http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=278398&lindID=2
電子書籍サービスおよび電子書籍端末の市場展望
■紙の書籍(雑誌・マンガ・写真集含む)の新品・中古含めた年間購入金額は2 兆5,378億円
■2010年度の電子書籍サービス市場規模は640億円
■電子書籍サービスの市場規模は2015年度に3,501億円まで拡大
■電子書籍端末の市場規模は2010年度113万台から2015年度639万台に拡大
MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は4月14日、国内最大級のインターネットアンケートサービスを運営する「クロス・マーケティング(※1)」のモニターを活用して、15歳以上のインターネット利用者2500名に対するWEBアンケート調査を実施。携帯電話市場におけるスマートフォンへのシフトや、iPadをはじめとしたタブレット端末の登場に伴い、今後の成長が期待される電子書籍サービスおよび電子書籍端末の市場規模についてまとめた。
■紙の書籍(雑誌・マンガ・写真集含む)の購入金額は2兆5,378億円
電子書籍市場を分析する前提として、まずは紙の書籍の市場規模について分析した。アンケートの結果、2010年度における新品・中古の紙の書籍(雑誌・マンガ・写真集含む)の購入金額は2兆5,378億円となった。「書籍」と「雑誌・マンガ・写真集」の内訳でみると、「書籍」が1兆7,321億円、「雑誌・マンガ・写真集」が8,057億円となった。
■電子書籍の認知度は92.5%、利用者は18.5%
電子書籍の認知度は「知っている」が92.5%(2,312人)で非常に高いものとなった。2010年における電子書籍の利用状況は「有料コンテンツ利用」が5.1%(127人)、「無料コンテンツのみ利用」が13.4%(335人)で有料・無料利用を合わせて18.5%(462人)が利用していると回答した。(図1,2)
■電子書籍を読む端末は「携帯電話・PHS」が28.8%で最多
有料・無料を問わず電子書籍を利用すると回答した462人に電子書籍を読むのに最も利用する端末を質問した結果、「携帯電話・PHS」が28.8%(133人)、「デスクトップPC」23.4%(108人)、「ノートPC」19.7%(91人)、「iPhone」11.3%(52人)、「iPad」5.4%(25人)の順となった。(図3)
■2010年度の電子書籍サービス市場は640億円
有料電子書籍の利用者127人に電子書籍の利用ジャンルおよび購入金額を分析した結果、2010年度の電子書籍サービス市場は640億円となった。「書籍」と「雑誌・マンガ・写真集」の内訳でみると、「書籍」が362億円、「雑誌・マンガ・写真集」が278億円となった。全23ジャンル中で「マンガ・コミック単行本」の約162億円が最も大きな金額となり、電子書籍サービス市場全体の25%を占める結果となった。(図5)
■今後の電子書籍の利用意向は62%
今後の電子書籍利用意向を質問した結果、「利用したい」が15.5%(388人)、「利用を検討したい」が46.5%(1163人)で合わせて62%(1551人)が利用意向を示した。反対に「利用したくない」は36.9%(923人)となった。(図4)
利用意向を示した1551人に電子書籍を利用したい理由を質問した結果、「書籍の保管に場所をとらない」が57.5%(892人)が最も高く、次いで「いつでもどこでも書籍を読める・購入できる」48.6%(754人)、「多くの書籍を持ち運べる」41.6%(645人)の順となった。
「利用したくない」と回答した923人にその理由を質問した結果、「紙で書籍を読むことに慣れている」が43.6%(402人)で最も高く、次いで「電子画面で書籍を読むのは疲れる」40.0%(369人)、「専用の端末を持っていない」38.7%(357人)の順となった。
利用意向に関係なく、2500人に「今後どのようになれば電子書籍の利用意向が上昇するか」を質問した結果、「専用端末の価格が安くなったら」44.2%(1105人)、「紙の書籍よりも電子書籍のコンテンツが安くなったら」30.4%(759人)、「読みたい作品が電子書籍化されたら」29.8%(746人)、「電子書籍コンテンツの品揃えが増えたら」25.5%(638人)の順となった。
■2015年度の電子書籍サービス市場規模は3,501億円と予測
MM総研では電子書籍サービス市場は2010年度の640億円から2015年度には3,501億円まで拡大し、年平均成長率は40.5%になると予測する。成長著しいジャンルとしては書籍の「医療・学問・語学・資格・就職・参考書・辞典」、「趣味・生活・実用」、「推理・ミステリー・ホラー・SF」の金額規模がそれぞれ300億円以上になる見通しとなった。(図5)
■電子書籍端末の市場規模は2010年度113万台から2015年度には639万台まで拡大と予測
MM総研では本リリースにおける電子書籍端末として電子書籍専用端末およびタブレット端末を位置づけている。タブレット端末とは無線LANや移動通信によるインターネットや動画・音楽などのマルチメディア機能を備え、スマートフォン同様のiOSやAndroidOSを搭載し、5インチ以上のディスプレイを備えたタブレット型の端末と定義している。タブレットPCとは区別しており、タブレットはメディアタブレットや多機能情報端末とも表現されている。
2500人に今後の電子書籍専用端末やタブレット端末の購入意向を質問した結果、「購入したい」が8.0%(200人)、「購入を検討したい」が48.1%(1,203人)となり、合わせて56.1%が購入意向を示した。
2010年度では113万台の電子書籍端末が2015年度には639万台まで拡大し、年平均成長率は41.4%になると予測する。電子書籍専用端末は2010年度の16万台から2015年度には198万台、タブレット端末は2010年度の97万台から2015年度には441万台までそれぞれ拡大すると予測する。(図6)
また、電子書籍端末の利用者数は2010年度末の113万人から2015年度末には1,696万人まで拡大すると予測。電子書籍専用端末利用者は2010年度末の16万人から2015年度末には506万人、タブレット端末利用者は2010年度末の97万人から2015年度末には1,190万人までそれぞれ拡大すると予測する。
■電子新聞の有料版利用状況は0.9%と僅か、今後の有料版電子新聞の利用意向は30.7%
電子書籍とは別に、電子新聞の認知度・利用状況や今後の利用意向について質問した。電子新聞の認知度は「知っている」が46.8%(1170人)、電子新聞の利用状況は「有料コンテンツ利用」が0.9%(22人)、「無料コンテンツのみ利用」が11.7%(292人)となり、合わせて12.6%(314人)となった。
今後の有料版電子新聞の利用意向を質問した結果、「利用したい」が3.4%(84人)、「利用を検討したい」が27.3%(682人)で合わせて30.7%(766人)が利用意向を示した。
今後は国内・海外を問わず複数メーカーからの電子書籍専用端末やタブレット端末が登場することも想定されており、出版業界や携帯電話キャリアの取り組みや連携強化により、電子書籍市場が拡大することは間違いないだろう。MM総研では電子書籍市場が拡大するための最大のポイントはコンテンツの品揃えと紙の書籍よりもリーズナブルな価格設定であると分析する。
■調査概要
1.調査対象: PCによるインターネット利用者(15歳以上の男性・女性)
2.調査方法: Webアンケート
3.回答数 : 2500人(男性:1,250人/女性:1,250人)
4.調査期間: 【WEBアンケート期間】:2011年1月7日~1月12日
【分析期間】2011年1月13日~3月28日
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