2011年6月21日火曜日

イースト、EPUBファイル生成サービス「epubpack」を無償公開

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1106/20/news076.html

イーストは、EPUB 3.0に対応したEPUBファイルを生成できるクラウドサービス「epubpack」を公開した。無償で利用可能だ。

電子出版標準化団体IDPF(International Digital Publishing Forum)が5月23日に発表した「EPUB 3.0」は、日本語の縦書き、禁則などをサポートしており、電子書籍ファイルフォーマットの本命と目されている。
 MicrosoftのWindows Azureを使って立ち上げられたepubpackは、ユーザーがアップロードしたHTMLやCSSなどのファイルからEPUBファイルを自動生成するサービス。EPUB 3.0のほか、従来のEPUB仕様(EPUB 2)に準拠したファイルの生成も可能。EPUB 2で出力する場合はファイル構成や文法の整合性を確認する「epubcheck」によってチェックされ、仕様に沿ったEPUBファイルが出力される(EPUB 3.0で出力時はチェックされない)。

2011年6月15日水曜日

電子書籍がもたらした「価格の自由」 「本のリンク」が書籍のマーケティングを変える!

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110613/220732/?ST=manage

2010年は日本の「電子書籍元年」と呼ばれた。この年の前半にアップルがiPadを発表・発売した。後半には、日本メーカーが独自の電子書籍リーダーを競って発売した。紙の書籍が新刊として発行されると同時に、あるいはそのちょっと後に、電子書籍が発売されるケースが増えた。

電子書籍の登場で出版界は「価格の自由」を手に入れた

 こうして日本でもぼっ発した電子書籍戦争が、日本の出版ビジネスに与えた最大のインパクトは何だろうか?
 私は「価格変更の自由」だと考える。日本の出版業界は、長い間再販制度の下にあり、一度発売した本は同じ定価で売り続けるというやり方に慣れきっている。その定価の設定も、初版の発行部数を前提に、コストを積み上げて決めることが一般化している。このため、日本の出版ビジネスには「価格戦略」がほとんどなかった。売れ行きが悪いから値下げして売るといったことさえしないのだから。
 しかし、電子書籍には再販制度が適用されない。値下げも値上げも自由である。実際に時々、値下げされた電子書籍を目にする。そもそも、最初の価格設定がバラバラである。紙の本では、同じジャンルでページ数も同じぐらいなら、価格に大きな差がつくことは珍しい。でも、電子書籍を見ると、同じテーマを扱ったビジネス書が、大幅に異なる価格で売られていたりする。
 電子書籍の形式や内容ばかりに目が行きがちだが、価格の設定・変更の面で、紙版と電子版の書籍に大きな違いがあることに、もっと注目すべきである。著者は、2010年後半のほとんどの時間を電子書籍の執筆・製作に費やした。この短期連載では、この経験を元に、主に価格に注目しながら、電子書籍のマーケティング、そして電子書籍と出版ビジネスの関係を論じてみたい。

電子書籍で「本のリンク」を実現

 私はiPadの発表に刺激されて、「どうしても電子書籍を作りたい」「それも電子書籍ならではの工夫をした本を書き下ろしたい」と考えた。それを実現したのが拙著『マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか? クーポン・オマケ・ゲームのビジネス戦略』(講談社)である。最初から電子書籍化を前提に原稿を書き、2010年11月に紙版を発行、同年12月に電子版を刊行した。
 内容は、私が面白いと感じた価格戦略の実例を紹介し、解説するものである。マクドナルドやファミリーマートなど、最先端の価格戦略を実践していて、かつ身近な企業を題材にした。ゲームソフトやゲーム機の話も取り上げた。中学生でも興味をもって読める、経済学の入門書を本気で目指したからだ。
 この電子書籍は、iPhone用とiPad用のアプリとして発売した。電子書籍ならではの工夫をあれこれ検討し、いくつかは断念したが、いくつかは実現した。iPhoneの画面で読んだ時の文字の読みやすさを考えて、図で使う文字サイズなどを執筆前に決めていた。大量に動画をつけた。音声入りの動画もある。
今回、私が作った電子書籍の一番の工夫は「本のリンク」だ。これが後に説明する価格戦略と密接にかかわってくる。これを発想した経緯から説明しよう。
 『マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか?』には、ゲーム機のプレイステーションを題材にした章がある。私はそれほどゲーム機に詳しくない。それでも、中学生にも経済に興味を持ってもらうために、どうしてもゲーム機の話を入れたかったからだ。この章を書くため、関連する本を何冊も読んだ。その中で『美学vs.実利 「チーム久夛良木」対任天堂の総力戦15年史』(講談社)がダントツに面白いと感じた。このため、この章では、『美学vs.実利』からあれこれ引用している。
 偶然なことに、同書を担当した編集者の倉田卓史さんが私の電子書籍の担当になった。これが縁で、『美学vs.実利』の著者の西田宗千佳さんと電子書籍をめぐる話をする機会を得た。西田さんは2010年に『iPadvs.キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』と『電子書籍革命の真実 未来の本 本の未来』という2冊の電子書籍関連本を出している。
 西田さんとの話し合いの中で思惑が一致したのが、私の本と西田さんの本を「リンク」することだった。具体的には、『美学vs.実利』の中で私が一番参考にした章を、私の『マクドナルドはなぜ……』の電子版にオマケとして丸々つけさせてもらう。他方、『美学vs.実利』の電子版が出るときには、私の『マクドナルドはなぜ……』でゲーム機ビジネスの基礎理論を書いた章を、オマケとして提供する。こうして1章ずつをオマケとして提供し合うことで、本と本をリンクさせようとしたのである。実際に、私の電子書籍の末尾には、西田さんの本の第3章がついている。
 本のリンクは、その輪をどんどん広げることを目指している。私自身が過去に講談社から出した本で、関連する部分を追加のオマケとしてつける。他の著者が新しく電子書籍を出す時にも、相互に関連する内容があれば、オマケを交換する。交換によって新しく提供してもらうオマケは、アプリの「無料アップデート」機能を使って読者に届ける。

「本のリンク」が書籍のマーケティングを変える!

 無料アップデートによるオマケの追加は、本の販売促進策として画期的なものである。もし、既にかなりの読者がいる電子書籍Aに、関連するテーマを扱った電子書籍Bの一部をオマケにつけることにして、無料アップデートできるようにするとどうなるか? 電子書籍Bにとっては、効率的な販売促進策になる。関連するテーマに興味がある読者に対して、特に関連性が深い部分を試し読みしてもらえるからだ。
 しかも、この販売促進策は、電子書籍が出版されてからかなり年月が経過した場合にも有効である。出版から何年か経過した本であっても、新刊としてこれから売り出す本とリンクすれば、ついでに宣伝できるからだ。これまで、本の販売促進は、新刊として発行する時に集中的に行うのが一般的だった。従って、発行時に売れないと、その後もヒットしない確率がきわめて高かった。だから、新刊として扱われる時期が過ぎてしまうと、余計に販売促進策が打たれなくなる。電子書籍の世界では、「本のリンク」を使うことで、この欠点を補うことができるのである。

マーケティングの工夫で電子書籍市場を切り開く

 電子書籍の市場は、日本ではまだまだ小さい。一般的に、電子書籍は儲からないというのが今の日本の現状である。売れているのは、紙版がベストセラーになった本の電子版が、紙版の“七光り”で売れるケースくらいではないだろうか。
 こうした現状を打破するために、著者や版元はもっと、電子書籍ならではのマーケティング戦略を工夫するべきだ。その時には価格戦略が重要になる。次回は、紙版と電子版それぞれの商品としての基本性質つまり「商品としての本の性質」を考える。その上で、その後の2回で、価格戦略についてもっと詳しく論じる。

2011年6月14日火曜日

電子書籍“権利者データベース構築”へ、米Book Rights Registryと欧州ARROWの両代表の討論会内容が公開

http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=2470

米国の著作権管理団体の1つであるCopyright Clearance Center(本部:米国マサチューセッツ州)は現地時間の6月12日、業界ニュースブログにおいて、欧米それぞれで進行中の電子書籍権利者データベース構築プロジェクト「ARROW」および「Book Rights Registry」両代表による討論会の音声を公開した。

 欧州側の ARROWはもともと、米国のGoogle Book Search和解協議の副産物として考え出されたBook Rights Registryへの対抗馬として急きょ立ち上がった権利者データベース構築プロジェクト。双方ともまだまだ未完の巨大プロジェクトで、実質的にはライバル関係にあるが、先月ニューヨークで開催されたBook Expo Americaカンファレンスで両代表による公開討論会が行なわれた。今回公開されたのは、その内容。

 デジタル著作権業界の最新動向を盛り込んだ面白い議論内容となっているが、結論としては「世界統一の権利者データベースを構築するのは現実的ではなく、相互リンク方式のほうが現実的」というかたちで討論会を終えている。

紀伊國屋書店など4社、電子書籍の利便性向上に向けて共同合意

http://ascii.jp/elem/000/000/612/612576/

紀伊國屋書店、ソニー、パナソニック、楽天の4社は6月13日、日本における電子書籍サービスについて、顧客の利便性向上を図り普及・拡大を加速するため、共同で取り組むことに合意した。
 取り組みの内容は、(1)顧客が自由に電子書籍端末を選び、さまざまな電子書籍ストアからより多くの電子書籍タイトル(コンテンツ)を購入できる環境を整備・推進すること。具体的な目標としては、2011年後半から4社がそれぞれ提供、運営する電子書籍端末および電子書籍ストアが相互に接続できる環境の実現を目指す。(2)顧客がさまざまな電子書籍ストアから購入したコンテンツを、顧客自ら一元的に管理できる環境の提供。(3)リアル書店、ネット書店、電子書籍ストアの売れ筋情報が一目でわかるランキングを主体としたポータルサイトの開設、など。
 これらの取り組みの実現にあたっては、出版各社への協力を求めるとしている。また、電子書籍共通配信プラットフォームを提供するブックリスタとの連携も、併せて検討している。

2011年6月10日金曜日

米Apple、iTunes課金を迂回する電子書籍アプリなどに対し規約をちょっとだけ緩和「外部リンク無しならOK」

http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=2460

米MacニュースサイトのMacRumors.comによると、Apple社(本社:米国カリフォルニア州)は今週、iPhone・iPadアプリ開発者規約を改訂した。それにより、とくに電子書籍・電子雑誌関係者の間で問題となっていた外部課金システム利用に関する条項も変更されたとのこと。

 記事によると、今年2月に改訂された規約では、サードパーティ製の課金システムを利用するコンテンツ系アプリ(電子書籍アプリ等)は、Apple社の iTunes課金システムも並行採用することが要求されていた。しかし、今回の改訂ではその文言ニュアンスが大幅に書き変えられた模様で、アプリ上で外部リンクや購入ボタン等を使ってサードパーティ製課金システムへ誘導さえしなければ、コンテンツ再生自体は行なえることが明記されているとのこと。

 わずかな緩和ではあるが、少なくとも“閲覧専用”アプリとしてデザインすれば、電子書籍販売ベンダーはiTunes課金を強制採用する必要はない、ということになる。

2011年6月8日水曜日

Apple、「iCloud」を発表、音楽/アプリ/電子書籍などクラウドで管理

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110607/361116/

米Appleは米国時間2011年6月6日、クラウドコンピューティングを利用して音楽や写真、アプリケーション、文書ファイルなどを保存、管理できる無料のサービス「iCloud」を今秋から始めると発表した。
 「iPhone」「iPad」「iPod touch」「Macintosh(Mac)」やWindowsパソコンのアプリケーションと連動し、ユーザーのコンテンツを自動で同社のデータセンターに保存するというサービスで、すべての機器でデータを最新の状態に保てるとしている。
 iCloudは、これまで同社が提供していたオンラインサービス「MobileMe」や、アプリケーション配信サービス「App Store」、電子書籍配信の「iBookstore」なども組み合わせた包括的なサービスとなり、これらに加え新たに、iOS端末のコンテンツをバックアップする「iCloud Backup」、文書ファイルを保存する「iCloud Storage」、写真を一時的に保管する「Photo Stream」、音楽配信サービスと連動する「iTunes in the Cloud」を用意する。
 このうち、iTunes in the Cloudでは「iTunes Match」と呼ぶ、年間24.99ドルの有料サービスを米国で始める予定。iTunes in the Cloudでは、ユーザーがAppleの音楽配信サービス「iTunes Store」で過去に購入した楽曲ファイルを追加料金なしでiOS端末に再ダウンロードできるようになる。iTunes Matchでは、iTunes Store以外で入手した楽曲について、Appleが配信権利を持つ約1800万曲と照合し、合致したものをAAC形式(256kbps)で提供する。これによりユーザーは、「照合できない残りのごく一部の楽曲だけをアップロードすればよく、音楽ライブラリ全体をアップロードする必要がなくなる」と Appleは説明している。
 このほか、文書ファイルを保存するiCloud Storageでは、同サービスのAPIを使って作成した書類をクラウド上に保存し、それらを自動的に各機器にプッシュ配信する。このサービスでは、5G バイトまでのストレージ容量を無料で提供する。Appleで購入する音楽やアプリケーション、電子書籍と、写真保管サービスで必要となるストレージ容量はこの5Gバイトの制限外となる。また、ストレージ容量の追加購入オプションも用意する予定で、料金については後日明らかにするとしている。
 Appleは同日から、iCloudのベータ版とCloud Storage APIの提供をiOSとMacの開発者プログラムで始めた。このほか、iTunes Match機能を搭載しないiTunes in the Cloudベータ版を米国で始めた。iCloudの正式版は今秋、iOSの新版「iOS 5」のリリースに合わせて提供する予定。

http://www.apple.com/pr/library/2011/06/06icloud.html

2011年6月7日火曜日

電子書籍が紙に負ける5つのポイント

http://wiredvision.jp/news/201106/2011060622.html
米Amazon.com社が最初の『Kindle』を発売し、電子書籍という革命を始めたのは3年半前のことだ。現在同社は、紙の本の売り上げよりも電子書籍の売り上げのほうが大きいという状態にある(日本語版記事)。
日本が江戸時代に、銃を捨てて刀に戻ったような、珍しい「時代逆行」が生じないかぎり、電子書籍は、紙の本を引き継ぐ「21世紀の書籍」になることだろう。
実は筆者は、今まで電子書籍リーダーというものを買ったことがなかった。生まれつき、単一機能の機器というものが嫌いだからだ。しかし、iPadを使い始めて以来というもの、紙の本はまったく購入しなくなってしまった。本は今後、完全に消え失せるということはないだろうが、ニッチなメディアという周縁的な存在になっていくことだろう。
しかしそれでも、電子書籍には根本的な欠陥がいくつかある。電子書籍には、紙の本にはかなわない(少なくとも、簡単にはかなわない)側面が、まだいくつかあるのだ。逆にいえば、以下の5つの問題が解決されさえすれば、電子書籍は制限なく成長していくことだろう。

1)読了へのプレッシャーがない。
今年2月、『The New York Times』のテクノロジー記者(元Wiredで記事を書いていたジェナ・ワーサム)が興奮した様子で、電子書籍をやっと最後まで読み終わることができた、と書いていた。ハイテクに精通した記者が、なぜそこまで時間がかかったのだろうか。本人が素晴らしい説明をしている。読み始めても、電子書籍だと「続きを読む」ことを忘れてしまうのだ。読み通すには、真摯な「新年の決意」が必要だった。
電子書籍は、視界のどこかに存在するということがない。読み始めたものは最後まで読め、と訴えてくる力に欠けるのだ。1,000冊を超える電子書籍を持っていたとしても、視界に入ってこなければ忘れられてしまう。
この問題を解決する方法は、『A Shore Thing』を読み始めてもう17日がたつが、まだ47ページめだ、ということを思い出させてくれる通知がポップアップで登場することだろう。

2)購入した本を1カ所にまとめられない。
物理的な本では、本棚を自分で整理し、その中から本を選ぶというプロセスがある。しかし、タブレットやスマートフォンの場合は、アプリごとに「本棚」ができてしまい、いろいろな所から購入した電子書籍を、まとめて1カ所で見ることができない。まとめるためのアプリが存在しないのだ。(電子リーダーはさらにつらい。専用の店以外からは何も買えないのだから)。
小さな問題だと思うかもしれないが、本屋がユーザーの本棚のサイズや形を決め、本棚にはその本屋で買った本しか並べるな、というルールを強制してきたとしたらどう思うか、考えてみてほしい。
iOSデバイス上で共通ライブラリーのようなものを作るとすれば、ルート情報を使うことが必要になるが、米Apple社は開発者にそれを許していない。また、仮にこの制限がなくなったとしても、各ベンダーの協力を取り付けるという問題がある。各社が競合していること、このような均一化が価格競争につながりかねないことなどを考えると、協力が得られるとは限らない。

3)思考を助ける「余白への書き込み」ができない。
文章をハイライトする機能だけでは十分ではない。注意深い読み手は、著者と議論したり、論点を展開したり、読んですぐに思いついたことを書き留めたりしたいものだ。そして、そのようなメモはオリジナルの近くにある必要がある----別のノートにというのでは話にならない。発明されそうでまだ発明されていない、気の利いたインデックス化システムがあろうと、それは変わらない。
本への書き込みというものは、本を誰かと共有すると、また興味深い「偶然の発見」を生み出していくものだ。こうした書き込みがまったくできないことは電子書籍の弱点だ。
書き込みの体験を再現するには新しい標準が必要だ。そしてそういった標準は、プロプライエタリな電子書籍技術を用いている各社によって共通して採用されなければならない。こうした新しい方向性は、『OpenMargin』[以下の動画]を見てもらうと、どんなものかわかるだろう。

4)位置づけとしては使い捨てなのに、価格がそうなっていない。
ハリウッドがDVDの特典でやっているように、電子書籍がそれ自体の価値をきちんと追加しない限り、レンタルに等しいものに13ドルを出すのは納得がいかないところがある。電子書籍は発行にほとんど費用がかからないのに、出版社が設定している基本となるカバープライスは、紙で出された新作の割引価格よりわずかに安いだけなのだ。
電子書籍は、貸すことも、地元の図書館に寄付することも、転売することもできない。物理的な空間を占めておらず、そのため、データを削除する際にも複雑な感情が生じにくい。このことは、次の項目とも関係してくる。

5)インテリア・デザインにならない。
くだらないと言うかもしれないが、物理的な本棚というものは、自分の人となりをほかの人々に無言で紹介するものではないだろうか。われわれが公共スペースに置く本、置かない本、そしてその並べ方は、世間に自分をどう思ってほしいかを雄弁に語るものだ(虚栄も混じるだろうが)。本棚はわれわれの紋章や名刺のようなもので、会話を始めるきっかけにもなるものだ。電子書籍リーダーの奥深くに隠されてしまえば、本棚の語る言葉は誰にも聞こえなくなってしまう。
ただし、古いメディアが完全に廃れるということは、今までもなかった。インターネット以前のラジオやテレビや映画は、いまでも存在する。だから、本がすぐ廃れるということはあり得ないだろう。電子書籍と物理的な本の両方を使い続ける方法が、両方の世界のいちばんよいところを取り入れる方法なのかもしれない。