ 通常の書籍売り上げへの影響は不透明
それに対して「B&Nの書籍売り上げがどうなるか、それはいちかばちかやってみないと分からない」とエバンス氏はいう。電子ブックが登場する以前の書籍販売に同社が果たしてきた役割を念頭に、「B&Nの最大の挑戦は(デジタルという)全く新しい市場に乗り出したことだ。それは従来の市場より小規模で、利幅が小さく、自身のシェアも低い」と同氏は指摘する。
B&Nの5月~7月期の純損失は5600万ドルで、前年同期の6200万ドルよりやや縮小した。書店での売上高が3%減の10億ドルにとどまったものの全体の売上高は2%増の14億ドルとなった。
また、長年のライバルだった米書店チェーン2位のボーダーズ・グループが7月中旬、再建を断念し全資産を清算する方針を決めたことから、ボーダーズの書店閉鎖の影響で、B&Nは今年度の売上高が1億5000万~2億ドル伸びる見通しだという。
By Barney Jopson
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