2011年7月4日月曜日

主要電子書籍ストア徹底比較 2011夏



http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1106/30/news004.html

2010年の"電子書籍元年”を経て数多く立ち上がった電子書籍ストア。ここでは、eBook USERのコンテンツナビゲーションを担当する本紹5姉妹「eBookGirls」のコメントも交えながら、乱立する電子書籍ストアの中から主要なストアを紹介していく。



2010年以降に数多く立ち上がった電子書籍ストア。どの電子書籍ストアも同じように感じている人も少なくないだろう。しかし、細かくみていくと、ラインアップも少しずつ異なり、特徴的な機能などが用意されていることもある。
ここでは、eBook USERのコンテンツナビゲーションを担当する本紹5姉妹「eBookGirls」のコメントも交えながら、乱立する電子書籍ストアの中から主要なストアを紹介していく。

TSUTAYA GALAPAGOS



「TSUTAYA GALAPAGOS」はシャープとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の合弁会社により運営されているコンテンツストアで、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS」の発売に合わせる形で2010年12月にオープンした。電子書籍だけでなく、XMDFの表現力を生かして動画を埋め込んだ作品など販売も一部で開始されている。
 コンテンツはダウンロード型で、専用ビューワで閲覧する。ファイルフォーマットはXMDF。2011年6月24日時点のラインアップは書籍が2万7213点、雑誌が359点。日本経済新聞やMainichi Times、ビジネス雑誌が自動配信される自動定期配信サービスを提供しているのが特長。購入代金に応じてCCCが展開するポイントサービス「Tポイント」が付与される(100円につき1ポイント)。
 シャープによるとTSUTAYA GALAPAGOSを利用するユーザーのボリュームゾーンは40代。当初はGALAPAGOSでのみ利用可能だったが、これを若年層にも拡大するため、2011年3月にシャープ製のAndroid搭載スマートフォン向けのストアアプリ「GALAPAGOS App for Smartphone」をリリース。その後、6月に入ってシャープ以外のAndroid搭載スマートフォンからも利用可能になった。iOSには未対応。
 同一のユーザーIDで最大3台までの端末で閲覧できるが、メディアタブレット以外では購入・閲覧できないタイトルも存在する。また、定期購読の配信先は1台に限定される。

Reader Store

「Reader Store」は、ソニーの電子書籍専用端末「Reader」の発売に合わせ、2010年12月にオープンしたソニーマーケティングが運営する電子書籍ストア。
 コンテンツはダウンロード型で、基本的にはReaderでの閲覧が想定されている。ファイルフォーマットはXMDFと.book。Reader自体はEPUBなどの表示にも対応している。
 2011年6月24日時点のラインアップは書籍が1万7298点、コミックが5701点。先日、.book形式を新たにサポートに加えたことで、講談社作品を中心にコミックのラインアップを大幅に拡充した。
 コンテンツの決済方法はクレジットカードのほか、Reader Storeのユーザー登録に必要なMySonyIDの会員ステータスが「メンバー」以上であればソニーポイントも利用可能。

honto

「honto」は、大日本印刷、NTTドコモ、丸善CHIホールディングスの共同出資会社であるトゥ・ディファクトが運営する電子書籍ストア。オープンは2011年1月。大日本印刷とNTTドコモというそれぞれの業界を代表するガリバー企業が手を組んで展開しているため、一挙手一投足に注目が集める電子書籍ストアでもある。
 ラインアップ数は明示されていないが、2万数千点と推測され、大部分が活字もの。コミックは約2000点。コンテンツのファイルフォーマットはXMDFと.book。このほか、一部作品はDIVFというコンテンツタイプで提供されている。対応デバイスからするとiOS向けの配信形態と考えられるが、DIVFについては特に説明がない。
 各作品の詳細ページには、対応デバイスがアイコンで表示されている。漫画のカテゴリにおいてドットブック(.book)形式で配信されるタイトルはストリーミング形式で提供されるが、それ以外はローカルにファイルをダウンロードできる。
 iOS向けには漫画用と活字もの用にそれぞれビューワを分け、「honto BOOK」「honto COMIC」として提供しており、Android向けには2つが統合されたビューワ「BOOKストア 2Dfacto」を用意している。
 なお、hontoでは1つの会員ID(メールアドレス)につき1台のみ端末登録が行える(追記:6月30日に3台まで拡張)。ほかの端末から利用する際には端末解除-端末登録といった手順を踏む必要があるので、実質的には複数のモバイルデバイスで同期を取りながら読書するスタイルは想定されていない。家ではタブレット、外ではスマートフォンをメインに使うような場合は少し注意が必要だ。

BookLive!

「BookLive!」は、大日本印刷と勢力を二分する凸版印刷とインテル、およびビットウェイが2011年2月に立ち上げた電子書籍ストア。PC(Windows)およびAndroid向けに専用のビューワアプリ「BookLive! Reader」を提供しており、iOSはサポートしていない。
 コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、6月29日時点のラインアップは約1万6000タイトル、約2万5000冊。全体の約82%が活字もの、約16%を漫画が占める。ビューワアプリは複数のファイルフォーマットに対応していると発表されているが、ユーザーがそれを意識することはない。
 購入した作品は、PCとAndroid合わせて最大3台までの端末で閲覧できる。ただし、利用端末の解除は、解除する端末からしか行えないので、端末の買い換え時などに多少の留意点があるので注意したい。
 後述するeBookJapan同様、1ポイント=1円として利用できるポイント制度を用意している。コンテンツ代金の支払いは基本的にクレジットカードだが、ポイントをWebMoneyまたはBitCashで購入して利用することもできる。

Kinoppy

「Kinoppy」は、書店の雄、紀伊國屋書店が2011年6月に本格的に開始した電子書籍ストアサービスのアプリとしてiOS版、Android版が用意されている。紀伊國屋書店の電子書籍販売サービス「BookWebPlus」と、紙の本を販売するネット通販サービス「BookWeb」を透過的に利用可能なハイブリッド型のサービスを提供している。
 電子書籍コンテンツの提供形態はダウンロード型で、ファイルフォーマットは.bookまたはXMDF。現在電子書籍の取り扱いは和書のみで、洋書、コミック、雑誌は取り扱っていない。6月29日時点で、BookWebの電子書籍カテゴリのラインアップは3488点とややさみしいが、紙の和書/洋書も含めれば約1000万タイトルを扱っているので、何らかの形で本を手に入れることができるだろう。また、Kinokuniya Pointというポイントサービスを導入している。コンテンツ代金の支払いはAndroidアプリからはクレジットカードのほか、Kinokuniya Point、紀伊國屋書店ギフトカードが利用可能で、iOSアプリからはAppleの課金方式を利用して購入できる。
電子書籍ストアラインアップ対応デバイス台数制限
書籍系コミック系PCMac専用端末iOSAndroid
TSUTAYA GALAPAGOS約2万7000点約680点○(GALAPAGOS)3
Reader Store約1万7300点約5700点○(Reader)5
honto2万数千点(推定)約2000点(推定)○(SH-07C)1
BookLive!1万6148タイトル(約2万4000点)約2600タイトル3
Kinoppy
(BookWebPlus)
約3500点(電子書籍のみ)現時点で取り扱いなし
主要電子書籍ストアのラインアップと対応デバイス

eBookJapan

イーブックイニシアティブジャパンが運営する「eBookJapan」は、2000年12月に立ち上がった老舗の電子書籍販売サイト。
 国内最大規模となる漫画のラインアップを誇るのが特長。現時点で4万8000点近いラインアップを誇るこのメガサイトでは、総合図書のカテゴリで一部文芸書などを扱っているが、ラインアップの約85%を漫画が占めており、ほかの電子書籍ストアでの漫画の取り扱いを大きく引き離している。
 手塚治虫や石ノ森章太郎、ちばてつやなどによる名作はもちろん、現在連載中の作品なども数多く並ぶのが特長。電子書籍ストアの中には、現在連載中の作品を取り扱っていなかったり、取り扱っていても最新巻が用意されていないことなども珍しくないが、eBookJapanはその歴史の中で版元からの信頼を得ているためか、ほかのストアにはない作品の取り扱いも目立つ。
 コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、Windows、Mac OS、iOS(iPhone/iPadなど)、Android、Windows Mobile向けにビューワアプリが用意されている。このアプリは純粋なビューワアプリで、購入が行えるストア型のアプリではない(コンテンツはWebブラウザで購入し、後述するトランクルーム経由でビューワのライブラリに読み込ませる。また、版元の意向でモバイルデバイス向けには配信を許可していない作品もあるので、モバイルデバイスでは全体の1割ほどラインアップが減っている。
購入したコンテンツは、「トランクルーム」と呼ばれるクラウド上の蔵書管理サービスを介すことで、複数の端末から読むことができる。トランクルームは、ユーザーが購入したコンテンツを同社のサーバ上に保存することで、ユーザーの端末が壊れたり紛失した場合でもコンテンツを保護し、かつ複数の端末でコンテンツを共有できるサービスで、2011年1月に無料化された。1つの会員IDで最大3端末からトランクルームを利用できるが、トランクルームへのアップロードとダウンロードの手間が発生する。
 また、1ポイント=1円相当のポイントサービスを用意しており、基本的には購入金額の1%分のポイントが付与されるが、特定作品や全巻をまとめて購入した場合などはポイント付与率が高くなるキャンペーンを定期的に実施している。

電子書店パピレス

「電子書籍パピレス」は、1995年に開設された老舗ともいえる電子書籍販売サイト。運営はパピレス。
 ラインアップはWebサイト上の表記で17万7972点となっているが、その約70%を洋書(12万4881点)が占めている。さらに成人向けの作品やグラビア写真集などを除くと、小説や漫画、雑誌のラインアップはほかのストアとさほど変わらない。
 コンテンツの提供形態はダウンロード型で、ファイルフォーマットに応じてビューワをユーザーが用意する必要がある。ファイルフォーマットは主要なものでbookend、XMDF、.book、WM-DRM、Adobe eBook、そのほか、PDF、HTMLなどで提供されているものもある。小説・実用書などの活字ものがXMDF、コミック・写真集がbookendを中心に提供されている。
 このうち、bookendはPDF形式のコンテンツを保護しながら配信するサービスで、閲覧はbookendクライアントまたはAdobe Readerを利用する。なお、洋書はすべてAdobe eBook形式での取り扱いとなっている。
 老舗の電子書籍販売サイトなだけに、スマートフォンやタブレットなどの比較的最近になって登場したデバイスへの対応が遅れており、現時点ではiOS、Androidともに非対応。ただし、姉妹サイトの「電子貸本Renta!」では、ストリーミング方式を採用することで、iOS/Android端末もサポートしている。
 コンテンツの決済方法は、クレジットカードのほか、WebMoney、インターネット銀行決済(楽天銀行、ジャパンネット銀行)、プロバイダー決済など。
 また、パピレスはTSUTAYA GALAPAGOSに対し、XMDF形式の一部タイトルを提供しているほか、XMDF形式の作品であれば、ソニーの電子書籍端末「Reader」にファイルを移すことで読むことができる。
 なお、パピレスは今後、オプトの持分法適用関連会社になることが発表されている。

BOOK☆WALKER

角川グループが2010年10月に発表、12月にプレサービスを開始した「BOOK☆WALKER」は、電子書籍にとどまらないコンテンツ配信を視野に入れたプラットフォームを版元自ら手掛けている点が注目を集めている。
コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、内部的には.book形式のファイルフォーマットが用いられている。BOOK☆WALKERは当初iOSアプリが、2011年4月にはAndroidアプリも提供された(Android OS 2.2以降に対応)。コンテンツの決済方法は、iOSアプリではAppleの課金方式が、Androidアプリではクレジットカードのほか、WebMoneyが利用可能。
 なお、iOS版とAndroid版のアプリ間でコンテンツを共有できない仕様となっているほか、現時点ではPC Webのサイトからコンテンツを購入できないなど、マルチプラットフォームの展開に課題も残す。同一のApple IDであれば、複数のiOSデバイスで購入したコンテンツを融通できるが、この場合も自動的に同期されるのではなく、改めて購入処理を行う必要がある(二重課金はされない)。
 しかし、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「とある魔術の禁書目録<インデックス>」など、若年層を中心に支持されるコンテンツを多くそろえる角川グループがコンテンツホルダーの強みを生かしてコミュニティーを形成している。
 当初の発表では、2011年7月がグランドオープンと位置づけられており、今後が注目される。なお、角川グループホールディングス(角川GHD)とドワンゴは2011年5月、両社の株式の持ち合いによる資本提携を発表しており、電子書籍ビューワ「ニコニコビューワ」の登場も待たれる。

ソク読み

共同印刷グループのデジタルカタパルトが運営する「ソク読み」は、小学館がPC向けに展開していた電子コミックのオフィシャルショップを母体としており、2009年12月にオープン路線に転換、講談社、秋田書店など国内の大手版元13社が作品を提供する電子コミックストアとなった。
 コンテンツのラインアップは6月末時点で約4700タイトル、2万冊を超える冊数を用意しており(詳細は以下の表を参照)、小学館の漫画作品のラインアップがほかと比べて厚いのが特長。
ジャンル少年マンガ少女マンガ青年マンガ女性マンガ総計
タイトル数696(5563)1961(5305)1195(7474)843(2086)4695(20428)
ソク読み 6月末時点でのジャンル別配信タイトル数(括弧内は冊数)
 コンテンツはストリーミング型で提供され、Flashベースの専用ビューワ「DOR」(Digital Object Reader)で閲覧する。閲覧期間が購入から180日となっており、その分価格は1冊290円からとほかの電子書籍ストアに比べ安価に設定されている。
 現時点でiOS向けのアプリは用意されていないが、Android向けにはストア型のアプリが用意されている。Androidアプリは現時点で、NTTドコモから出ている「REGZA Phone T-01C」「GALAXY S SC-02B」「GALAXY Tab SC-01C」、ソフトバンクから出ている「GALAPAGOS SoftBank 003SH」がサポート端末となっている。
 コンテンツの決済方法は、クレジットカードのほか、WebMoney、BitCash、NET CASH、携帯電話決済(DoCoMo、au)、モバイルSuicaが利用可能。

BookGate

廣済堂が手掛ける「BookGate」は、iPhone/iPadユーザーにターゲットを絞った特化型の電子書籍ストア。「持ち運べる総合書店」をコンセプトに、App Storeでストア型のアプリが提供されている。オープンは2010年8月。
現時点でのラインアップは600点をわずかに超える程度で、多いときで30タイトルほどが週一回ペースで追加されている。ジャンル別では、インプレスジャパン刊行の「できるポケットシリーズ」などが並ぶ「コンピュータ全般」と、「自己啓発」のジャンルにそれぞれ60タイトル前後が用意されている。
立ち位置としてはセレクトショップに近く、お目当ての電子書籍を探すというよりは、未知の分野への興味を喚起してくれるようなラインアップとなっているのが特長。また、ミュージシャンの石井竜也さんが執筆する「詞解文書」シリーズなど、書籍化されていないBookGateオリジナルのコンテンツも販売されている。
当初は誌面レイアウトをそのまま表示するイメージ型のビューワアプリだったが、廣済堂は2010年12月にモリサワと提携、モリサワ フォントと組版エンジンを利用するモリサワの電子書籍ソリューション「MCBook」で制作されたタイトルも並ぶようになり、活字もののコンテンツもストレスなく読むことができる。
決済はApple IDで行える。また、コンテンツの提供形態はアプリ内に閉じたダウンロード型で、基本的には期限なくダウンロードできる。
電子書籍ストアラインアップ対応デバイス台数制限
PCMaciOSAndroidWindows Mobile
eBookJapan約4万8000点(ほぼコミック)3
電子書籍パピレス約17万8000点
(大半が洋書)
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BOOK☆WALKER非公開-
ソク読み約2万点-
BookGate約600点-
電子書籍ストア比較その2

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