【シリコンバレー=奥平和行】米アマゾン・ドット・コムが「タブレット型」と呼ばれる多機能携帯端末に参入するとの観測が広がっている。同社のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は米誌の取材で、タブレット端末事業について「注目していて下さい」と話した。アマゾンは電子書籍端末「キンドル」で成功を収めており、タブレットでも台風の目になる可能性が高い。
ベゾスCEOはタブレット端末について「参入した場合にはキンドルを代替するのではなく、補完する商品になる可能性が高い」と話し、電子ペーパーを採用した電子書籍端末と液晶画面のタブレットを併売していく方針を示した。
米消費者専門誌「コンシューマー・リポート」のインタビューで答えた。発売時期や製品の仕様、価格などは明らかになっていない。
半年ほど前からアマゾンのタブレット端末参入をめぐる噂が飛び交っているが、ベゾス氏が直接コメントするのは今回が初めてだ。
タブレット端末は米アップルが「iPad(アイパッド)」で市場を開拓し、現在は米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用した商品も増えている。
米メディアの報道ではアマゾンもアンドロイド関連の技術に精通した人材を探していることが既に表面化。2月にはタッチスクリーン関連の技術開発を手掛ける米タッチコ(ニューヨーク州)も買収するなど、参入準備と取られる動きが相次いでいる。
3月末にはアンドロイド向けのアプリを販売する「アマゾン・アップストア・フォー・アンドロイド」を開設したほか、クラウドコンピューティングを活用した音楽の保存・再生サービス「クラウドドライブ/プレーヤー」の提供も始めており、いずれもタブレット投入に向けた布石とみられて、関係者の間で期待が高まっていた。
アマゾンは2007年に電子書籍のキンドルを発売し、米市場で6割程度のシェアを握る最大手だ。ベゾスCEOはキンドルにより「世界中のすべての書籍を60秒以内に消費者に届ける」ことを目指すという。主力商品の書籍の電子化を見越してキンドルを投入した経緯を考えると、映画や音楽などのデジタル配信の普及を見据えて対応するハードを出すことは自然な流れだ。
アマゾンの参入はアップルの「iPad」がけん引してきたタブレット市場の競争にも影響を与えそうだ。
アマゾンは既にネット販売という強力な販売ルートを確保していることが強み。さらに電子書籍や音楽、映画などのコンテンツ販売と組み合わせた事業計画を立て、ハード(機器)そのものの価格は低く設定する可能性も指摘されている。
実際、キンドルでは07年の発売時点の価格は399ドル(約3万2000円)だったが、5月に発売した広告挿入機能のついた最新型は114 ドルまで下がった。値下げ競争ではアマゾンが先行し、競合メーカーが追随する傾向が強まっている。タブレットでも同じ戦略をとった場合、消費者には価格下落の加速という恩恵がもたらされそうだ。
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http://wirelesswire.jp/Watching_World/201105161130.html
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