2012年1月13日金曜日

文科省、電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議報告を公表

http://news.braina.com/2012/0112/move_20120112_002____.html

文部科学省は1月10日、2010年10月に設置された、「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」が、14回の検討会議の結果をまとめた報告を公表した。

同検討議会は、2010年3月から6月にかけて総務省、文部科学省、経済産業省が合同で開催した「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」の結果、文科省で検討すべきと指摘された3つの課題、「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方」 「出版物の権利処理の円滑化」 「出版者への権利付与」のそれぞれについて検討するため設置されたもので、作家、漫画家などの著作者、出版、図書館等の関係者と学術経験者で構成されていた。

報告は、「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方」については、「国会図書館のデジタル化資料の活用は緊急の課題」として、
同デジタル化資料を、一定の範囲、条件のもとに公立図書館等で利用可能となるよう、著作権法の改正を行うことが適当と述べ、その対象物は、市場における入手が困難な出版物等(電子書籍市場の発展に影響を与えない範囲)としている。さらに利用方法としては、公立図書館等における閲覧とともに、「一定の条件下における複製も認める」としている。また、これらの資料の本文検索サービスの提供が必要として、「画像ファイル形式データのテキスト化が必要」としている。また、デジタル化資料の民間事業者等への提供については、図書館と民間事業者等が連携した新たなビジネスモデルの開発が必要として、有償配信サービスの限定的、実験的な事業の実施の検討も必要としている。

「出版物の権利処理の円滑化」については、、(1) 中小出版者や配信事業者など多様な主体によるビジネス展開の実現、(1) 孤児作品(権利者不明作品)等の権利処理の円滑化を目的とした「権利処理を円滑に行うための仕組み」の整備することが必要として、「出版物に関する情報を集中的に管理する取組」「権利処理の窓口的な機能を果たす取組」「権利処理に係る紛争の処理に資する取組」の実現に向けて、権利者、出版者、配信事業者等の関係者間の具体的な協議を行うとともに、文科省等の関係府省の積極的な関与、支援が重要としている。

「出版者への権利(著作隣接権)付与」については、出版者から「電子書籍の流通と利用の促進」と「出版物に係る権利侵害への対応」の2つの観点から、その必要性等が主張されたが、新たな権利者が増えることは配信事業者等の電子書籍市場への新規参入を阻む可能性があり、電子書籍市場に与える影響について、経済的、社会的検証を行うことが必要との意見もあり、出版者等が中心となり、その電子書籍市場に与える全般的な影響について検証が必要で、また、法制面における課題の整理等については、文化庁にで専門的な検討を実施するとされた。その上で、電子書籍市場の動向を注視しつつの意見を踏まえ、制度的対応も含めて、早急な検討を行うことが適当。国民各層にわたる幅広い立場からの意見を踏まえ、制度的対応も含めて、早急な検討を行うとして、「要継続検討」という結論となっている。

【詳細】「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」報告の公表

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